おすすめの中国語辞書 アプリ・Weblio・電子辞書・本などの比較
スマホの中国語辞書アプリ、Webの辞書、PCソフトの辞書、電子辞書、紙の辞書と、中国語の辞書には様々な媒体(形式)があります。そして各媒体ごとにいくつもの種類の辞書があり、これから中国語を学習するにあたって、どの辞書を使えばいいのか迷ってしまった人もいるかと思います。
ここでは媒体別の最もおすすめの辞書とその説明、様々な辞書の比較などを行っていきます。
目次
おすすめの中国語辞書
スマホかタブレットで「小学館 中日・日中辞典(ビッグローブ版)」(4000円)を使うのが携帯性、使いやすさ、辞書としての質、などの面からおすすめです。
ただし、無料のwebサイト(オンライン辞書)の「Weblio日中・中日辞典」(無料)も十分使いやすいです。
そのほか、PCでの作業中の辞書としては「ChineseWriter11」(2万5千円前後)もおすすめできます。
タブレットと電子辞書では、画面が大きく様々な作業が可能で、重さもさほど変わらないタブレットが電子辞書の上位互換と言えます。
持ち歩く辞書としては、スマホ単独か、スマホ+タブレット、という組み合わせが便利でしょう。
家庭用の辞書としては、スマホ以外にPCかタブレットがあると作業効率がいいと思います。
紙の辞書は初心者にとっては、重さ、引く速度、文字サイズ、手書き検索不可、などデメリットが大きいように思われます。
個人的にはタブレットの大きな画面に、中国語辞書アプリ(拡大した状態で使い勝手がいい)というのが老眼にやさしく使いやすいです。
媒体 | おすすめの辞書 |
---|---|
web | Weblio日中・中日辞典 |
iOS | 小学館 中日・日中辞典(ビッグローブ版) |
android | 小学館 中日・日中辞典(ビッグローブ版) |
windows | ChineseWriter11 |
電子辞書 | XD-G7300(カシオ) |
紙の辞書 | 講談社もしくは小学館の中日・日中辞典 |
媒体比較
媒体 | 重量 | 画面サイズ | 画質 | 速度 | 辞書の質 | 価格 | 串刺し検索 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
スマホ(アプリ) | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 4000円 | × |
スマホ(Web辞書) | 〇 | △ | 〇 | △ | △ | 無料 | △ |
タブレット(アプリ) | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 4000円 | × |
タブレット(Web辞書) | △ | 〇 | 〇 | △ | △ | 無料 | △ |
PC(ソフト) | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 2万5千円 | 〇 |
電子辞書 | △ | △ | × | 〇 | 〇 | 3万5千円 | 〇 |
紙の辞書 | × | △ | 〇 | × | 〇 | 1万6千円 | × |
「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)とWeblioの比較
「小学館 中日・日中辞典アプリ」のほうが親字数が多く、用例も豊富で、動作が軽く、文字が綺麗なレイアウトで拡大でき、広告などの余計な情報が入りません。上位互換と言えるでしょう。Weblioはオンラインゆえの動作の遅さとピンイン検索ができないのが欠点ですね。
「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)と「ChineseWriter11」の比較
Windows用ソフトなので持ち運びには向きませんが、「ChineseWriter11」は小学館の中日・日中辞典を含む複数の辞書を串刺し検索ができます。PCを立ち上げている状況では上位互換です。
「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)と電子辞書の比較
辞書としては小学館の中日・日中辞典を含む複数の辞書の串刺し検索ができる分、電子辞書のほうが優れていますが、低い画質と、辞書機能しか使えないのがデメリットです。スマホで小学館の辞書が引けるのにさらに電子辞書まで持ち運ぶ、というほどのメリットはないように感じます。
