チャルメラ(嗩吶)の歴史
目次
- 1. チャルメラとは
- 2. 中国における「チャルメラ(嗩吶)」
- 3. 「嗩吶」(チャルメラ)と冠婚葬祭
チャルメラとは
チャルメラとは即席ラーメンのパッケージに描いてある屋台のおじさんが持っている小さなラッパのことです。
最近はあまり聞きませんが、昔屋台のラーメン屋さんがあのラッパ、つまりチャルメラを♪ソラシーラソー ♪ソラシラソラーと吹いて客寄せをしていました。
あの楽器をチャルメラと言います。名前からして安っぽいのでまともな楽器とは思いにくいのですが、立派な管楽器です。
リードという薄いへらのようなものが2枚ついている木管楽器の一種で、ペルシアから西域を経て中国に伝わりました。この楽器はヨーロッパでは後にオーボエになっています。
日本には中国から安土桃山時代に伝わりました。
中国語では「嗩吶(スオナ)」と言うのですが、日本では安土桃山時代に伝わり当初「唐人笛」と呼ばれましたが、後にポルトガル人が「チャラメラ」と呼んだのでそれが「チャルメラ」になったと言われます。
中国における「チャルメラ(嗩吶)」
中国における「嗩吶」は中国各地で使われている民間楽器です。
管の部分は木でできており、そこに穴が8つあいています。管は円錐形をしていて上に銅管、下にラッパ口がついていて「喇叭」(ラッパ)とも呼ばれています。嗩吶の名称は他にも大笛、海笛、梨花などいろいろあり、地方によっても変わります。
この楽器は元代にペルシアから伝わり、明代には軍楽として使われたという記述が残っています。
清代には宮廷の『回部楽』の演奏にも取り入れられました。
「嗩吶」は民族楽器として広く愛され、伝統演劇や儀式などの伴奏によく使われています。2006年には中国の無形文化遺産に登録されました。
「嗩吶」(チャルメラ)と冠婚葬祭
「嗩吶」はまた民間における冠婚葬祭に欠かすことができず、とりわけ農村において盛んに使われています。
中国の庶民の間では「婚礼は人生の一大事、喜ぶべき、ことほぐべきで、これがたとえ葬儀であっても、めでたいこととしてにぎやかにとりおこなわなければならない」と言われており、こうした冠婚葬祭があると「嗩吶」やどらや太鼓の楽師は引く手あまたとなりました。
1950年代から60年代の農村で婚礼が行われると、できるだけにぎやかにやってメンツを立て見えを張ろうと、楽師を呼んでドラや太鼓、そしてチャルメラで花嫁の輿(こし)を運び、花嫁道具を届け、村をあげておおいに飲み食い、こうした婚礼関連のイベントは十日ほども続いたと言われます。
葬儀のにぎわいも婚礼に負けず劣らず、チャルメラやどらを欠かすことはできない上に伝統芝居の一座まで呼んで弔いの歌を歌い、一晩中親類友人とともににぎやかに通夜をとり行ったそうです。
文革を境にこうした習俗は中国から一掃されたかに見えましたが、近年農村を中心にかつての婚礼や葬儀の風習が復活し、こうした日にはチャルメラやどらの響きが村一帯に響き渡るということです。
「チャルメラ」以外の中国の音楽・楽器については、「中国の伝統音楽・楽器」のページで詳しく紹介しています。