カササギ 【中国文化】

カササギ

中国人に愛される鳥カササギ

カササギは中国語で“喜鹊”xǐquèと言います。中国ではとても愛される鳥です。中国語の名前の中に「喜び」の文字が入っているほどです。カラスと同様カラス科の鳥で体の色も黒を基調としているのに、カラスとカササギに対する中国人の扱いは天と地の差があります。

頤和園の廊下にあるカササギの絵
頤和園の廊下にあるカササギの絵

カササギの姿

カササギはカラスより一回り小さく、体色の基調は黒ですが背中の羽に紫や緑がかったブルーが入り、飛ぶ時の羽は白くとても美しい鳥です。さらにその鳴き声はカラスとはまったく異なり、歌うようにさえずります。この声、この姿、中国人が心奪われた理由がよくわかります。きっとカラスは横目で「天はむごいよな」とつぶやきながら、ふてくされて「ギャアギャア」と叫んでいるのでしょう。

カササギは嬉しいことを伝えにくる

“喜鹊能报喜 xǐquè néng bàoxǐ”(カササギは喜びごとを伝えにくる)と言われ、吉兆のシンボルです。吉兆のシンボルとなったこんな伝説があります。

カササギの「報喜」伝説

昔ある人の家の前の木にカササギが巣を作りました。その家の人はカササギに餌を与え、いつの間にか人と鳥の間で心が通うようになりました。ところがなぜかこの人は罪なくして捕らわれ牢獄に入れられてしまいます。苦しみ悩む日が続きますが、やがてある日あのカササギが獄舎の窓辺にとまってさえずります。これはきっと良い知らせに違いないと思っていると、それから三日後果たして彼は無罪釈放されたのです。この話は絵に描かれ、吉祥の印として大流行します。こうして「カササギは喜びごとを伝えにくる」と言われるようになったのでした。

カササギと七夕

カササギと言えば七夕伝説の大事な脇役です。織姫と彦星は天の川によって天のあちらとこちらに分けられてしまうのですが、これに同情したカササギが群れをなして飛んできて、自らの体を使って彼らのためにカササギの橋を作ってくれるのです。こうして織姫と彦星は年に一度だけ逢うことができるようになったのでした。カササギの優しさが伝わってきます。あのさえずりを聞いていると、確かにカササギは優しい心の持ち主のように感じられます。

日本とカササギ

カササギと七夕伝説は日本にも伝えられ、奈良時代の有名な歌人大伴家持(おおとものやかもち)は「鵲(かささぎ)の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更(ふ)けにける」と歌っています。古代には日本にいなかったとされるカササギですが、今では佐賀県の県鳥だそうです。ネットの動画で姿も声も見聞きできますが、実物のさえずりを聞いてみたいものです。