中国の縁起物

中国の縁起物

日本で縁起の良いものと言えば、赤と白の垂れ幕、七福神が乗った宝船、招き猫、四葉のクローバー、ラッキーセブン、鶴と亀、松竹梅…。

縁起が悪いものと言えば、4や9、黒と白の垂れ幕、空を飛ぶコウモリ、13日の金曜日…現代の日本では昔ながらのものと欧米から伝わったものが混ざってしまっていますが、このようなものが思い浮かびます。

では中国では…ここでは中国の縁起の良いもの・悪いものを紹介します。

中国で縁起のいいもの

中国で縁起のいい「色」

中国で縁起のいい色彩は赤です。赤は中国でおめでたい色。中国ではウェディングドレスにも赤いものがあります。白いウェディングドレスを着てもあとで赤のイブニングドレスなどでお色直しをします。結婚式も祝い事も赤い色は不可欠なのです。

中国語の色の名前
中国語の色の名前・色彩のイメージ』(リンク先のページで、中国の色のイメージについて詳しく紹介しています。)

中国で縁起のいい「数字」

中国で縁起のいい数字は8と6です。8は「発財」(財産ができる)の「発」と音が似ているから、6は「六六大順」(すべて順調)という言葉から来ています。9も「久」(久しい・いつまでも)と音が同じなので愛される数字です。

中国語で数字の表し方
中国語の数字の数え方・指による表現・縁起のいい数字』(リンク先のページで、中国で縁起の良い数字について詳しく紹介しています。)

中国で縁起のいい「動物」

動物では鳳凰ほうおう麒麟きりんはおめでたい聖獣です。いずれも想像上の動物ですが、かなり古い時代から聖獣として大切にされてきました。

龍は大自然のパワーを表すと同時に皇帝のシンボルでもあります。

鳳凰は人間界に姿を現すと天下が安寧になると言われています。もともとは性別を持ちませんでしたが、龍とペアになると女性性を持ちます。龍が皇帝ならば鳳凰は后(きさき)を意味します。

麒麟は仁獣(慈愛の動物)で、優れた君主による仁政が行われると現れると言われます。また「麒麟送子」という言葉もあるように、立派な子供をもたらしてくれる存在です。

上3つの聖獣に比べるとややランクは落ちますが、や亀もおめでたい動物です。カササギもおめでたい鳥で、不吉な鳥・カラスとは対照的に愛されている鳥です。

日本人には不思議なことですがコウモリも縁起の良い動物です。これは蝙蝠(コウモリ)という文字が「変福」(福に変わる)という音と同じだからです。日本語の「めでたい→めで鯛」と同じような発想です。

龍
』(龍の歴史について紹介しています)
鳳凰
鳳凰』(鳳凰の歴史について紹介しています)
麒麟
麒麟』(麒麟の歴史について紹介しています)

中国で縁起のいい「植物」

植物では桃とひょうたんがおめでたいものとして大切にされます。どちらも不死や永遠のシンボルです。

日本では「松竹梅」もおめでたい植物ですが、これは中国の「歳寒三友」という言葉から来ています。「歳寒三友」は松竹梅を指しますがおめでたいものというより、寒さに耐えておのれを貫き花を咲かせる様に、環境がいかに厳しくても節を貫くという精神性が付与され、昔から絵画のテーマとして愛されてきました。

「七福神」と「八仙人」

日本では七福神がおめでたい神様として有名で、七福神の中には日本の神様も中国の神様もインドの神様も入っていて平和共存していますが、中国にも似た存在として「八仙」がいます。李鉄拐(り・てっかい)・漢鐘離(かん・しょうり)・呂洞賓(りょ・どうひん)・藍采和(らん・さいか)・韓湘(かん・しょうし)・何仙姑(か・せんこ)・張果老(ちょう・かろう)・曹国舅(そう・こっきゅう)の8人で、今も人気を集めています。ただし八仙人には外国人は一人もいません。

この八仙人はそれぞれ手に持つ法器でパワーを発揮するのですが、李鉄拐はその手にひょうたんを持っています。

八仙
八仙』(リンク先で八仙について詳しく紹介しています)

金運に恵まれる縁起の良い動物

招き猫は日本の縁起物ですが、今中国にも伝わっていて人気です。お土産屋さんでよく売られていますが、招き猫と並んで売られているのが同じ縁起物・金色のブタです。干支のブタは金運に恵まれるとして人気があり、わざわざブタ年(日本ではイノシシ年)に出産する人もいます。

中国の干支と十二支
干支と十二支』(リンク先のページで、中国の干支と十二支について詳しく紹介しています。)

おめでたい「文字」

文字にもおめでたい文字というものがあります。たとえば「福」という字はそのままでも、またこの字をひっくり返してもおめでたいとされています。福をひっくり返す→「倒福」は「到福」(福が来る)と同音になるからです。またラーメンの器の周りによく描かれている、喜を二つ並べたマークは「双喜紋」と言われ、喜びが二つ重なるという意味の縁起の良い紋様です。

倒福
倒福』(リンク先で倒福の習慣・由来について詳しく紹介しています)

中国で縁起の悪いもの

中国で縁起の悪い「色」

中国で縁起の悪い色彩は白です。白は喪服の色、葬儀の色なのです。日本では黒ですがこれは明治になって欧米の習慣が入ってきてから、と言われています。日本でも古くは白が葬儀の色でした。

中国で注意が必要な「数字」

中国で縁起の悪い数字は…4と言いたいところですが、日本ほど嫌われてはいません。縁起が悪いというより気をつけた方がいい数字としては250があります。これは読み方によっては「うすのろ」という意味になってしまうのです。

中国で縁起の悪い「動物」

中国で縁起の悪い動物はダントツでカラスです。何でも食材にする中国人ですがカラスだけは食べないそうです。こんなに嫌われるのはカラスが死んだ動物の肉を食べるからだと聞きます。

フクロウも不気味な鳥とされています。日本では「福郎」と書いて縁起物でもありますが、中国人にフクロウの飾りなどをプレゼントするのは禁物です。

中国で縁起の悪い「贈り物」

もう一つ贈ってはいけないものに置時計があります。「送鐘」(置時計を贈る)は音が「送終」(看取る)と同じなので、特に老人に贈るのはタブーです。

またカップルの前でわざわざ梨を切り分けて渡すのもタブーです。「分梨」は「分離」(別れる)と同音だからです。そういえば中国人は梨でもリンゴでも切り分けず、きれいに皮を剥くとそのまま相手に渡します。実が一般に小さいからでしょうが、切り分けるところを見たことがありません。