また、同程度の価格、やや重い程度の重量で、圧倒的にきれいな画質、ネットにつなげるタブレットが使えるので、スマホの小さい画面に不満がある人にはタブレットのほうがおすすめです。スマホとタブレットのOSが同じ場合、辞書アプリは一度の購入で両方で使えます。
無料のオンライン辞書比較 「Weblio」が強い
「Weblio日中・中日辞典」について
「Weblio日中・中日辞典」(http://cjjc.weblio.jp/)は「白水社中国語辞典」など複数の日中、中日辞典が入っている無料のウェブサイトです。日中両語で約160万語を収録。中でも親字数1万1千語が入っている「白水社中国語辞典」は中国語辞書として定評があり、しょせんスマホの無料アプリと思っては大間違いです。
白水社の辞書の特徴としては、用例の文構造が一文一文詳細に説明されており、ここが他の中国語辞典と大きく違うところです。ただし中級者が学ぶに当たって、そこまでの説明が必要かと言えばやや疑問です。また白水社の辞書は中日のみで日中は入っていません。用例にピンイン、音声ともについていません。
「Weblio日中・中日辞典」のデメリットはネットに接続できる環境でないと見られないことと、広告が入るためごちゃごちゃしていること、それらによって動作が重くなっている点です。ピンイン検索ができないのも使い勝手が悪いですね。
有料の辞書アプリのほうが使い勝手はいいものの、多くの学習者にとって「Weblio日中・中日辞典」は実用に耐えうるできと言えます。
また、「Weblio中国語翻訳」(http://translate.weblio.jp/chinese/)では長文の翻訳ができるため、「中国語の文章が多少変な日本語に訳されても、どういう内容が書かれているのか知りたい」というときなどに役に立つかもしれません。
「goo」の日中・中日辞書について
「goo中日辞書」(https://dictionary.goo.ne.jp/cj/)、「goo日中辞書」(https://dictionary.goo.ne.jp/jc/)は、三省堂提供の『デイリーコンサイス中日辞典(第2版)』(小型版辞書)と『デイリーコンサイス日中辞典』(小型版辞書)を元のデータとしてネットで無料公開しているものです。元となった紙の辞書自体が、携帯に便利な小型サイズの物なので、説明や用例は簡潔で、意味を調べるにはやや物足りなさがあります。Weblioのほうが親字数が多く用例も豊富です。
通常はWeblioのほうがgooより使いやすいのですが、ピンインで引きたいときは違います。Weblioはピンインで引くことができません。そのため、ピンインで検索したいときはgooの辞書が役に立ちます。もう一つ、Weblioの問題点として、「Weblio日中・中日辞典」は日中・中日が一緒になっていてどちらかを明示して引くことができません。そのため、特に1文字を辞書で引こうとするときなど、日中が同じ漢字で、「日中辞典で検索したいのに中日辞典の結果しか出てこない」みたいなことがあります。そういうときにgooの辞書が役に立ちます。gooは日中辞典と中日辞典が別ページとなっているため、結果も全く違います。中日辞典としては見出し語も用例もWeblioのほうが豊富で使い勝手がいいのですが、ピンイン検索と日中辞典ではgooに軍配が上がります。
「北辞郎」について
「中日辞書 北辞郎」(http://www.ctrans.org/)はユーザー参加型のオンライン中日、日中辞書で2017年時点で収録語数は20万語を超えています。次々に発生している新語を調べるのにいいかもしれません。辞書としての正確さは疑問、参考程度にしておいた方が無難です。また用例がついていないので、使われ方もよくわかりません。通常はWeblioのほうがいいでしょう。
スマホの中国語辞書アプリ比較
使い勝手 | 辞書の質 | 価格 | |
---|---|---|---|
小学館 中日・日中辞典 ビッグローブ版 | 〇 | 〇 | 4000円 |
小学館 中日・日中辞典 HMDT版 | △ | 〇 | 4100円 |
三省堂 超級クラウン | 〇 | △ | 4000円 |
「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)(4000円)がおすすめ
iPhone、androidともに「小学館 中日・日中辞典(ビッグローブ版)」(4000円)がおすすめです。スマホ版を持っていると同じOSのタブレットでも使えます。
中日辞典(第2版)は親字数1万3500、同時に日中辞典(第2版)を収録。中国で中国語の規範的な辞書「現代漢語詞典」を出している商務印書館との共同編集。日本の中国語辞典としてはスタンダードな辞書。
