中国語検定2級 【テスト付き】過去問分析と難易度に合わせた勉強法
ここでは中国語検定2級(中検2級)の出題傾向と対策について説明しています。
「解答」の欄のボタンをクリックすると、答えが表示されるようになっています。実際に解きながら感覚をつかんでみましょう。
中検2級の過去問について、最近の3回分(91回~93回)の出題傾向を分析してあります。2017年ものです。
中国語検定2級 基本情報
2種類の問題形式と必要な点数
中検2級ではリスニング問題と筆記問題の2種類が出題されます。それぞれ100点満点で、70点が合格基準点です。両方とも70点を超えなければなりません。中検3級は合格基準点が両方とも65点でしたからそれだけ難しくなっています。
解答方法
リスニングはすべて4択問題(100点)です。筆記問題は4択問題が70点、記述問題が30点、うち中文日訳が10点、日文中訳が20点です。
試験時間
試験時間はリスニングと筆記で120分、2時間です。
試験時間帯と併願可能な級
中検2級の試験時間は午後です。中検3級と中検準1級の試験が午前に行われるため、それらの級との併願が可能です。迷ったら別の級と両方受けてみるのもいいかもしれません。
試験費用
中検2級の試験費用は
オンライン申し込みの場合:6,800円
郵送申し込みの場合:7,000円
となります。中検3級より2,000円以上高くなっています。
中検2級と中検3級、あるいは中検2級と中検準1級の併願について
中検2級の試験開始時間が13時30分。中検3級の試験の終了時間が11時55分、中検準1級の試験終了時間が12時15分です。間に1時間以上あるのでお昼ご飯が食べられます。
中検2級と中検3級を併願する際の合計受験金額は
オンライン申し込みの場合:11,500円
郵送申し込みの場合:11,800円
中検2級と中検準1級を併願する際の合計受験金額は
オンライン申し込みの場合:14,300円
郵送申し込みの場合:14,700円
となります。
中検2級の出題分析: リスニング問題
(全問選択式 100点満点 合格基準点70点)
リスニング問題は全問選択式で、出題形式は以下の2パターンです。(試験会場では全問題において問題文選択文とも音声は2回ずつ読まれます)
タイプ1:1問1答式問題。問題用紙には選択番号以外何も印刷されていない。(全10問 各5点 計50点)
1問1答式の設問は最初の5問がAB二人の会話になっていて、Aの発話を聞いたあとBの返答を4択で選びます。
次の5問はやはりAB二人の会話で、Aの発話、Bの返事を聞いたあと、その次のAの応答を4択で選びます。
音声はすべて2回ずつ流れます。
タイプ2:長文の朗読を聞いてそれに答える問題。(大問2問 それぞれに小問が5問ずつ 計10問 各5点 計50点)
長文を聞く問題では、まず500字程度の音声を聞き、それに関する質問が5問あります。最後の質問は必ず、文章の内容と合っているもの、もしくは合っていないものを4択で選ぶ問題です。
音声はすべて2回ずつ流れます。
中検2級 リスニング問題の文型
リスニング問題に出てくる文は2種類で、日常会話で出てくる会話文と長文問題に使われるやや書き言葉的な文です。文法的には3級までに出てくるものをきちんと押さえておけば大丈夫ですが、語彙は3級レベルを超えたものがたくさん出てきます。
中検2級 リスニング問題に出てくる語彙
中検リスニング問題の難しさは文型や文法ではなく、難易度を増した語彙にあります。
たとえば、“贵”(高い)、“便宜”(安い)など中検3級レベル以下の言葉が出てくれば聞き取るのは簡単ですが、“高档”(高級な)とか“经济实惠”(お得な・経済的な)という言い方で「高い」「安い」を表したりします。
“一言为定”(きっとだよ)とか“开夜车”(徹夜する)などの決まり文句や慣用表現も出てきます。このタイプにはやや長いものもあります。“他心里根本就没有你”(彼の心にあなたはまったく存在しない→彼はあなたのことが好きではない)
さらには目で見れば一目瞭然ですが聞くとわからない書き言葉も出てきます。たとえば
“雪景”(雪景色)、“活化石”(生きている化石)“适宜于”(~に適した)、“昆虫”(昆虫)などです。
これらの単語や表現を耳で聞いてわかるには、語彙力が中検3級レベルにとどまっていては難しいでしょう。
中検2級 リスニング問題でよく使われる場面
