八仙 【中国文化】

八仙

日本の七福神と中国の八福神

日本の縁起物に七福神がありますが中国では八福神です。「八仙」と言います。

この八仙人は『八仙過海図』というおめでたい図で知られています。

『八仙過海図』

『八仙過海図』(八人の仙人が海を渡る)は八人の仙人がそれぞれ自分の宝物…ひょうたんやら芭蕉扇、蓮の花などに乗って海を渡っていく様子を表した絵です。

八仙人の名前

この八仙人の名はそれぞれ李鉄拐(りてっかい)・漢鍾離(かんしょうり)・呂洞賓(りょどうひん)・藍采和(らんさいか)・韓湘子(かんしょうし)・何仙姑(かせんこ)・張果老(ちょうかろう)・曹国舅(そうこっきゅう)と言います。

個性的な八仙人

では上に挙げた八人の仙人とはどんな神様だったのでしょうか?

まず李鉄拐ですが、この八仙人の中のリーダー格です。ボロボロの服を着て足の不自由な物乞いの姿をしています。魂を遊離させたまま一週間体を離れていたところ、体を焼かれてしまい、仕方なく足の不自由な乞食の死体を借りてよみがえったのだそうです。

漢鍾離は頭に二つのあげまきを結い、太った裸のお腹をむき出しにしています。

呂洞賓は背中に剣をしょった書生の姿で描かれます。室町・戦国時代の水墨画家雪村の独特な絵でも知られています。

藍采和は破れた青い長衫、木の皮の帯、片足は穴のあいた靴、もう片方ははだしといういで立ちの少年、もしくは若者、もしくは女性です。

韓湘子は唐代の文学者韓愈の甥。酒浸りの放蕩者です。

何仙姑は女仙。生まれた時に6本の髪の毛が生えていました。

張果は敬意をこめて張果老と呼ばれます。出かける時は白いロバに乗り、休む時はこのロバを折りたたんで箱にしまい、また乗る時は水を吹きかけてロバの姿に戻したそうです。

曹国舅は時の妃の弟。親族が姉の権力をかさに着て悪事を働くのを見て、隠遁し修行を始めました。

以上なんとも個性的な、お目にかかってみたい仙人です。

山東省蓬莱市にある八仙の像
山東省蓬莱市にある八仙の像

八仙过海,各显其能

この八仙は“八仙过海,各显其能 bā xiān guò hǎi,gè xiǎn qí néng”(各自がそれぞれ腕をふるって競う)という意味のことわざで有名です。 西王母の誕生パーティの帰りに酒に酔った八仙人が海の仙女をからかうと、仙女が激怒し、八仙人は必死で自分の得意技を使ってやっと海を渡ることができたという伝説から生まれたことばです。仙人が酔っぱらったり、仙女をからかうなど仙人らしからぬふるまいですが、先ほどのプロフィールを読むと納得です。

七福神の宝船

ところで日本にも七福神というありがたい神様たちがいますが、やはり海を越えていくのでしょう、宝船に乗っています。中国の八仙は皆道教の神様ですが、日本の七福神は、恵比寿(神道の神)・大黒天(ヒンズー教の神)・毘沙門天(ヒンズー教の神)・弁財天(ヒンズー教の神)・福禄寿(道教の神)・寿老人(道教の神)・布袋(実在した禅僧)で、日中印の神様が仲良く共存しています。ちなみにこの布袋様、中国は蘇州にある北寺(三国志に出てくる呉の孫権が建立)にはでっぷり太ってニコやか、裸のお腹を突き出した布袋様の石像があります。