例文全文にはピンインはつかずところどころのみ。音声付き。バックライトは明るく、文字をスライド式で大きくすることができます。
HMDT社版の「小学館 中日・日中辞典アプリ」(4100円)について
「小学館 中日・日中辞典」のアプリはiOSでは2種類あり、ビッグローブ版とHMDT版です。ビッグローブ版のほうが後発で多くの面で使い勝手がよくなっています。
ビッグローブ版に比べ、例文検索の切り替えにひと手間掛かる、文字の大小は4段階、背景がやや暗くみ若干見づらい、と機能面での使い勝手がやや劣る印象です。
「三省堂 超級クラウン 中日・日中辞典」(4000円)について
「三省堂 中日・日中辞典 〜 超級クラウン中日辞典・クラウン日中辞典 〜」は、動作の軽快さなどアプリとしての出来はいいものの、元となっている辞書自体が小学館版のほうが優れています。
親字数1万1500を収録。小学館と比べると語彙の説明にやや物足りなさを感じますが、機能面は小学館に比べてよりスピード感あり。用例にピンインなし。音声あり。
その他の辞書アプリについて
通常の辞書アプリは紙の辞書が元本として存在しています。持ち運び用の辞書(収録数が少ない)を元本としたアプリを購入するくらいならWeblioでいいでしょう。
中国語辞書アプリの詳細比較と使い方
「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)
もっともおすすめの「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)(http://shikaku.biglobe.ne.jp/zhong_ri/)から見ていきます。
上部中央に検索欄があり、左上に「前方」「後方」「完全」の切り替えボタン、それらの下に「見出し」と「用例」の切り替えボタンがあります。
最初に中国語キーボードに切り替えます。
ここからは実際に辞書を引いてみます。
文字サイズを拡大してみます。
「小学館 中日・日中辞典アプリ」(HMDT社版)
次に、同じ「小学館 中日・日中辞典アプリ」ですが、HMDT社版のものを見ていきます。このアプリはもともとは小学館が直接販売していたもので、ビッグローブ版よりも前からありました。
上部中央に検索欄があるのは同じですが、「見出し」「用例」の切り替え、「前方(曖昧)」「前方(厳密)」「部分」の切り替え、とボタンが横に2つ並んでおり、やや窮屈な印象ですね。実際に使ってみると、このボタンのあたり判定が上下にも狭く、ビッグローブ版に比べると押しにくいです。
辞書を引いてみます。
文字サイズを拡大してみます。
HMDT社版の文字サイズの変更は、ピンチイン(2本指でせばめる)とピンチアウト(2本指で広げる)で行います。3段階になりますが、この文字サイズの変更操作は使い勝手が悪いです。
2つの「小学館 中日・日中辞典アプリ」は、ビッグローブ版のほうが後発の分、使い勝手がよくなっている感じですね。
「三省堂 中日・日中辞典 〜 超級クラウン中日辞典・クラウン日中辞典 〜」
最後に「三省堂 中日・日中辞典 〜 超級クラウン中日辞典・クラウン日中辞典 〜」(https://www.monokakido.jp/foreign/crowncn/)を見ていきましょう。このアプリを出している物書堂は、iOSで多くの辞書アプリを出しており、定評のある会社です。ビッグローブ版と比べても、やや動作が軽快で、プログラム的には優れている気がします。とはいえ、辞書自体が小学館のほうが定評があるため、おすすめするのは小学館のビッグローブ版になります。実際に引き比べてみると、用例が小学館のほうが優れているように感じます。
上部中央に検索欄があり、左下に「前方」「後方」「完全」の切り替えボタン、その隣に「中日」「日中」「用例」の切り替えボタンがあります。
辞書を引いてみます。
文字サイズを拡大してみます。
小学館と三省堂の中国語辞書アプリの中身の比較
小学館版の中国語辞書アプリをおすすめする理由となっているのが辞書そのものの良さです。紙の辞書の時点での差、とも言えます。
見出し語に関する訳や説明が小学館の方が充実しています。特に
など、心の内面を表す微妙な言葉の訳や説明にこの違いが鮮明です。三省堂の方は訳がややシンプルすぎるきらいがあります。単純な単語ならどちらも似たようなものですが、上述したような日本人にはわかりにくい単語についてはクラウンを引いた時物足りなさが残ります。例文に関しても小学館のほうが全体的に多くなっています。PCなら「ChineseWriter11」
仕事で中国語を使っている人にとっては「ChineseWriter11」(http://www.kodensha.jp/soft/cw/)(WindowsPC専用ソフト)が便利です。
