銅鑼の歴史・中国の鑼

銅鑼

銅鑼とは

銅鑼どらとは打楽器の一つで、鉄や真鍮しんちゅうなどでできた金属製の円盤を枠の中につるして、棒状のバチで打ち鳴らします。

英語では「ゴング」と言います。ボクシングの試合で鳴らされるあの「ゴング」です。

日本ではお囃子や法要、茶道に使われたり、船の出航の合図に使われたりしています。

中国の鑼(ドラ)

ドラは中国語では「鑼」と言い、大きい物は「大鑼」と言います。銅製で直径は30センチほど、丸く平べったい形をしています。

これを音楽で使う時は、左手で持ち、右手に木づちを持って叩いたり、吊り下げて木づちで音を出したりします。

鑼の面は位置によって音の高低が異なり、中心部では低く、周辺部は高く、演奏者はこの性格を利用して音を調整します。

古代の鑼は「金」とも呼ばれ、戦争に用いられました。鑼が戦争を指揮したのです。そこで「有金収兵」(金を鳴らして戦闘をやめる…停戦する)という言葉が生まれました。

宋代になると鑼は民間音楽の「鼓板」の中で使われるようになります。

元代では宮廷の「宴楽」や民間の祭祀で使われたほか、雑劇の主要な伴奏楽器となりました。

明、清になると、昆曲の伴奏で重要な地位を占めるようになり、中国の「大鑼」はヨーロッパにも伝わって、18世紀にはフランスで演奏された管弦楽に初めて中国の鑼が取り入れられたと言われます。

20世紀になると、鑼は地方の伝統演劇や民間の芸能などで用いられ、楽隊の中で演奏されたり、行商人や猿回しの客寄せに使われたり、物売りの声代わりになったりしました。

さまざまなドラの音

日本や中国のいろいろなドラの音を聴いてみると、同じドラとは思えないほど音色が異なります。

たとえば日本の茶道で準備完了の合図に使うドラは、くぐもって余韻が静かに広がっていきます。

中国のドラは一般にまさに「じゃじゃじゃーん」と強く深く響いていきます。

日本で船の出航の合図に使う場合は中国のドラタイプです。

京劇の演奏に使われるドラは他の楽器と調和して、ドラが合図ではなく楽器であることを感じさせます。

ドラえもんの好物のどら焼きの「どら」

どら焼き
どら焼きの「どら」は銅鑼から来ています。

マンガで有名な「ドラえもん」の「ドラ」は「ドラ猫」から来ているそうですが、ドラ猫のドラえもんの好物は「どら焼き」です。このどら焼きの「ドラ」は同じ円盤型の「銅鑼」に由来するそうです。