西王母

西王母

西王母とは

西王母は王母娘娘とも呼ばれ中国の神話の中の女神です。古い書物『山海経』では西王母の姿を「人の顔、トラの牙と体、豹のしっぽ」と描いていますから妖怪ですね。この妖怪は天の災いや死刑などを司る死神のような存在でした。時代が下るとともにこのイメージはやがて人の命を自在に操ることのできる不老不死の女神になっていきます。

西王母はやがて道教の女神に

中国の六朝時代(A.D.222~A.D.589)ごろから西王母は道教の美しい女神になっていきます。ところで道教というのは中国古代の民間信仰を土台とした中国固有の宗教で、不老不死と現世利益を主な目的としています。道教といえば道家が浮かび、道家といえば老子ですが、道教は道家や老子と関連はありますが、これは老子が創設した宗教ではありません。老子は春秋戦国時代の哲学者。道家は老子の思想を基礎として発展させたもの。道教は黄巾の乱で有名な太平道にその起源を持ち、老子を神とし、老荘思想を道教の源とする土俗的な宗教です。

桃園を管理する美しい天の王母

道教で西王母は最高位の女神です。他の仙女すべてを支配し、西の聖地で諸神が住む崑崙(こんろん)山を統治し、不老不死の桃園を管理する絶世の美女として篤い信仰を集めます。

西王母と桃を手にした麻姑

西王母と蟠桃会

さて西王母といえば蟠桃会(ばんとうえ)ですが、これは西王母の生誕祭で、陰暦3月3日に西王母自身の主催で行われます。位の高い仙人や神を天の瑤池に招き、9千年に一度実をつけるという蟠桃をふるまうのです。この蟠桃という桃は実際にあるのですが、少し平べったい形をしています。とても甘く汁の少ないタイプだそうです。この蟠桃の中で3千年に一度実をつける桃を食べると仙人になることができ、6千年に一度実をつける桃は長生きができて年をとりません。9千年に一度実をつける桃は天地と同じ寿命を得られるのだそうです。

麻姑献寿

このパーティで麻姑(まこ)という名の女仙も招かれるのですが、彼女は自分が醸造した「霊芝酒」を西王母に献上します。これを「麻姑献寿」と称します。

無視された孫悟空は大暴れ

このパーテイに呼ばれなかった孫悟空は腹を立て天宮で暴れまわってこの蟠桃を勝手にむしゃむしゃ食べてしまった、と『西遊記』にあります。またこの場面は京劇の有名な演目≪大闹天宫 Dà nào tiāngōng≫でも取り上げられています。

西王母は七夕伝説では怖い神様

七夕の物語にも西王母は登場します。この中の西王母は権力をふるう怖い女神です。織姫と彦星は許しを得ずに結婚し、このことが西王母の逆鱗に触れて天の川の両岸に別れ別れにされてしまうのです。

西のかなたへの憧憬から西王母の神話は生まれた?

いろいろな顔を持つ西王母ですが、この西王母神話は「西」にポイントがあるという説も。中国大陸の西のかなたには異なる顔立ち、異なる文化があり、未知なる夢幻の地です。こうした素地のもと崑崙山や西王母の神話が生まれたというのです。西王母の最初の体も人間の顔に虎の体。どこかスフィンクスにも似ています。遙か昔、東西の交流から生まれた女神なのかもしれません。

覚えたい中国語

蟠桃 pántáo(蟠桃)