麻姑
麻姑とは
麻姑(まこ)は道教の有名な仙女です。マコなんて聞くと可愛い女の子みたいですが、見た目は二十歳前の美女です。ただこの仙女様、地球上の海が陸地に変わるのを三回目撃したと言いますから、年齢は何千歳か何万歳かわからないというすごい方!中国語に“沧海桑田 cāng hǎi sāng tián”(世の移り変わりの激しいこと)という成語がありますがこれは麻姑のこの話が元になっています。
麻姑の手
麻姑は爪が鳥のように長かったそうです。ある時不謹慎な男が「これで背中を掻いてもらったら気持ちいいだろうなあ」とつい心に思うとなんとこの思いはすぐに見抜かれてしまい、罰が当たって何者かにぶんなぐられます。ところが、なぐっている人の姿は見えなかったそうです。この話が「マゴの手」の由来で日本では「孫の手」と書きますが、元は「麻姑の手」だったんですね。
麻姑と西王母
三月三日は西王母の誕生日で、天では蟠桃のパーティが開かれ神仙たちが各地からやってきて誕生日をお祝いします。百花、ボタン、シャクヤク、カイドウの花仙は麻姑をさそって一緒にこのパーティに参列、花仙はそれぞれ自分の花を祝いの品とし、麻姑は絳珠の河原で霊芝で作った寿酒をプレゼントします。このお酒、蓋をあけるや馥郁(ふくいく)たる香りがあたりに漂い、西王母も大満足。こうして麻姑は西王母から「女寿仙」の名を授かるのでした。
麻姑と酒
さてこのお酒を造った場所ですが絳珠の河原というのは陝西省終南山にあります。別の説では江西省にある麻姑山中の十三泓清泉で作ったとも言われています。伝説・神話というのはこのように、いろいろな場所で語り伝えられるものなのでしょうね。
『麻姑献寿』
昔老人の長寿の祝いと言えば必ず絵を飾ったそうで、絵には男女の別があり、老女の長寿の祝いには『麻姑献寿』の絵を掛けて祝いました。この絵の中で美しい麻姑は雲に乗り、手には祝いの品を持っています。一つは美酒で、これは麻姑が自ら醸造したもの、もう一つは桃の実で、これは西王母から贈られたものです。『麻姑献寿』にはいろいろなパターンの図柄がありますが、この二つは欠かすことができません。というのも桃と酒はどちらも長寿の象徴だからです。
京劇の『麻姑献寿』
麻姑が西王母の誕生日にはせ参じる『麻姑献寿』の物語は京劇にもなっていて、西王母や麻姑、それに八仙人も登場し、おめでたく華やかな物語を展開しています。