中国語の「私」「あなた」などの人称代詞の表現
中国語で「わたし」「あなた」「彼」「彼女」などの言葉を「人称代詞」と言います。中国語を覚える際、まず必要になってくるのがこの人称代詞です。このページでは、中国語の「人称代詞」の表現や発音、日本語との違いなどを紹介します。サウンドマークをクリックすると音声が流れます。
「中国語で「これ」「あれ」「どれ」などの指示代詞の表現」、「中国語単語」にも関連する中国語表現があります。
目次
- 1. 中国語の「私」を意味する言葉は一つ
- 2. 中国語の「私たち」を意味する言葉は二つ
- 3. 中国語の「あなた」を意味する言葉は二つ
- 3-1. 中国語で「あなた」の表現
- 3-2. 日本語の「あなた」の特徴
- 3-3. 中国語の「あなた」には敬語もある
- 3-4. 敬語としての「あなた」の美しさ
- 4. 中国語の「彼」「彼女」「それ(動物やモノを指す第三人称)」
- 4-1. 日本語の第三人称の特徴
- 4-2. 中国語の「彼」「彼女」は英語と同じ
- 4-3. 中国語の第三人称の一覧表
中国語の「私」を意味する言葉は一つ
日本語の第一人称には「私(わたし)」「わたくし」「僕」「俺」「わし」「あたし」などたくさんあります。日本人はこれらを年齢や男女の違いによって使い分けるとともに、こうした多様な第一人称から相手の年齢、男女、時に社会的地位まで聞き分けます。中国語にはこうした違いはありません。第一人称としてはたった一つ“我 wǒ”があるだけです。男女、年齢の差に関わらずこれを用います。実はもう一つ“俺 ǎn”があるのですがこれは方言です。田舎の人がよく使いますが、男女差はありません。男でも女でも使えます。
日本語 | 中国語 | ピンイン | 発音 |
---|---|---|---|
私 | 我 | wǒ |
中国語の「私たち」を意味する言葉は二つ
第一人称の複数形「私たち」には2種類あります。“我们 wǒmen”と“咱们 zánmen”です。この二つの違いは「話し手」以外「聞き手」も含むかどうかです。前者は聞き手は含まず、後者は聞き手も含みます。たとえば、日本側二人、中国側二人で交渉をしているとします。お昼になって日本側が「さあご飯でも食べにいきますか」と言う場面で、もし“我们”を使うなら日本人二人だけで食事に行くという意味になり、“咱们”を使うと日本人二人、中国人二人、計四人みんなで食事に行くという意味になるのです。ワンフレーズで意味が大きく変わるので注意が必要です。また聞き手を含もうと含まなかろうとどちらでもいい場合、“我们”より“咱们”を使った方が聞き手に温もりを与えると言われます。
日本語 | 中国語 | ピンイン | 発音 |
---|---|---|---|
私たち | 我们 | wǒmen | |
私たち | 咱们 | zánmen |
中国語の「あなた」を意味する言葉は二つ
中国語で「あなた」の表現
日本語 | 中国語 | ピンイン | 発音 |
---|---|---|---|
あなた | 你 | nǐ | |
あなた | 您 | nín | |
あなたがた | 你们 | nǐmen |
日本語の「あなた」の特徴
日本語の第二人称もまたたくさんありますね。「あなた」「きみ」「あんた」「おまえ」などなど。これらも男女の違いや場面で使い分けがあります。そして日本語の第二人称のきわだった特徴としては、「あなた」に冷たい響きがあることです。「あなた」が使えるのは基本地位が自分より下の人に対してだけです。社員は社長に「あなた」とは言えず、学生は先生に「あなた」とは言えません。かりに言うとしたら喧嘩腰の場面です。これが一番使いやすいのは、先生が生徒に、母親が子供に説教する場面でしょう。「あなたはなぜそんなことをしたの!」「あなたはどうしてそうダメなの!」という具合です。そこでお客様向けにはけっして「あなた」や「あなたたち」は使いません。「あなた」は「お客様」に、「あなたたち」は「皆さま」に換えます。(長々と書いたのは中国語を通訳しなければならない場面で、うっかりこの「あなた」や「あなたたち」を使いがちだからです)
中国語の「あなた」には敬語もある
中国語の「あなた」は“你 nǐ”“您 nín”の二つがあり、前者は一般的な「あなた」、後者は尊敬をこめた「あなた」です。これら第二人称に日本語的な冷たさはまったくありません。英語のyouと同じです。複数形は“你们 nǐmen”だけで、“您们”という言い方はありません。
敬語としての「あなた」の美しさ
中国語に敬語は基本ないのですが、唯一と言っていいのがこの“您”です。たとえば北京では子供は親に対して“您”を使います。タクシーの運転手さんなどから“您”を使われたりすると、めったにないことなのでびっくりすると同時に、相手に教養さえ感じます。敬語は素敵だと思う瞬間です。ただ最近はビジネス界を中心に昔ながらの敬語、やや大仰な言い回しが復活しつつあるようです。
中国語の「彼」「彼女」「それ(動物やモノを指す第三人称)」
日本語の第三人称の特徴
日本語の第三人称である「彼」「彼女」はおそらく明治以降に使われるようになった輸入語ですから坐り心地がやや悪いです。なじみにくいというか…。その場にいない友人を指して「彼今どうしてるの?」って少しキザでしょう?「彼女」の方がなぜかなじみますね。日本語ですと「〇〇さん」と名前を使うのが一番自然で失礼になりません。先生に対して「彼」は明らかに失礼、親に対して「彼」「彼女」は使いません。
中国語の「彼」「彼女」は英語と同じ
中国語の第三人称は男、女、動物などすべて同じ“tā”です。ただし漢字で書くと「彼」は“他”、「彼女」は“她”、「それ(動物など)」は“它”になります。英語のshi he itなどと同様の使われ方で、日本語のようにやや不自然なニュアンスはありません。先生にも親にも、その場に彼らがいなければ使えます。
複数形は「彼ら」は“他们 tāmen”、「彼女ら」は“她们 tāmen”、「それら」は“它们 tāmen”となります。では男女が混じった複数形は?これは“他们”を使います。
中国語の第三人称の一覧表
日本語 | 中国語 | ピンイン | 発音 |
---|---|---|---|
彼 | 他 | tā | |
彼女 | 她 | tā | |
それ(動物など) | 它 | tā |
日本語 | 中国語 | ピンイン | 発音 |
---|---|---|---|
彼ら | 他们 | tāmen | |
彼女ら | 她们 | tāmen | |
それら(動物など) | 它们 | tāmen |