中国語検定3級 【テスト付き】過去問分析と難易度に合わせた勉強法

ここでは中国語検定3級(中検3級)の出題傾向と対策について説明しています。

「解答」の欄のボタンをクリックすると、答えが表示されるようになっています。実際に解きながら感覚をつかんでみましょう。

中検3級の過去問について、最近の8回分(84回~91回)の出題傾向を分析してあります。2014年~2017年のものです。

※サウンドマークを押すと音声が流れます。

中検3級の分析の調査対象

中検3級の分析範囲

中検3級の出題傾向の分析に関して、初回は2016年5月に行いました。その時の調査対象は中検3級の第85回~第88回(2014年~2016年)の過去問です。現在このページにあるほとんどの内容はその時から変わっていません。

中検3級に関する2回目の分析は2017年6月に行いました。その時の調査対象は中検3級の第89回~第91回(2016年~2017年)の過去問です。

中検3級のここ1年での追加分析

中検3級についても、第89回~第91回(2016年~2017年)全3回について追加分析をしました。ほとんど第85回~第88回までと変わりませんが、以前の分析で書かなかったことで、今回新しい3回分に目を通して気になった部分があります。それは類義語感覚が問われているということです。たとえば“希望”と“愿意”の違い、“又~又…”“越~越…”“一边~一边…”“有时~有时…”の違い。つまり一つの単語や言い回しの意味がわかるだけでなく、似たような単語や言い回しの使い分けができるか、ということも問われるようになっているということです。また日常会話の中によく出てくるイディオム的な言い回しがわかるかということも問われるようになっています。たとえば“明天再说”(明日にしよう)、“很少~~”(~することはめったにない)など。日本にいて中国語で日常会話をすることはまずありませんから、教科書だけでなく幅広く勉強するようにということでしょうか? ただ満点を取る必要はないわけでそんなに神経質になることはありません。

中検3級の難易度(レベル)と必要単語数

中検3級に受かるためには、大学の中文科で半年~1年程度、第2外国語で2年程度学んだレベルの学力が必要です。

出題範囲としての単語数は1000~2000ですが、実際は1000単語程度をきちんと覚えておけば合格点は取れると思います。このサイトの中国語単語には1200単語入っているので、それを覚えれば十分合格できると思います。

中検3級 基本情報

2種類の問題形式と必要な点数

中検3級ではリスニング問題と筆記問題の2種類が出題されます。それぞれ100点満点で、両方とも60点を超えると合格です。片方でも60点未満だと不合格になります。ここの合格基準が中検準4級とは違います。(※中検準4級は合計点が基準)

解答方法

リスニングはすべて4択問題(100点)です。筆記問題は4択問題が80点、記述問題が20点です。記述問題に関して、中検3級も中検4級と同じく、日本語文を中国語文に訳す記述になります。

試験時間

中検3級の試験時間はリスニングと筆記問題の合計で100分です。中検4級と同じですね。

試験時間帯と併願可能な級

中検3級の試験時間は午前です。中検4級中検2級の試験が午後に行われるため、それらの級との併願が可能です。迷ったら別の級と両方受けてみるのもいいかもしれません。

試験費用

中検3級の試験費用は

オンライン申し込みの場合:4,700円

郵送申し込みの場合:4,800円

となります。いずれも中検4級より1,000円高くなっています。

中検3級と中検4級、あるいは中検3級と中検2級の併願について

中検3級の試験終了時間が11時55分。中検4級、中検2級など午後の試験の開始時間が13時30分です。間に1時間35分あるのでお昼ご飯が食べられます。

中検3級と中検4級を併願する際の合計受験金額は

オンライン申し込みの場合:8,400円

郵送申し込みの場合:8,600円

中検3級と中検2級を併願する際の合計受験金額は

オンライン申し込みの場合:11,500円

郵送申し込みの場合:11,800円

となります。中検2級の受験料が約7,000円と高くなっているので、2級との同時受験だと1万円を超えてやや高く感じますね。

中検3級の出題分析: リスニング問題

(全問選択式 100点満点 合格基準点65点)

