中秋節の習慣 中国のお月見は家族みんなで月餅を食べます
中秋節(ちゅうしゅうせつ)とは旧暦8月15日、まさに秋の真ん中なので中秋節と言います。中国語では“中秋节 zhōngqiūjié”といいます。
2024年の中国の中秋節は9月17日となっています。
目次
中秋節の時期 旧暦の8月は秋
中秋節は9月上旬~10月上旬にある中国のお月見の日で、中国では休日となっています。
中秋節は旧暦の8月15日ですが、旧暦では1~3月が春、4~6月が夏、7~9月が秋、10~12月が冬です。今使われている新暦ではそれぞれ約1か月遅くなり、旧暦の7~9月はだいたい新暦の8~10月にあたります。
中秋節はお月見の日
中国の皇帝はかつてこの8月15日に、豊作を祈って音楽を奏で月に祈りを捧げたそうで、この行事がやがて民間に伝わっていったと言われます。ところで旧暦の8月15日に月を愛でるのは理にかなっており、春のように風が強くなく、夏のように雲があるわけでもなく、冬のように寒くもなく、美しい満月を楽しむのに爽やかな秋は最も理想的なのだそうです。
中秋節の食べ物「月餅」
中秋節になぜ月餅を食べるのか、こんな伝説が伝えられています。元朝末期、農民たちが異民族である元王朝に対して決起します。その際紙をしのばせた月餅を贈り合い、その紙に「決起の日は中秋節」と書かれていたのだそうです。その後中秋節に月餅を食べる習慣が広がるのですが、その理由としてはもう一つ、月餅の丸い形が「家族の輪」「家族の団らん」を意味するからだそうです。中秋節に月餅を食べる習慣は明から清にかけて中国中に広まりました。
月餅の餡(あん)
月餅の餡には小豆餡のほか黒ゴマ餡ハスの実の餡や松の実の餡などさまざまな餡があります。甘い餡の中にさまざまなナッツ類や塩味のアヒルの卵が入ったもの、肉やハムが餡になっているものもあります。本格的な中国の月餅はお腹にずっしり納まる感じです。お菓子というより高カロリーの保存食という感じがします。
中秋節は家族団らんの日
現代の中国人にとって中秋節は月を愛でるとともに、何より家族団らんの日です。家族が全員テーブルを囲み、月餅を食べ、お月様を眺めます。その日家族が一人でも欠けるなら、家を離れている者も残った家族も、互いを想う心を一つにして空を見上げ同じ月を眺めるのです。
日本の中秋節
この中秋節は「中秋の名月」として日本にも伝わりました。私の子供のころの記憶では、中秋の日母が十五夜のお団子を15個作ってお皿に盛り、花瓶にススキなどの野の花を飾って月の見える窓際に置き、手を合わせて皆でお月様に豊作の感謝を捧げました。いつの間にかこんな行事は日本人の生活から消えましたが、この思い出からは、日本のお月見の行事は中国の中秋節とは違うということがはっきりわかります。日本では家族団らんの日ではなく、月を花とともに愛で豊作の感謝をする日だったのです(地方によって違いはあるでしょうが)。春節や中秋節など中国の行事からは家族への思いの強さをしばしば感じます。ここから私は、日本人に比べて中国人は家族愛が強いのだというより、家族の結束がないと生き抜けなかったという中国社会の厳しさを感じるのです。
月餅の贈り物は賄賂のせいで禁止になりました
中秋節定番の縁起物月餅ですが、これは昔から贈り物としても用いられてきましたが、近年は賄賂をしのばせる隠れ蓑(かくれみの)としても使われてきました。月餅の入っている箱の下にお札を入れておくのです。ある小説では役人の家の子供が、贈られてきて山積みになった月餅の箱を片っ端から開け、中のお金を取り出そうとしている姿が描かれています。こうした風潮がやり玉に挙げられ、2013年からは公費を使って月餅を贈ってはならないという禁止令が出ています。
中秋節にもあるランタン祭り
ランタンフェスティバルと言えば普通は元宵節のあたりで行うものですが、中秋節にもランタンフェスティバルを行っている地域があります。香港、シンガポールなどでの中秋節のランタン祭りは有名ですね。秋に咲く蓮の花を模したランタンが多いようです。