中国の節句・伝統行事・祝日(休日)
目次
- 1. 中国の節句・伝統行事
- 2. 二十四節気
- 3. 中国の休日・法定祝日
中国の節句・伝統行事
中国の主な節句・伝統行事を1月から順に並べますと、春節・元宵節・清明節・端午節・七夕・中元・中秋節・重陽節・除夕(旧暦の大晦日・春節の前日)などがあります。その中で中国人にとって最も大切な節句は、春節・清明節・端午節・中秋節の4つで、これらは「四大伝統行事」とされています。
春節
「春節」(しゅんせつ)は、毎年1月下旬から2月中旬の間のどこかで行われる、一年で一番重要な節句・行事です。日程が一定しないのは太陽暦ではなく旧暦(陰暦)で行うからです。ちなみに2023年の春節1日目は1月22日、2024年は同2月10日で、2025年は同1月29日になります。
旧暦の「除夕」(大晦日)、つまり春節が始まる前の日に、「春聯」(縁起の良い言葉を対にして書いたもの)を玄関の扉に貼り、夜は家族そろって『春節晩会』(日本の『紅白歌合戦』に似たテレビ番組)を見たりして過ごします。
夜中の12時になると、爆竹や花火を打ち上げたり餅(主として南方)や餃子(主として北方)を食べたりします。これらを「年菜」(おせち料理)と言います。夜中の1時過ぎまで起きている習慣(「守歳」と言います)もあります。
翌朝は近隣や友人、親戚まわりをして春節の挨拶を交わします。これを「拝年」(ご年始・年始回り)と言います。日本と違って寺や廟などにお参りする習慣はありません。
清明節
「清明節」(せいめいせつ)は毎年4月5日頃にやってきます。「掃墓節」とも言います。先祖のお墓詣りの日です。先祖や家族のお墓に供物を添え、お金を模した「紙銭」と呼ばれる紙を焼いて冥福を祈ります。この日はまた「踏青節」とも呼ばれます。美しい春の盛りに郊外にピクニックに行ったりする「草を踏む」日でもあります。
端午節
「端午節」(たんごせつ)は戦国時代の楚の政治家・詩人の屈原(くつげん)を悼む日で、毎年6月上旬、旧暦では5月5日に行われます。楚の宰相・屈原は国の将来に絶望し、べきら江という長江の支流に身を投げてしまうのですが、民衆がこれを救おうと船を出したり、魚から遺体を守ろうと米を川に投げ入れたことがこの節句の始まりと言われています。今もこれにちなんで「ドラゴンボートレース」をしたり、粽(ちまき)を食べたりする習慣があります。
端午の節句は日本にも伝わりましたが、日本では屈原とは無関係に男の子の成長を祝い祈る日となり、兜を飾ったりこいのぼりを揚げるようになりました。戦後になるとこの日は男女を問わず子供を祝福する「子供の日」になりました。
中秋節
「中秋節」(ちゅうしゅうせつ)は9月の下旬、旧暦の8月15日に行われます。満月にお供えをしてその美しさを愛でるとともに、家族のだんらんを楽しむ日でもあります。中秋節には「月餅」(げっぺい)というお菓子が欠かせません。中秋節の祝いの品として周囲に配ったりします。
日本でも古来月見の日として中秋節は祝われてきましたが、日本では満月の美しさを鑑賞する日であるのに対して、中国ではポイントは家族のだんらんにあります。満月のように欠けることなく家族が集えることに感謝や喜びを感じる日です。
そのほかの伝統的年中行事
四大伝統行事のほかにも元宵節・七夕・重陽節などが伝統的に祝われてきました。
「元宵節」とは春節の次の満月の日のことで、春節の行事の一環として行われます。「灯節」とも言い、海外では「ランタンフェスティバル」として知られています。この日も家族で集まり「元宵」と呼ばれるお団子を食べます。
「七夕」は最近復活したお祭りです。かつては少女が織姫星に織物や縫物の腕の上達を願った日でした。近年は恋人たちがデートをしたりプレゼントをしあったりする「中国版バレンタインデー」になっています。
「重陽節」は旧暦の9月9日に行われます。陰陽で言うと9は陽の数、その数が二つ重なりますので陽の気が強すぎ、かつては邪気を払う日でした。後におめでたい日となり、この日は山に登ったり、菊の花の露を綿に湿して体をふいたり、菊を浮かべたお酒を飲んだりしました。近年は「敬老の日」となっています。
外来の行事
伝統行事以外に、2月14日の「情人節(バレンタインデー)」や12月25日の「聖誕節(クリスマス)」があります。「情人」とは「恋人」の意味で「恋人たちの日」です。この日は一般に男性が女性にバラの花を贈ったり、おしゃれなレストランでディナーを楽しんだりします。「聖誕節」も一般に若い人が楽しむ日ですが、最近中国の保守派から「クリスマスは欧米による文化侵略だ」という声が挙がっています。
少数民族の行事
