倒福 中華料理店などで見かける逆さまの福の字

倒福

「逆さまになった福の字」、あれは何?

中国料理の店に入ると、壁によく「福」の字が逆さまになって貼ってあります。あれは何だろうと思った人もいることでしょう。あれは倒福と言って、 “倒福 dàofú”(福を逆さまにする)と“到福 dàofú“(福が来る)が同じ音なので、「福」を逆さまにして、「福」を招いているのです。

逆さまの福の字
逆さまの福の字で福を招く

倒福は縁起の良いことばに似せたゲン担ぎ

日本でも「まめ(健康)になりますように」と願ってお正月に「黒豆」を食べたり、試験の前にビフテキととんかつを食べて「敵に勝つ」とか、最近では「キットカット」というチョコレートを食べて「きっと勝つ」とか、そういうゲン担ぎ(良い結果になることを祈ってする行為)をしますね。倒福もそれと同じです。

倒福はなぜか日本の中華料理屋さんでよく見かける

長崎の中華街の倒福
長崎の中華街の倒福

この倒福、日本の中華料理屋さんではよく見かけるのですが、本場中国でよく見るのは逆さまになっていないノーマルな「福」の字です。これは“福字纹 fúzìwén”(福の字を使った模様)と言って、縁起物です。良い意味を持つ字を図案化して縁起物とするのですね。他には“寿字纹 shòuzìwén”(寿の字を図案化した縁起物)や“双喜纹 shuāngxǐwén”(喜を二つ連ねて図案化した縁起物)があります。

倒福のいわれ

今の中国ではむしろ逆さまにしていない福の方をよく見かけるのですが、逆さま福、倒福の歴史は古く宋の時代にはもうあったそうです。福の字をなぜ逆さまにするようになったか、このいわれについては諸説あり、共通しているストーリーは、庶民または家来が「福」の字を貼るように命令されたのに、字が読めないために上下逆に貼り、怒りを買ってあやうく首をはねられるところを、「福が逆さま、これは福が来るということではありませんか」ととりなしてもらって命拾いをするというものです。字をまちがえて貼るくらいで首をはねようという暴虐な権力者が明の朱元璋であったり、清朝の西太后であったりします。