リスニング問題として出題されるものは以下の4パターンです。一部例題がついていますのでやってみてください。(試験会場では全問題において問題文選択文とも音声は2回ずつ読まれます)

タイプ1:さまざまなタイプの疑問文の答えを4択で選ばせる問題。問題用紙には選択番号以外何も印刷されていない。(5問25点)

例:問と4つの選択肢のサウンドマークを押して音声を聞いた後、問いにふさわしい解答と思う選択肢の番号をクリックしてください。

※実際の試験ではマークシートです。解答後、正解と解説が出ます

問:

選択肢:

  • 1.
  • 2.
  • 3.
  • 4.
解答:
疑問文問題の正解と解説

正解:

2番目

解説:

質問に使われる文は動詞目的語構造の文に数量詞が割って入る文。3級ではよく出題される。

目的語にどのようなスポーツが来るかで動詞が異なることに注意。野球はバットで打つので“打”dǎ(打つ)を用い、サッカーは足で蹴るので“踢”tī(蹴る)を用いる。

問題音声の中国語文: 他们今天踢了多长时间足球?

問題音声の日本語訳: 彼らは今日どのくらいの時間サッカーをやっていましたか?

解答欄1の中国語文: 他们打了一天棒球。

解答欄1の日本語訳: 彼らは一日野球をやっていました

解答欄2の中国語文: 他们踢了一个半小时。

解答欄2の日本語訳: 彼らは一時間半サッカーをやっていました

解答欄3の中国語文: 我们去了几个操场。

解答欄3の日本語訳: 私たちはいくつかのグラウンドに行きました

解答欄4の中国語文: 他们看了一会儿排球。

解答欄4の日本語訳: 彼らは少しバレーボールを見ました

タイプ2:AB二人の会話を聞き、その後に続くAの言葉を四択で選ぶ問題。問題用紙には選択番号以外何も印刷されていない。(5問25点)

例:AB二人の会話を聞き、その後に続くAの言葉を選択肢の中から選んでください。

問:

A:
B:

選択肢:

  • 1.
  • 2.
  • 3.
  • 4.
解答:
会話問題の正解と解説

正解:

1番目

解説:

このタイプの問題は簡単そうで難しい。一つ一つの言葉は簡単でもロジックの流れを押さえておかないと間違ってしまう。苦手な人はこのタイプの問題をまとめてこなすといいかもしれない。

問題音声Aの中国語文: 今天晚上你有时间吗?

問題音声の日本語訳: 今晩時間ある?

問題音声Bの中国語文: 今天晚上我得打工,明天有时间。

問題音声の日本語訳: 今夜はバイトなんだ。明日はあいているよ

解答欄1の中国語文: 那明天一起去看中国电影怎么样?

解答欄1の日本語訳: じゃあ明日いっしょに中国映画を見に行かないか?

解答欄2の中国語文: 昨天看的中国电影怎么样?

解答欄2の日本語訳: 昨日見た中国映画どうだった?

解答欄3の中国語文: 明天也没有时间,最近很忙。

解答欄3の日本語訳: 明日も時間がないんだ、最近忙しくて

解答欄4の中国語文: 今天晚上我没时间,后天怎么样?

解答欄4の日本語訳: 今晩はあいてないんで、明後日はどう?