上記以外にもおおぜいの少数民族を抱える中国ではそれぞれの民族ごとの伝統行事もあります。たとえばチベット族の「望果節」、モンゴル族の「ナーダム」、ダイ族の「水かけ祭り」、ウイグル族・回族の「クルバーン祭り」などです。ダイ族の「水かけ祭り」は海外からの観光客にもよく知られています。
二十四節気
「二十四節気」(にじゅうし せっき)とは、太陽の位置によって12の節気と12の中気に分け、それら24の季節の特徴を名前で表したもののことです。古来中国の農業はこの節気に従って行われてきました。日本でもこの言葉を使って季節を表したりしますが、元来中国の季節に合わせて作られたものなので、日本の実情には合わないものもあります。
これもまた年中行事と言ってもいいでしょう。以下に節気の名前と季節の特徴を書いていきます。
季節 | 節気 | 節気の時期 | 節気の説明 |
---|---|---|---|
春 | 立春 | 2月4日ごろ | 暦の上ではこの日から「立夏」の前日までが春。 |
雨水 | 2月19日ごろ | 空から降るものが雪から雨に変わる。 | |
啓蟄 | 3月6日ごろ | 虫が冬眠していた穴から出てくる。 | |
春分 | 3月21日ごろ | 昼と夜の時間がほぼ同じになる。 | |
清明 | 4月5日ごろ | 花が咲き乱れる。 | |
穀雨 | 4月20日ごろ | 農作業が始まるころ、春の雨が降る。 | |
夏 | 立夏 | 5月6日ごろ | この日から「立秋」の前日までが夏。 |
小満 | 5月21日ごろ | 草木が生い茂ってくる。 | |
芒種 | 6月6日ごろ | 穀物の種まきをする。 | |
夏至 | 6月21日ごろ | 一年で一番昼が長い日。 | |
小暑 | 7月7日ごろ | 本格的な暑さが始まるころ。 | |
大暑 | 7月23日ごろ | 夏の土用の時期。 | |
秋 | 立秋 | 8月8日ごろ | この日から「立冬」の前日までが秋。 |
処暑 | 8月23日ごろ | 暑さが止んでくるころ。 | |
白露 | 9月8日ごろ | 秋の趣が感じられるころ。 | |
秋分 | 9月23日ごろ | 昼と夜の長さがほぼ同じになる。 | |
寒露 | 10月8日ごろ | 露が結ぶ秋本番。 | |
霜降 | 10月23日ごろ | 霜が降りる。 | |
冬 | 立冬 | 11月7日ごろ | この日から「立春」の前日までが冬。 |
小雪 | 11月22日ごろ | 初雪が舞い降りる。 | |
大雪 | 12月7日ごろ | 川に氷が張り、山が雪で覆われる。 | |
冬至 | 12月22日ごろ | 一年で最も夜の長い日。 | |
小寒 | 1月5日ごろ | 寒の入り。この日から節分までが「寒」。 | |
大寒 | 1月20日ごろ | 一年で一番寒さが厳しいころ。 |
地下鉄千代田線の新お茶の水駅のプラットホームに降りると、この24節気のモザイクが並び電車を待つ乗客の目を楽しませてくれます。
中国の休日・法定祝日
中国で法律的に祝日として休めるのは、以下の表の通りです。
祝日名 | 時期 | 休みの期間 |
---|---|---|
元旦 | 新暦の1月1日 | 1日休み |
春節 | 新暦の1月下旬~2月中旬の1日。(旧暦の大晦日から旧暦1月2日まで) | 3日間休み |
清明節 | 新暦の4月5日前後 | 1日休み |
労働節 | 新暦の5月1日 | 1日休み |
端午節 | 新暦の5月下旬~6月上旬の1日。(旧暦の5月5日) | 1日休み |
中秋節 | 新暦の9月上旬~10月上旬。(旧暦の8月15日) | 1日休み |
国慶節 | 新暦の10月1日 | 3日間休み |
ですが、実際は前後の土日を入れて、以下のような休日になっています。
祝日名 | 休みの期間 |
---|---|
元旦 | 3日間休み |
春節 | 1週間休み |
清明節 | 3日間休み |
労働節 | 3日間休み |
端午節 | 3日間休み |
中秋節 | 3日間休み |
国慶節 | 1週間休み |
上記の祝日は国民全員が休める祝日ですが、中国には国民の一部のみ休みになるという祝日もあります。
祝日名 | 時期 | 休みの期間 |
---|---|---|
婦女節 | 新暦の3月8日 | 女性のみ半日休み |
青年節 | 新暦の5月4日 | 14~28歳までの青年のみ半日休み |
児童節 | 新暦の6月1日 | 14歳未満の子供のみ1日休み |
人民解放軍創立記念日 | 新暦の8月1日 | 現役軍人のみ半日休み |
※婦女節の「婦女」の規定ははっきりしていないようで、結婚しているくらいの年齢とか25歳以上とか、中国人に聞いてみるといろいろな返事が返ってきます。