如意 【中国文化】
目次
- 1. 如意とは
- 2. 中国の孫の手
- 3. 如意は縁起物
- 4. 如意は仏具にも使われる
- 5. 孫悟空の如意棒
- 6. 台北と北京の故宮博物院に所蔵されている如意
- 7. 小説の『如意』
如意とは
如意とは「意のごとし」、つまり「自分の思いがすべてかなう」という意味です。中国語では“如意 rúyì”と書きます。中国では春節の年賀状などにおめでたい文句としてよく「吉祥如意!」(思いがかないますように!)、「万事如意!」(すべて順調でありますように!)などと書かれています。
中国の孫の手
「如意」という道具もあります。日本で「孫の手」と呼ばれる「痒い所を掻く道具」のことです。背中を掻くのは苦労しますが、孫の手さえあれば届きます。「思いがかなう」わけで「如意」という名がついたのでしょう。
如意は縁起物
如意は縁起の良い名前ですからやがて縁起物として使われるようにもなりました。S字型の棒状のもので先端にはハート型の飾りがついています。玉や金銀銅、象牙や竹、木などで作られ、飾りに使われる宝石はヒスイや玉、水晶、サンゴなどが用いられました。宮廷でも民間でも平穏無事、万事順調を祈るものとして贈り物に使われました。
如意は仏具にも使われる
如意はまた仏具としても用いられました。これを持っているとお経を読む時お経を忘れないで唱えられる効能があったと言われます。
孫悟空の如意棒
孫悟空の話に「如意棒」というのが出てきますが、これはここで書いている「如意」とは違います。孫悟空の如意棒は中国語では“如意金箍棒 rúyì jīngūbàng”と言います。思いのままにあやつれる棒ということですね。
台北と北京の故宮博物院に所蔵されている如意
如意の中でも特に宮廷で使われたものは芸術的価値の高いものが多く、台北や北京の故宮博物館に所蔵されています。宮廷の如意は特に明朝、清朝で数多く作られました。
小説の『如意』
劉心武の小説に『如意』という中編があります。清朝滅亡後没落した貴族の娘と、革命前の社会でも革命後の社会でも下積みとして幸薄く生きた文盲の男の悲恋物語です。社会の底辺に没落し、かつての侍女の助けで細々と生きる貴族の娘が「信物」(婚約の印)として男に渡したものがこの如意です。如意ではなかった人生と「如意」の取り合わせは皮肉でしたが、味わい深い小説でした。