中国語で「さようなら」「またね」「行ってきます」 別れの挨拶

中国語でさようなら

中国語で「さようなら」、よく知られているのは“再见 zàijiàn”ですが、これ以外にもいろいろな言い方があります。ここではどんな場面でどんな表現が使われているのかを見ていきましょう。サウンドマークを押すと音声が再生されます。

スタンダードな中国語の「さようなら」“再见”

最もスタンダードな中国語の「さようなら」は、日本でもポピュラーな

再见
zàijiàn
さようなら

です。

これを覚えておけばどこでも通じます。ただ日本人はどうしても「ザイチェン」と拗音で発音しがちですが、これは「ザイチェン」ではなく「ザイチエン」です。つまり「チェ」ではなく、まず「チ」と言ってから「エン」を後ろにつけるのです。こうするときれいな中国語になります。

“再见”とは「また会いましょう」

“再见”の漢字をよく見ると「再び見る」と書いてあります。中国語の“见”には「会う」という意味がありますから、この言葉は「また会いましょう」という意味なのです。日本語の「さようなら」にはなにやら哀愁が漂っていて重く、めったに使いません。今では「じゃまたね」とか「じゃあね」と言いますね。でもこの「さようなら」ももともとは「じゃあね」の意味です。「さようならば、これにて失礼つかまつる」がもともとの別れの挨拶ですから、「それならこれで失礼する」→「じゃあこれで失礼」ということで、「さようなら」は「じゃあね」です。重い部分は省略して軽いところだけ残したのでしょう。昔の日本人も今の日本人も感覚はあまり変わっていません。別れ際に目をそらして「じゃあね」と言って後は口をにごす、こんなシャイな日本人の別れの挨拶に比べると中国語は、「また会おうね」ですからスッキリ・サッパリ・前向き挨拶です。

二度と会わないであろう場面での中国語の「さようなら」

では夫婦や恋人が別れるなど、二度と会わない場面では“再见”は使わないかというとそんなことはありません。そういう場面で「また会おう」はおかしいではないか、となりそうですが、言葉というものは習慣化されれば元の意味は消えてしまうのでしょう。つまり“再见”は意味を考えて言う言葉というより、別れの場面で使うある種マーク化された言葉なのです。ですから二度と会うことのない場面でも使われます。そうした時はもちろん少し重いニュアンスを持ちます。

最近よく聞く中国語の「バイバイ」

最近、

拜拜
báibái
バイバイ

という挨拶もよく聞きます。

bái
バイバイ

と単独で言ったりもします。日本語の「バイバイ」と同じく中国語のバイバイも英語から入った言葉です。中国語には“拜 bài”(拝する)という言葉がありますがこれは4声です。外来語系の挨拶“拜 bái”は2声で発音しますが、いろいろな声調に聞こえます。もともとが英語ですから、絶対に2声という決まりはないのだろうと思います。日本語の「バイバイ」は意味が軽く、たとえば大人同士では使いませんが、中国語はもう少し広い範囲で使われ大人同士でも使っています。ただかなり深刻な別れの場面では基本使いません。そういう場面にはそぐわない言葉なのでしょう。

電話を切る時の中国語の「またね」

電話を切る時の中国語の「またね」は“再见”、“拜拜”ともに使えます。

那,再见!
Nà,zàijiàn!
じゃ、またね
好了,拜拜!
Hǎo le,báibái!
じゃあね、バイバイ

などと言います。

「行ってきます」も「さようなら」系の中国語を使う

中国では小学生は必ず親が見送ります。一人で登校させたり子供たちだけで登校させるということはありません。それだけ日本に比べると安全ではないということでしょう。そうした時、校門の前で子供たちは必ずパパやママに「行ってきます!」と言います。その時の中国語

妈妈,再见!
Māma,zàijiàn!
ママ、行ってきます
爸爸,拜拜!
Bàba,báibái
パパ、行ってきます

です。見送る親の側も子供の名前を言って、その後に“再见!”とか“拜拜!”と言います。つまりこれらの言葉は「行ってきます」であるとともに「行ってらっしゃい」でもあるのです。つまり「一時的な別れの挨拶」です。

大人が使う中国語の「行ってきます」

では子供でなく、大人はどんな言葉で「行ってきます」という「一時的な別れの挨拶」をするのでしょうか?

那,我走了
Nà,wǒ zǒu le
じゃ行くね
我走了啊
Wǒ zǒule a
私はこれで
我先走了
Wǒ xiān zǒu le
お先に

など“走”を使います。“走”は「その場を離れる」という意味も持ちますから、日本語の「行ってきます」にピッタリです。では「行ってらっしゃい」に当たる中国語は、と言うと特にないのですが時に

慢走
Màn zǒu
気をつけてね

などと言ったりします。つまり日本語の「行ってきます」「行ってらっしゃい」などのような型が決まってはいないのです。挨拶は日本語は型が決まっており、中国語は型があまり決まっていない、と言ってしまってもいいかもしれません。

旅に出る人、旅先の人へ 中国語の「行ってらっしゃい」

旅行に行く人に「行ってらっしゃい!」「良いご旅行を!」などと中国語で言う時は、

祝你一路平安!
Zhù nǐ yí lù píng ān!
旅先でご無事でありますように!
祝你旅途愉快
Zhù nǐ lǙtú yúkuài!
旅行が楽しいものでありますように!

などと言います。この時、“祝你”(あなたが~でありますように)を取ってしまっても気持ちは伝わります。長くて覚えられなかったらこの後ろの4文字だけでも覚えておくと、日本に来た旅行客などに声をかけて喜んでもらうことができます。

亡くなった方への中国語の別れの挨拶

身近な人が亡くなった時よく涙ながらに

一路走好!
Yí lù zǒuhǎo!
気をつけて行くんだよ→どうか安らかに

と呼びかけます。中国の南方では「行ってきます」という意味で、先ほどの“慢走 ”の代わりにこの“走好”を使う地方がありますが、中国の北方の人がこれを聞くとお葬式のようで違和感を感じるそうです。

いろいろな中国語の別れの挨拶

別れの際には他にもいろいろな言葉があります。たとえば再会の日時を決め「きっとだよ」と念を押す時の中国語は、

不见不散!
bú jiàn bú sàn!
会わなければその場を去らない=きっとだよ

と言います。別に相手を信用していないのではなく、相手と会うのをいかに楽しみにしているかを伝える言葉なのです。よく使いますので、外国人がこれを使うと相手を喜ばすことができるでしょう。ただビジネスの場で使えるかとなるとやや微妙ですね。場の空気を読んでからにしましょう。ある種の友情が成り立っていれば使えます。

「いつの日にかまた」を意味する中国語

もう一つ、「いつの日にかまた」を意味する中国語で、

后会有期
hòu huì yǒu qī
そのうちお会いすることもあるでしょう

という言い回しもあります。再会の日を約束しているわけではないのですが、このまま別れてしまってもまたいつか会えますよ、という名残を惜しむ言葉です。