対聯と春聯

対聯と春聯

このページでは、対聯(ついれん)と春聯(しゅんれん)について紹介します。

対聯

対聯とは

対聯(ついれん)とは中国の伝統文化の一つで、紙や布に書いたり、竹や木、柱に刻んだりする対になった句のことを言います。

対聯は招福祈願から始まった

対聯は「春聯」とか「門対」などとも言います。「桃符」が発展したものです。「桃符」とは古代、正月に桃の木の板に神様の名前や絵を二つ描き、家の出入り口に掛けたり貼ったりして招福を祈ったものです。桃の木には邪悪なものを払う力があると信じられていました。

対聯は字数、構造、平仄までもが対に

対聯の対の形ですが、字数、構造、平仄(韻文を美しくするための音の配列法)が対になっています。ただ漢詩にあるような脚韻は必要としません。

対聯は三国時代から

対聯は三国時代(220~280年)にはすでに歴史書に記載があります。明代に江西省で大きな鉄の十字架が出土し、そこには孫権時代の年号が記載されていました。そしてこの鉄の十字架には「四海庆安澜,铁柱宝光留十字;万民怀大泽,金炉香篆蔼千秋」という対聯が刻まれていました。この内容は中国の早期のキリスト教と関係があるのだそうです。

春聯

春聯とは

春節の時家の出入り口にかける対聯を「春聯」(しゅんれん)と呼び、葬儀の時の対聯を「挽聯」(ばんれん)、お祝い事の時の対聯を「慶聯」(けいれん)と言います。

春聯の例

では下に春聯を一つ挙げましょう。

迎春迎喜迎富贵(春を迎え、喜びを迎え、富貴を迎える)

接财接福接平安(財を受け、福を受け、平安を受ける)

上句と下句がきれいな対になっています。

対聯は今でも使われている

今に生きる対聯

対聯は中国の伝統文化ですが今も生きています。北京の胡同を歩いていると昔の四合院の建物の入り口に対句が書かれていたり、木の柱に刻まれていたりします。こうした一戸建て風の建物以外でも、たとえばアパートのドアにお正月の春聯が干支の動物の絵とともに貼られていたりします。またレストランの出入り口やタクシー、バスの後ろのガラス窓にも対聯が書かれているのを見ることができます。これらの対聯の内容はおめでたい文句というより宣伝のキャッチコピーですが、それでも対になっているところが中国です。

犬小屋の対聯

犬小屋の入り口にもこんな対聯があったのを写真で見ました。

看家护院(家を見守り、院を守る)※「院」は庭や家屋を意味する。

尽职尽责 (職務を果たし、責務を尽くす)

こんな対聯を書いてもらったら犬も番犬冥利につきますね。

対聯がある日本の中国料理店

伝統文化がかくも現代中国にしぶとく残り、さらにさまざまなバリエーションを生んでいるところを見ると、中国人がどれほど「対」、シンメトリーが好きかということがわかります。これは日本人とは真逆の美学です。おそらく大昔から中国人はシンメトリー、左右対称の美を愛してきたのだと思いますが、日本人はそれを受け継ぎませんでした。ですから日本の中国料理店に入る時、入り口にちょっと注目してみてください。ある程度の大きさのあるお店の場合、入り口の左右の柱に対聯が書かれていることがあります。こういうお店があったらそこのオーナーはまず中国人でしょう。日本人は左右対称を基本(無意識に)受け付けないのです。日本人にとって左右対称は違和感のある配置です。「入り口に対聯があったらオーナーは中国人」、ウソだと思ったらお店の人に聞いてみてください。きっとこの説は100%当たりますよ。