繁体字と簡体字 2種類の中国語の文字

中国の文字

中国で使われている文字はもちろん漢字です。日本で使われている漢字と少し違うということは知っている方も多いでしょう。昔は同じでした。中国で使われている漢字が日本に伝えられたのですから。

繁体字・当用漢字・簡体字

戦後日本では1850の漢字が簡略化され、正式に用いられるようになりました。これが「当用漢字」です。中国でも1956年に漢字が簡略化され、これを「簡体字」と名付け、正式に用いられるようになりました。台湾や香港では昔ながらの漢字がそのまま使われ、簡体字が使われることはありませんでした。この昔のままの漢字を「繁体字」と言います。

繁体字と比べるとなぜ日本も中国も漢字の簡略化を図ったかよくわかりますね。ちなみに日本の小学生が6年間で習う漢字は約1000。中国の小学生が習う漢字は約5000だそうです。繁体字×1000でも溜息が出ますが、それが5000になったら!中国ではかつて文字の読めない人がたくさんいましたが、食べるのに精いっぱいの貧しい庶民や農民の子が学ぶにはハードルが高すぎます。中国の簡体字づくりには、文字の読める国民を増やしたいという思いもあったのです。

ところでなぜ中国の子供は5000で、日本の子供は1000?それはもちろん日本には漢字以外にひらがなやカタカナがあって、意思の疎通を図るのにこれらでもある程度は間に合うからです。それに比べて中国の子供は簡単なこともみんな漢字ですから大変です。擬音語だって漢字ですよ。「ワンワン」という犬の鳴き声も「」という字を当てるのです。「ザーザー」という雨の音も「」という漢字で表すのです。繁体字だと「嘩嘩」ですから、雨の形容も大変です。カタカナの楽さと比べてみてください。

簡体字と当用漢字の微妙な違い

難しい漢字は「ヤダ!」という点では一致した日本語漢字と大陸漢字ですが、だったら話し合って同じ形にしてくれれば良かったのに、そうもいかない事情がいろいろあったのでしょう。微妙な違いがそこここにあって、10年以上勉強している人でも「エッこの字、日本の漢字と違ってたの!知らなかった」などということがよくあります。

違いはわかりましたか?

強、変、以、画、骨と中国語の「」「」「」「」「」はよーく見ればわかるでしょうが、他はなかなか難しいです。

差の中国語「」は真ん中の払いが左下につながっているのです。

反の中国語「」は一画目が右から左に払うのです。

勇の中国語「」は中が田ではなく用です。

晩の中国語「」は払いが上から左下につながっています。

外国の地名や人の名前はどうするの?

漢字しかないなら「アメリカ」とか「トランプ大統領」とかどうするの?もちろんこれら全部漢字です。アメリカなら、トランプ大統領なら特朗普Tèlǎngpǔ总统(大統領)です。意味ではなく、原音に似た漢字を当てているのです。外来語に一つ一つ漢字を選ぶわけですから大変です。定着するまでいくつもの訳し方があったりします。漢字は意味を持っているので時には音+意味で訳したりします。たとえば車のBMWは中国では(宝の馬)、ベンツは(疾走する)という名で知られています。いかにもスピードを上げて走る高級車のイメージの漢字であり、音も原音に似ています。