辞書機能として、日中辞典3種類(小学館など)、中日辞典4種類(小学館第2版、中日大辭典第3版、中国語新語ビジネス用語辞典など)、中中は1種類(現代漢語大詞典)の辞書が入っています。一つの単語を調べるのに串刺し検索ができ、どの辞書の説明が一番適切か比較することができます。
また、「Wordでの自動ルビふり機能(ピンイン)」があるため、教材作りなどには役に立ちます。
ただし「ChineseWriter11」の主要機能である中国語入力自体は、無料のMicrosoftのIME(中国語入力ソフト)やGoogleのIMEが優れているため、使うかどうかは人それぞれになったと言えるでしょう。安定しているMicrosoftやGoogleのIMEと違い、バグも散見されます。
学習者にとってネックとなるのはPCの起動の遅さと2万5千円程度というソフトの価格でしょうか。「Windowsで作業中に辞書を引く」という特定の状況下で便利なソフトです。
役割を終えつつある電子辞書
すでにカシオ以外は中国語電子辞書から撤退。画質が悪く、辞書以外の作業ができないのが痛い。特にネットで検索ができないのは「調べ物のためのツール」として使い勝手が悪いと言えます。
唯一残っている中国語の電子辞書「XD-G7300」(http://casio.jp/exword/products/XD-G7300/)(カシオ)の画面サイズは5.3インチで、「iPhone7(4.7インチ)」と「iPhone7 plus(5.5インチ)」の中間です。そして画質は圧倒的にスマホのほうがいい……。スマホを持っている場合、電子辞書の必要性は少なそうです。
スマホの辞書が小さくて操作しにくいと考える人にはタブレットをおすすめします。電子辞書より若干重くなりますが、大きくきれいな画面は、学習用途に向いていると思います。
タブレット
iPadの登場以降、AndroidやWindowsなどのOSでも、様々なタブレットが発売されてきました。「スマホは便利なんだけど、画面が小さくて目が辛い」という場合にとても便利です。特に中国語学習では長時間画面を眺めると思うので、タブレットのメリットが目立ちます。
タブレットでのおすすめ辞書アプリ
iOS(iPad)、Androidともに、「小学館 中日・日中辞典(ビッグローブ版)」がおすすめです。
タブレットとは何か
簡単に言ってしまえば画面の大きなスマホです。あるいはキーボードのないノートPC。そのため、通常は指で操作します。最近はキーボードの取り外しができる「2in1」と呼ばれるノートPCとタブレットの中間のような物も増えてきました。
タブレットのOSについて
タブレットのOSはiOS、Android、Windowsと3種類あります。スマホと同じOSの場合、どちらかで辞書アプリを購入すれば両方の端末で使用することができます。WindowsもOffece365は5台までインストールでき、パッケージ版のOffice2016やChineseWriterなどは1度の購入で2台までインストールできるようになっています。(プリインストール版のOfficeは、そのPCでしか使えません。)
Windowsタブレットの場合、Windows用ソフトは通常、マウス操作を前提として作られているため、細かい場所の選択など指での操作が難しいことがあります。
タブレットでの印刷
「Wi-Fiに対応」しているプリンタでは、スマホやタブレットから直接無線で印刷できます。
タブレットの比較表
以下に現在(2017年4月)の主要なタブレットと電子辞書の比較を載せておきます。
画面サイズ | 解像度 | 重量 | 価格 | |
---|---|---|---|---|
iPad 9.7インチ | 9.7インチ | 2048px × 1536px |
469g | 40,824~ |
iPad mini 4 | 7.9インチ | 2048px × 1536px |
299g | 49,464~ |
ZenPad 3 8.0 | 7.9インチ | 2048px × 1536px |
320g | 35,000前後 |
Fire HD 8 16GB | 8インチ | 1280px × 800px |
341g | 12,980* |
XD-G7300(電子辞書) | 5.3インチ | 528px × 320px |
265g | 35,000前後 |
