シーン別中国語会話「居酒屋のお通しを説明」

このページでは、「居酒屋のお通しを説明する場面を想定した」長めの中国語会話を学んでいきます。中国語会話の学習方法や、様々なシーンの中国語会話については「中国語会話のトップページ」へどうぞ。

学習方法(例)
  1. 本文上につけたイントネーションマークを見ながら中国語本文を読む
  2. 音を聞く(サウンドマークをクリックで音が出ます)
  3. 日本語に訳してみる
  4. クリックして日本語訳を確認する
  5. クリックして文法構造を読む
  6. 意味や構造を確認した上で中国語本文を何度も読む
  7. できたら日本語訳から中国語に訳してみる
  8. できたら本文中国語を暗記してみる(暗記の嫌いな人は何回も声に出して読む)

中国語会話シーン 「居酒屋のお通しを説明」

―――シーン説明―――

仕事の帰り同僚たちと駅近くの居酒屋に行きました。カウンターで楽しくおしゃべりしていると、隣の席には中国人観光客らしき若い女性たちが何人か。そこに「お通し」のつまみが来ました。彼女たちは注文前に来たお通しに首をかしげ、隣の日本人に何か尋ねたい様子です。

それでは本文の学習に入っていきましょう。

左側に「日」と書かれているのが日本人のセリフで、「中」と書かれているのが中国人のセリフです。

A
「皆さんは中国人?」
Nǐmen
shì
Zhōngguórén
ba
?
文法構造
「是構文」に語気助詞の“吧”が入った文です。語気助詞の“吧”はいろいろなニュアンスを持ちますが、ここでは「推察への同意」を表しています。「皆さんは中国人でしょう?」
B
「ええ、あなたも中国人?」
Shì
shì
Zhōngguórén
?
文法構造
これも「是構文」を使った疑問文です。疑問を表す語気助詞“吗”を使わず、文末のイントネーションをしり上がりにすることで疑問を表すタイプです。このタイプは日常的な会話でよく使われます。“也“という頻度を表す副詞が“是”という動詞の前に来ています。この副詞は「~もまた」と訳します。
A
「いいえ、僕は日本人です。」
shì
Rìběnré
n .
文法構造
「是構文」は“不”で否定します。
B
「中国語お上手ですね。」
Hànyǔ
hěn
búcuò
文法構造
“不错”という形容詞を使った形容詞述語文です。“不错”は口語(おしゃべり言葉)でよく出てきます。「悪くない」「なかなかいい」「すばらしい」などの意味を持ちます。
B
「ちょっとお聞きしたいんですが、この料理はどういう意味ですか?」
Qǐngwèn
zhè
cài
shì
shénme
yìsi
?
文法構造
“请问”は挨拶用語で「すみません、ちょっとお尋ねします」という意味です。次に続く文は「是構文」で“这菜”が主語。“什么意思?”を目的語の位置に置いて「この料理はどんな意味ですか?」となります。
B
「まだ何も注文していないんですが。」
wǒmen
hái
méi
diǎncài
ne
?
語釈
还: (副詞)まだ
点菜: (動詞)料理を注文する
呢: (助詞)事実を相手に確認させる語気
文法構造
“我点菜”(私は料理を注文する)という動詞述語文の動詞“点”の前に、「否定」を表す副詞“没”を置き、さらにその前に頻度を表す副詞“还”を置いて「私はまだ料理を注文していない」という意味になります。
否定の副詞には“没”と“不”がありますがそれぞれ意味が違います。“没点菜”ならば「料理を注文していない」、“不点菜”は「料理を注文しない」。“没”は「ある動作が発生していない」ということであり、後者は「ある動作が発生しない、存在しない」ということです。つまり“不”を使うと「料理を注文する」という意志を否定することになるのです。
A
「居酒屋には一つ習慣があって」
Jūjiǔwū
yǒu
xíguàn
語釈
上菜:(動詞)料理をテーブルにのせる・料理を運ぶ
习惯:(動詞・名詞)ここは名詞。習慣・習わし。
文法構造
所有を表す動詞「有」の文です。
この文では目的語“习惯”の前の数量詞“一个”“一”が省略されています。こういう数詞は「一」はしばしば省略されてしまいます。
また日本語ではふつう「~という習慣がある」という文になりますが、中国語はしばしば「習慣がある、(それは)~」と結論が先に来ます。
A
「注文前にまずつまみを一皿出します。」
diǎncài
yǐqián
xiān
shàng
pán
xiǎocài
語釈
上菜: (動詞)料理をテーブルにのせる・料理を運ぶ
盘:(量詞)皿に盛ったものを数える。「一皿の~」
文法構造
“上菜”は「動詞+目的語」構造の動詞なので、数量詞などは動詞と目的語の間に入ってきます。“上一盘小菜”で「一皿の小さな料理を運ぶ(持ってくる)」。
A
「これは有料ですが」
shì