1問1答式問題に出てくる場面は日常会話レベルの場面です。たとえば、買い物・レストランの中・ホテルの中・友人どうしの会話など。
長文問題に出てくる場面はテーマによってさまざまで、テーマはパンダ・インターネット・老人大学・電車の中の優先席についてなどさほど難しいものではありません。
中検2級 リスニング問題を解くコツ
コツとしては必ずメモを取ることをお勧めします。メモ取りは試験前に多少時間を取って練習しておきましょう。言葉のスピードは速いので(2級試験のリスニングで流れる中国語のスピードはそう速くはありませんが、メモを取るとなるとけっこう大変です)
特に日付・時間・場面・人間関係などはできるだけメモを取ります。文字ではなくマークや図案でもいいのです。メモ取り練習をする時記憶に残りやすいマークなどを考えておくといいでしょう。文字でメモを取る場合、日本語でも中国語でも、自分がやりやすい言語で取ります。後でわかるなら日中混ぜてもOKです。
もう一つ大事なこととして、問題文には難しい単語がけっこう出てくるのですが質問そのものはわりに簡単です。一語一句全部聞き取れている必要はないのです。聞き取れない単語が出てきても慌てずこだわらず、おおよその流れを押さえて聞くことが大切です。あとは類推力に任せましょう。
中検2級の出題分析:筆記問題
91~93回までの直近3回の問題を分析してみました。
筆記問題として出題されるものは以下の5パターンです。
タイプ1:長文問題(1)
(全10問 各2点 計20点)
日常生活のあれこれなど比較的軽い話題で、表現もさほど難しくありません。
字数は600字程度。
語彙や文法に関する問題が8問、ピンイン表記の問題が1問、要旨のとらえ方(つまり何が書かれているのかを把握する)の問題が1問です。
語彙や文法に関する問題としては以下のようなものがあります。
・この目的語ならどんな動詞が適切かなど動詞目的語の組み合わせ問題。
・一般的な量詞ではなく、「感情」を数える量詞、「会議」を数える量詞などやや高度な量詞
・“要是~就”“就是~也”などの関連詞
・“难道”“还~”など反語表現
・“忍不住”“赶不上”などイディオム的に使われる可能補語
・基本的な動詞の使い分け。たとえば“排”“摆”“放”の違いなど。
・“其实”“但是”など接続詞の使い分け
基礎レベルより一段上の語彙、文法的事項の知識が問われる問題です。
タイプ2:(1)語順問題と(2)単語の言い換え問題
(各5問、計10問、各2点、計20点)
語順問題と単語の言い換え問題が5問ずつ出題されます。
語順問題については3級までの出題形式とは異なり、選択肢4つのうち正しい語順で書かれている文は1つだけでそれを選ぶ問題です。
単語の言い換え問題では、文中の単語と同じ意味の単語を選ぶことが要求されています。
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タイプ2-1:語順問題
例:1~4から正しいものを一つ選び、その番号を解答欄にマークしなさい。
語順問題の正解と解説
正解:
2番目
解説:
前の句における語順は、主語“你”+“要是”+“再”+述語“不懂”(あなたがもしこれでもわからないと言うならば)となり、“要是”+“再”の語順は逆にはなりません。“要是”(もし)は“再不懂”(これでもまだわからない)にかかっているのです。後ろの句の副詞“就”は必ず主語“我”の後ろに置きます。
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タイプ2-2:単語の言い換え問題
例:下線部の意味として最も適当なものを、①~④から一つ選びその番号を解答欄にマークしなさい。
你怎么总是跟我过不去。
単語の言い換え問題の正解と解説
正解:
1番目
解説:
1は「困らせる」 2は「行かせない」 3は「冗談を言う」 4は「申し訳ない」。“过不去”はこの場面では「困らせる・いじわるする」の意味です。
この問題では選択肢の単語の意味を聞いているので、これら選択肢の単語を問題文に入れることができるかという問題ではありません。
また2級の筆記問題では、この問題のように可能補語の形を持つ慣用表現がしばしば出題されているので要注意です。
タイプ3:穴埋め問題
(全10問 各2点 計20点)
空欄に入れるべき適切な語彙を選ぶ問題です。
例:中国語の空欄を埋めるのに最も適当なものを一つ、1~4から選んでその番号を解答欄にマークしなさい。
問:你千万不要吃这( )菜,后果很严重!
