清明上河図 1000年前の中国の暮らしがわかる絵巻物
清明上河図(せいめいじょうかず)は様々なバージョンがある中国の絵巻物です。おおもとは12世紀の宋代に作られたもの(上図参照)ですが、それが好評だったため多くの類似物が作られました。
中国語スクリプトのトップページにある動く表紙になっている『清明上河図』は、清時代に作られたもので、これは18世紀に描かれました(上図参照)(台湾の故宮博物館蔵)。オリジナルの『清明上河図』は北宋時代の都・開封(かいほう)のにぎわいを描いたもので北京の故宮博物館に所蔵されています。
2010年の上海万博ではこの絵巻物が一部アニメーション化され、絵の中の人物や乗り物が動くことで話題になりました。
清院本版(上にある図の18世紀版)はオリジナル版に比べると色彩が鮮やかです。乾隆帝の時代に当時の画家たちが描き献上したものだそうです。時間のある時ゆっくり味わってください。
2012年東京の国立博物館で、全長5メートル、縦24センチのこの絵巻物が展示されましたが、これを見るための行列がものすごかったです。朝9時半に並び始めたのに見ることができた時には午後2時を回っていました。ガラスのケースに納まった本物を見ることができた時間は1分に満たなかったでしょうが、見た瞬間に絵の中の小さな人物像が千年の時のかなたからこちらに向かって歩き出したような感覚がありました。何時間も並んだのだからそのくらいのご褒美がなくては、というさもしい思いが引き寄せた錯覚だったのでしょうか?でもあの長時間の行列に耐え疲労困憊しても見る価値はあったと感じました。
「清明上河図」という名前についてですが、清明節とは太陽暦の4月5日ごろ、昔からお墓参りの日とされてきました。日本で言うと春のお彼岸でしょうか。この時期は気温もあがり、いろいろな花が咲き乱れ、浮き浮きと外に出たくなるそんな季節です。開封には汴(べん)河という川が流れており、この絵巻物はその川の流域の様子を描いているのです。見ていると絵の中の人々と一緒に川に浮かぶ船に乗ってみたくなります。
ところで現在の開封(かいほう)に清明上河園というテーマパークがあります。
開園は2009年。清明上河図に描かれた風物を再現した歴史文化テーマパークです。一幅の絵を壮大なテーマパークにするという面白い趣向です。園内は絵のさまざまな場所を再現した川や橋、建物があるだけでなく、雑技や宮廷舞踊、高足踊り、相撲、闘鶏などのショーが見られます。入場料は2017年現在で大人120元(約2千円)です。