*Amazonの「Fire HD 8 16GB」はAmazonのプライム会員だと8,980円。Amazon独自のFire OS(Androidを元に改変したOS)ですが、Fire対応アプリ「小学館 中日・日中辞典アプリ」(ビッグローブ版)がAmazonから購入することで使えます。ゲームなど重いアプリは厳しいですが、語学学習とネットサーフィン程度であれば十分だと思います。ただしFire OS用のアプリが少ないので気を付ける必要があります。
タブレットでの中国語入力
タブレットでの中国語入力(中国語キーボードの表示、設定)については、iPadでの中国語入力、Androidでの中国語入力、で説明してあります。
紙の辞書
何といっても重い、かさばる、文字が小さく年を取るごとに引くのが億劫になる、調べたい文字にたどり着くのに時間がかかる、いくつかの辞書を読み比べようとするとかなりの時間と手間がかかる…と、アプリなどに比べ欠点が目立ちます。
ここでは紙でしか出ていない辞書を中心に紹介していきます。
講談社 中日辞典 第3版
親字数1万1000語収録。特徴は派生ツリーがあって、原義から派生義が生まれていく様子をたどれること。また類義語などコラムも充実しています。例文はすべてピンイン付き。電子辞書ではキャノンだけが搭載していましたが、キャノンが電子辞書から撤退した今、紙でしか読めないのは残念です。
現代漢語詞典
中国で最も権威ある辞書です。中国語の発音が人によって、または辞書によって異なる場合「現漢(現代漢語詞典はこのように省略化して言うことが多い)ではこう表記されていた」と言えば、そこで議論は終わりです。現漢で新語が収録された場合、「現漢に収録された」と言えば、危ない新語から「まとも系新語」に昇格です。親字数は1万3000語(第6版)。
東方書店『中国語文法用例辞典』(2003年、4,800円)
「虚詞」を中心に約1000語の用法を解説した『現代漢語八百詞』(増訂本)の翻訳です。副詞や介詞、接続詞などの使い方や意味に悩んだ時はぜひ一読を。日本語訳がすばらしい。
朝日出版社『中国語類義語辞典』(2015年、4,500円)
日本人にわかりにくい525セットの類義語を、辞書とエッセイの中間的な読み物として編纂。わからなかったら引くというより、読み物として読んでいるうちに中国語力がついてくる辞典です。
辞書の決め手は何か?
辞書選びの決め手は何か?私は用例の普遍性だと思います。このことばはよくこの場面で使われる、この場面での使われ方が典型的なものだという用例が数多くある辞書ほどすぐれた、手間をかけた辞書だと思っています。その点で中日辞典の場合、小学館と講談社がお勧めです。
グーグル検索
調べたい言葉がどの辞書にも載っていない時はグーグル検索が役に立ちます。なにかしら引っかかりますので、それを元に類推することもできますし、画像で形を確認することもできます。ただしそれらの説明が正しいかどうかは必ずしも保証されるものではないことは押さえておいた方がいいでしょう。
便利になった辞書
辞書についてざっとご紹介してきました。
中国語の辞書と言えば、昔(90年代初め頃)初めて日中辞典(小学館第1版)を手にした時の感激を思い出します。それまで日本にはちゃんとした日中辞典がなかったのです。この日本語どう訳すんだろう、あの日本語は…と思っても確かな中国語は出てきません。その時現れた小学館のしっかりした日中辞典、あれもこれも載っている!とどれほど嬉しかったことでしょうか。
感激と言えば電子辞書を初めて買った時の喜びも忘れられません。えっあの分厚い辞書が二つ分入ってこの軽さ!
あの便利だった電子辞書がいつの間にかスマホにとって代わられようとしています。宝物のようだった電子辞書、新バージョンが出るたびヨドバシの電子辞書売り場で胸躍らせあれこれ物色したこと。3万円以上出しても惜しくなかった電子辞書が今やカシオ一種類のみ、それも消えていくのは時間の問題でしょう。
スマホで質の高い無料辞書が使え、グーグル検索ができること、さらに4千円を出せば小学館の日中、中日辞典が手に入るようになったことなどが、私にとって電子辞書との縁の切れ目でした。スマホ一つで出先での中国語はほぼ解決できるようになってしまったのです。
心配なのは紙の辞書を使う人の激減で、出版社が辞書作りから撤退する動きがあることです。講談社は完全撤退し、今世紀が始まる前後あれほど次々に出された辞書出版の動きもにぶくなっています。新語の辞書もここ十年以上出版されていません。
いずれ中国語の辞書は中国の出版社頼りになってしまうのでしょうか?日本人感覚で作る優れた中国語の辞書がなくなるとしたらこんな残念なことはありません。
とはいえ、一度知った「便利」という蜜の味から人は逃れることはできないでしょう。どうやって日本における中国語の辞書作りを守るか、大きな課題だと感じています。