穴埋め問題の正解と解説
正解:
3番目
解説:
料理を数える量詞を入れる問題です。料理は“道”や“样”で数えます。2級筆記問題では量詞もよく出題されますが、3級レベルの基礎的な量詞ではなく、やや難易度の高い量詞が問われます。
タイプ4:長文問題(2)
全7問 うち5問は4択問題で各2点 2問は中文日訳の記述問題で各5点 計20点。
長文問題(1)と異なり、説明文、論述文に近い、書き言葉で書かれた文章です。4択問題の出題は長文問題(1)とほとんど変わりませんが、最後の要旨をとらえる問題が「本文の内容と一致しないものを選べ」となっているものもあり、うっかりすると長文(1)と同じ「本文の内容と一致するものを選べ」だと勘違いしそうなので注意が必要です。
中文日訳問題に出される中文には四字成語が入っている場合が多く、四字成語もある程度覚えておくことが求められています。
タイプ5:日文中訳問題
(全5問 各4点 計20点)
ここで出される文は中検3級レベルとされています。語彙、文法の関する基礎的な知識をフルに活用すれば書ける問題です。1問の字数は長くても30字くらいです。
中検2級筆記問題で用いられる単語数
中検3級まであった出題語彙数のめやす(→「中国語検定」内の「中検のレベル(級)と難易度」を参照)は中検2級以上にはありませんが、認定基準に「複文を含むやや高度な文章を読み…」とありますので、やや高度な文章に出てくる単語を読めるようにしておく必要があります。また出題内容として「熟語・慣用句の日訳や中訳」と書かれていますので、四字熟語や四字成語、慣用表現の習得も求められています。
そうすると3級までの単語1000~2000を身につけておくほか、これ以上の難易度の高い単語力、熟語力が求められていると言えそうです。
基礎単語1000~2000語に加えて、成語、熟語を含めてあと1000、合わせて2000~3000語は身につけておきたいところです。
中検2級筆記問題で用いられる文の文法項目
基礎的な文法項目をきちんとおさえておく以外に、長文(1)でも書いたように
動詞目的語の組み合わせ
やや高度な量詞
関連詞
反語表現
イディオム的に使われる可能補語
目的語のある結果補語
方向補語、特に派生義を持つ複合方向補語
接続詞の使い分け
副詞“才”“就”“再”“又”“还”“也”“可能”“也许”の使い方
介詞“向”“跟”“对”“往”などの使い分け
等は必ず出題されると思った方がいいでしょう。
中国語検定2級の対策
時間のある人
中国語検定試験は語彙力が勝負を決めます。当サイトにも単語学習コーナーがあって1200単語入っており、さらに例文もついていますので、ここにあるくらいの単語量はぜひものにしてください。単語をものにするとは、中国語を見れば意味がわかり、その日本語訳を見れば何も見なくても中国語が言え、書けること。中国語の音を聞けばその意味がわかることです。
ある程度の単語力がついたら、いろいろな短文表現を暗記すること・耳で聞くこと・一定の長さのある中国語文をいろいろ読んでみることです。本サイトにもいろいろ入っていますのでぜひ目を通してみてください。
また中国のネットに飛べばニュースのようなお堅いものから、芸能界のゴシップ記事までなんでもありです。ネットスラングが横行していますから慣れるまでは苦労しますが、自分の興味のままに読み続けていると知らないうちに語彙力や読解力がついてきます。
一定の力がついたら過去問をやりましょう。中検の公式サイト上に中国語検定試験の過去問題が無料で公開されています。どの問題が解けなかったかチェックしてそこを重点的に勉強するといいでしょう。できない部分はわかったけれど何を勉強していいのかわからない場合は、できなかったところの正解を確認して覚えるだけでも力がつきます。
ただネット上の過去問には音が入っていないのでリスニングの練習には使えません。リスニングの練習にはCDのついた過去問題集とかそのほか市販の教材を使う必要があります。
時間のない人
中検の公式サイト上に中国語検定試験の過去問題が無料で公開されていますので、まずこれを何回分かやってみます。そのうえで自分の弱いところを重点的に勉強するといいのですが、その時間もないという人はせめてその過去問題に出てきてわからなかった単語の意味は調べておきましょう。
また無料公開の過去問には上述したように音声はついていないのですが、録音原稿は載っていますので一通り音読してみるとおおよその傾向はわかるでしょう。