タイプ3:会話文と説明文の聞き取り。(10問50点)

会話文は二人が交互に10回ほど会話をし、その内容について問われる。会話文は問う文も答えも音声のみで、問題用紙には番号以外印刷されていない。

説明文は全部で300字程度、同様に内容について問われる。こちらは問いの文のみ印刷されている。

会話文、説明文、問の文、選択文とも2回ずつ読まれる。

中検3級 リスニング問題の文型

3級リスニング問題で出題される文型はいずれも、初めて中国語を学ぶ人が最初の2年で学ぶ内容です。質問に使われる文はほとんどすべて疑問文なので、さまざまなタイプの疑問文とその答え方を覚えておきましょう。またここで用いられる単語はおおよそ初級中級テキストの範囲を超えるものではありませんが、常用語1000~2000はストックしておくと安心です。なお単語については筆記問題でも同様のことが言えます。

中検3級 リスニング問題でよく使われる場面

  • 家族、友人どうしの基本的な会話
  • 電話の応対
  • 店員さんとのやりとり
  • 空港での旅行社の人とのやりとり
  • ホテルでの部屋の予約
  • 体調が悪い時のやりとり
  • 自己紹介
  • 留学先での日常生活など

中検3級の出題分析: 筆記問題

筆記問題として出題されるものは以下の5パターンです。

(タイプ1~4は選択式・5は記述式 100点満点 合格基準点65点)

タイプ1:発音問題

タイプ1:発音問題には2種類あります

  1. タイプ1-1:声調の組み合わせの問題(選択肢から声調の組み合わせが出題単語と同じものを選ぶ)(5問10点)

    例:問と声調の組み合わせが同じものを選択肢の中から選んでください。

    問:幸福

    • 时间
    • 内容
    • 报告
    • 啤酒
    声調問題の正解と解説

    正解:

    2番目

    解説:

    出題単語は4声+2声の組み合わせ、1は2声+1声、2は4声+2声、3は4声+4声、4は2声+3声。常用語1000~2000程度はできるだけ正確な発音で覚えていることが求められている。ただし正解率65%で合格するので、完璧である必要はない

  2. タイプ1-2:正しいピンイン表記を選ぶ問題(5問10点)

    例:問の中国語の正しいピンイン表記を選択肢の中から選んでください。

    問:道理

    • 1táolǐ
    • táolí
    • dàolǐ
    • dàolí
    ピンイン表記問題の正解と解説

    正解:

    3番目

    解説:

    この問題では声調の違いだけでなく、有気音か無気音か、xiかshiかなど、似た発音の違いも問われる。正確に発音していること、発音をピンインで表記できることが求められる。

タイプ2:穴埋め問題(空欄に最も適切な語句を入れる問題)(10問20点)

例:問の中国語の空欄を埋めるのに最も適当なものを選択肢の中から選んでください。

問:她把我的电话号码记(  )了。

  • 起来
  • 下来
  • 过来
  • 回来
穴埋め問題の正解と解説

正解:

2番目

解説:

穴埋め問題では基本的な文型や言い回しのうち、その文や言い回しのポイントになる部分が空欄になっている。ここの例では、「事物が固定し留まる」意味となる方向補語を入れる。

タイプ3:語順問題

  1. タイプ3-1:正しい語順を選ぶ問題(5問10点)

    例:問の日本語の意味に合う中国語を選択肢の中から選んでください。

    問:休みになったらどこに旅行に行くつもりですか?

    • 你放假了,去旅游打算哪儿?
    • 放假了,你旅游去哪儿打算?
    • 放假了,你打算去哪儿旅游?
    • 你放假了,去哪儿打算旅游?
    語順問題の正解と解説

    正解:

    3番目

    解説:

    日本語「~に旅行に行く」は中国語では“去~旅游”という語順になる。“打算”(~つもりだ)は“去”の前に来る。

  2. タイプ3-2:正しい語順に並べ替える問題(5問10点)

    日本語の意味になるように1~4を並べ替えたとき(__)に入る中国語の番号を答える問題。

    例:問の日本語の意味になるように問の下の選択肢を並べ替えたとき、(__)内に入るものを選んでください。

    問:庭に小鳥が一羽飛んできた。

    院子里 __ __ (__) __ 。

    • 飞来了
    • 小鸟
    語順並べ替え問題の正解と解説

    正解:

    1番目

    解説:

    存現文は「場所+動詞+存在・出現・消失するもの」の語順になる。鳥は “只”で数える。

タイプ4:長文読解問題。(6問20点)