yào
shōufèi
de
語釈
要:(助動詞)必要だ
收费:(動詞)お金を取る
是~的: 話し手の見解を断定的に表す言い方。「~なのだ」。
文法構造
この文は“是”の前の主語“这”(これ)が省略された“是~的”構文です。“是~的”構文には2つありますが、こちらは、自分の見解、判断、評価などを断定的に述べるタイプの“是~的”構文。「これはお金を取るのです→これは有料なのです」
A
「でもそんなに高くはありません。」
nàme
guì
語釈
可: (接続詞)“可是”(しかし)に同じ
不那么: “不太”と同じ。あまり~ではない
贵: (形容詞)(値段が)高い
文法構造
“贵”という形容詞を使った形容詞述語文。
A
「一種の席代ですね。」
shì
zhǒng
xíwèi
fèi
文法構造
「是構文」で、“是”の前の主語“这”(これ)が省略されています。
B
「そうなんですか!」
Ò
shì
zhèyàng
文法構造
「是構文」。“这样”は「このようにする」。ある動作や状況を具体的に述べる代わりに使います。
B
「一皿いくらくらい?」
Duōshao
qián
dié
文法構造
主語“这个”(これは)が省略された名詞述語文。名詞述語文とは名詞、名詞フレーズ、数量詞などが述語になれる文のことです。
ここでは“多少钱”(疑問詞+名詞)が述語になっています。また「一皿いくら?」「一ついくら?」など日本語では数量詞の部分が後ろにきますが、中国語では逆になります。
A
「300円くらいかな。」
Dàgài
sānbǎi
rìyuán
zuǒyòu
ba
.
語釈
大概: (副詞)おおよそ
日元: (名詞)(日本の)円
左右: ぐらい
吧: (助詞)推量を表す
文法構造
この文も主語が省略された名詞述語文。
B
「20元くらいか。高くはないですね。」
Rénmínbì
èrshí
kuài
zuǒyòu
guì
.
語釈
人民币: 人民元。単位は“元yuán”。話し言葉では“块”
块: 元。話し言葉。後ろに“钱 qián”を伴うことが多い
文法構造
コンマの後半は形容詞述語文。
A
「日本は初めて?」
Shì
dìyīcì
lái
Rìběn
ma
?
語釈
第一次: 初めて
文法構造
主語の“你”(あなたは)が省略された文。「初めて日本に来たのですか?」
この“是”は「是構文」の“是”でも「是~的」構文の“是”でもなく、話し手の認定、判断の気持ちを強調して表す時に現れる“是”です。“是”にはこのような用法もあります。
B
「はい。」
Shì
.
A
「若い女性たちが初めて日本に来て居酒屋に入るなんて」
Nǐmen
nǚhái
dìyīcì
lái
Rìběn
jiù
jìnle
jūjiǔwū
語釈
女孩: (名詞)女の子。少女。広く未婚の女性を指すこともある。
就: (副詞)すぐに
进: (動詞)入る
文法構造
やや複雑な文です。“就”の前をA、後ろをBとすると「AしてすぐBになった」となります。Aは「あなたがた若い女性たちが初めて日本に来た」、Bは「居酒屋に入った」と言う意味で、その間に“就”(すぐに)が入ります。全体で「あなたがた若い女性たちが初めて日本に来てすぐ居酒屋に入った」。
“居酒屋”はもともと日本語で、近年中国語に入った言葉です。
A
「勇敢ですね。えらい!」
hěn
yǒnggǎn
Hěn
bàng
語釈
勇敢: (形容詞)勇敢だ
棒: (形容詞)すごい・すばらしい
文法構造
主語が省略された形容詞述語文。
B
「日本て安全ですもの。」
Rìběn
tǐng
ānquán
de
語釈
: (副詞)とても。後ろに来る形容詞の後にしばしば“的 de”を伴う。
文法構造
形容詞“安全”が使われた形容詞述語文。
B
「勇気なんて必要ないわ。」
yòng
shénme
yǒngq
ì .
語釈
不用: (副詞)~する必要がない
什么: (疑問代詞)ここは「何かの」。不定の意味を表す
文法構造
“不用什么勇气”全体で「何らの勇気も必要としない」となります。

※一つの文が長いのでコンマのところで切って訳や解説をつけていますが、中国語では文(単文)同士の内容に深い関連性があれば一つの文になります。たとえば

“是要收费的,可不那么贵,是一种席位费。”

となります。これを日本語に訳すと

「有料ですがそんなに高くありません。一種の席代です。」

などとするのが普通だと思いますが、中国語で“可不那么贵”のところで句点「。」“句号 jùhào”をつけてしまうと不自然です。つまり日本語では文の最後が終止形で終わっていれば一つの文とみなしてそこに句点をつけますが、中国語ではこの「終止形」という意識がないため、一つ一つの文同士に深い関連性があれば日本語に訳した時終止形になるような文でも、コンマ「,」“逗号 dòuhào”でつないでいきます。