中国で「ビットコイン」などの仮想通貨の採掘が規制される
中国で「ビットコイン」などの仮想通貨の採掘が禁止される
ビットコインの採掘(マイニング)のシェアは中国がこれまで7~8割を占めていましたが、今月上旬に中国当局がビットコインの採掘を規制したことがわかりました。
そもそもビットコインとは?
最近中国に限らず様々なニュースでよく聞く「ビットコイン」ですが、これは簡単に言うと、発行者や管理者のいない通貨です。日本円であれば日銀が発行していますが、ビットコインには発行者はいません。
ビットコインは、「採掘(取引の記録・計算)」を行ってくれる多くの人たちによって取引が記録され、それによって取引が成立しています。ビットコインで取引が行われるたびに、世界中の多くの(採掘を行っている)人によってその取引が記録・計算されています。この「採掘(記録・計算)」を行う人たちには報酬としてある程度のビットコインが渡される仕組みになっています。これが鉱山を掘る作業に似ているため、「採掘(マイニング)」と呼ばれています。
「採掘」と電気代
この「採掘」はPCなどで膨大な計算作業を行っています。そのため、「採掘」によって得られる報酬と、計算作業にかかるコスト(主に電気代)の差額が重要になってきます。中国ではこの「コスト(=電力価格)」が安いため、多くの企業・個人がビットコインなどの仮想通貨の採掘を行っています。
ビットコインの採掘における中国のシェア
ビットコインの採掘事業では、膨大な電力を消費するため、気温が低く(→機械の冷却費用が安い)、電気代が安い(→機械の動作費用が安い)地域が有利となっています。
中国の北方はこの条件を満たしており、1kwh(1キロワットの電流を1時間流した時)の電気代が大口だと10円を切っていました。日本では東京で約26円のため、ビットコインの採掘における中国の競争力はかなりのものだったと言えます。そのため、2017年のビットコイン採掘における中国のシェアは7~8割となっています。ただし今後今回の規制などによって、中国はそのシェアを落としていくと思われます。
また、中国ではビットコインの採掘のために盗電が行われていたというニュースもたびたび流れていました。この場合、採掘の主なコストである電気代がただになるので、非常に収益率が高かったでしょう……。
これまでの中国でのビットコインの規制
中国では昨年9月にも取引所での元と仮想通貨の取引を禁止するなど、これまでも規制を強めてきました。そのため昨年は多くの中国国内の仮想通貨取引所が閉鎖されました。この背景には、資金の流れが把握できなくなることへの警戒があるものと思われます。
ただし、昨年10月に中国のIT庁が「ブロックチェーン技術(ビットコインに使われている技術)の標準化を目標とする」という文章を発表していたため、今後中国政府が独自の仮想通貨を発行するという憶測は流れています。
中国で規制されることの影響
中国はビットコイン採掘のシェアが非常に大きいため、仮に一斉に採掘が停止した場合、ビットコインへの大きな影響が起こります。
ビットコインは「採掘=取引の記録・計算」となっているため、具体的な影響としては、「仮に中国で一斉に採掘が停止した場合」、これまで1回の取引に10分かかっていたのが、20分、30分と長時間かかるようになるかもしれません。もっとも、中国の採掘業者は中国で採掘を行っていた機械を周辺国に移して採掘を続けるところも多いようなので、実際の影響は限定的となりそうです。
また、ビットコインの仕組み上、採掘をする人が減るとその分採掘で得られる報酬が増えるようになっているので、もし中国で採掘がおこなわれなくなったとしても、代わりに別の地域で採掘が行われると思われます。
採掘の移行先としては、寒冷地の火山帯であり、地熱発電によって1kwhあたりの電気代が約3.5円のアイスランドなどが有力視されています。
話題のニュースから中国語を覚えよう
ではこのニュースに関連する中国語を覚えていきましょう。
中国のお金に関しては、「中国のお金の単位・お金に関する中国語表現集」のページでも紹介しています。