約500~600字の文章を読んで以下のような問いに答える問題。

6問中5問は穴埋め問題だがうち1問は「適当でないもの」を選ぶ。

6問中1問は「本文の内容と一致するもの」を選ぶ問題。

例:省略

タイプ5:日文中訳問題(5問20点)

日本語の短文を中国語に訳し、簡体字で書く問題。崩し字や略字にしてはならず、句読点や疑問符をつけることが要求されている。

例:問の日本語を中国語に訳し、漢字(簡体字)で解答欄に書いてください。

問:彼女は歌を歌っているのではなくピアノを弾いているのです。

正解と解説を見る

日分中訳問題の正解と解説

正解:

她不是唱歌而是弹钢琴。

解説:

ここでは関連詞“不是~而是…”(~ではなく…だ)を使って文を書く。関連詞は3級を通していろいろな問題で使われているのでまとめて覚えておきたい。

中検3級筆記問題で用いられる単語数

検定協会による3級の出題内容には「常用語1000~2000を利用した複文の日訳、中訳」という一文が入っています。認定基準にある「基本的な文章を読み、書くことができる」という一文からも1000~2000という単語数は妥当な目安といえるでしょう。ただしきちんとした声調やピンインが問われる1番の問題にはそこまでの数が必要とは思われません。できるだけ正確な発音で話せ、かつ聞いて意味を取ることのできる単語数は1000語程度ではないかと推測します。残りの1000は読んで意味がわかる単語と考えておいていいでしょう。もちろん正確に読み、聞き、話し、書くことのできる単語が2000あることが望ましいことは言うまでもありません。ただ合格基準が65点ということからすればさほど完璧を期す必要はないと思います。

中検3級筆記問題で用いられる文の文法項目

3級筆記問題で用いられる文の文法項目は初級文法に出てくるものすべてと言っていいでしょう。中国語の初級文法はさほど複雑かつ膨大なものではないので、そうした文法書に目を通し、ポイントごとのドリルをやっておくことが大切です。このHPでもそうした文法コーナーを用意し、かつそれらとHP上の語順問題、穴埋め問題、長文問題ともリンクさせる予定です。まちがった答えを選んだ場合、どの文法項目でつまずいているかのデータも出す予定です。つまずきが多い文法項目は内容をきちんと読み、その項目を使った問題を数多くこなしてください。データが7割を越えればほぼ合格が近づいたと言えます。

3級攻略は単語量と短文練習量が決め手

3級までの段階では、文法項目がまんべんなく入っている教科書をしっかり勉強し、あとは単語を500くらいはピンインも含めてしっかりと覚え、501~1000くらいは見て意味がわかるくらいには触れておくことが大切でしょう。

さらには文の中でいろいろな単語や文法が使われている短文も300~500は覚えておきたいところです。こちらは日本語を見たら正確な中国語が言えるように、中国語を聞いたら日本語の訳が言えるようにという練習をやっておくといいでしょう。これをやっておくと語順問題や穴埋め問題対策になるだけでなく、長文問題対策にもなります。長文は短文を連ねたものですから。

長文問題は、この試験を作成している日本中国語検定協会がネット上で公開している過去問題を使うといいでしょう。

「中国語単語」の用例文(音声)はリスニング練習にも使える

上記してきたように検定問題の主催団体によるネット上の過去問を活用すると便利ですが、残念ながらリスニング問題には音が入っていません。当サイトの「中国語単語」の用例文は音が入っていますので、リスニング対策としてはこれを利用することもお勧めです。

またパソコンやスマホに中国語の辞書アプリを入れておけば音声が聞けます(※おすすめの中国語辞書アプリについて)。辞書アプリには見出し語のみならず例文にも音声が入っていますのでこれも使えます。ただ辞書アプリは見出し語以外は機械音声なのでやや聞きづらく、まちがった音になっていることもあるので注意が必要ではあります。