中国語で「よろしくお願いします」
初対面の人に会うと日本人がよく使う挨拶表現「よろしくお願いします」は中国語で何と言うんでしょうか?ここでは「よろしく」の中国語を集めてみました。サウンドマークをクリックすると音声が流れます。
目次
中国語で「よろしくお願いします」は“请多关照”
中国語で「よろしくお願いします」は“请多关照 Qǐng duō guānzhào”と言います。ただしこの言葉、昔から中国にあった表現ではなく、日本人のあいさつを中国語に訳したものです。中国人がまったく使わないということはありませんが、使う場面はやや異なります。
日本語の「よろしくお願いします」と中国語の“请多关照”の違い
日本語の「よろしくお願いします」と中国語の“请多关照”は使う場面がやや異なります。日本語の方はマナー言語として使われ、つまり初対面の場面での単なる挨拶、マナーとして使われ、実際の場面であれこれ相手に世話になることを期待はしていません。一方中国語の“请多关照”はこれから実際にお世話になるから「どうかよく面倒を見てくださいね」とお願いするわけです。言葉の実質的な意味が濃厚に残っているのです。
中国でも仕事の場面で使われるようになってきた「よろしくお願いします」
ところが最近中国でもビジネスの場面で日本語の「よろしくお願いします」と同じように“请多关照”が使われるようになってきたと聞きます。テレビドラマの中でも日本と同じスーツ、ネクタイ姿の俳優さんが、名刺を渡しながら“请多关照!”と言いあっていたりします。ビジネスのあいさつは面倒をかけたり、かけられたりが実際起こりうるわけですから、完全なマナー言語、つまり実質のない礼儀としての言語とは言い切れません。そこでこの言葉が流入しやすかったのだろうと想像します。
ビジネス以外の初対面の集まりで使えるか
ビジネスではなく、サークル的な集まり…つまり知り合った後世話をかけたりかけられたりがなさそうな集まりで、初対面の人が互いに“请多关照!”(よろしくお願いします)と言うかどうか?おそらくないのではないかと思います。中国語は漢字の意味がしっかり残る言葉、漢字の意味が実質を失う、単に挨拶、マナー、飾りもの的な使われ方をするようになるとは思えないのです。
日本人はつい「よろしくお願いします」と言いたくなるが…
日本人は初対面の挨拶でどうしても「よろしくお願いします」を言いたくなります。中国でこう言ったら変か?あるいは日本に来た中国人にこう言うとおかしいか?別に変でもおかしくもありません。日本に来る中国人(観光客以外)は「日本人はマナーだのルールだのうるさい人たちだからね、ちゃんとよろしくお願いしますって言うんだよ。言わないといじめられるよ」と教えられて来ますから、日本人が定石どおり「よろしくお願いします」を使ってくれたら「出たー!」とうれしくなることでしょう。しみじみ日本に居る感や日本人と会った感がすることでしょう。おおいにお辞儀をし(中国人にとって日本人と言えばお辞儀です)、おおいに「よろしくお願いします」や“请多关照!”を言ってあげましょう。
“请多关照”以外の「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」に当たる中国語表現としては“请多关照!”以外にもいろいろあります。
“请多~!”よりも“请多多~!”と“多”が一つ多い方が丁寧感が出ます。
もう少しラフな中国語の「よろしく」
もう少しラフな「よろしく」は“拜托了 bàituō le”(頼むよ)です。これは中国人はよく使います。これは実際用事ができた時に使う表現で、マナーなどとは関係ありません。“拜托您了 bàituō nín le”(どうかよろしくお願いします)と“您”を入れれば丁寧表現になります。この表現には“请 qǐng”は使いません。
“请多关照”と “拜托您了”の使い分け
“请多关照!”と “拜托您了”の違いですが、
“请多关照!”は、
1.ほぼ日本語と同じ、挨拶としての「よろしくお願いします」
2.こちらも挨拶ではあるが、これからお世話になることを見越して、どうかよろしく面倒を見てくださいと頼む。
“拜托您了”はまずお願いしなければならない具体的なことがあって、それの処理を人に頼む時に使う「よろしくお願いします」。
このような違いがあります。要するに具体的に頼みたいことがあるかないかの違いと言ってもいいでしょう。