日本と中国での自動車に対する意識の違い

日本と中国での自動車に対する意識の違い

日本人が車を買う時と中国人が車を買う時、そこにはなんらかの文化的差異はあるのでしょうか。ここではそうしたことを紹介します。

日本にあふれる軽自動車に驚く中国人

いつの間にか日本の通りには黄色いナンバー・軽自動車があふれんばかりになりました。これも軽、あれも軽、黄色いナンバーのオンパレードです。

日本に初めてやってきた中国人はこうした様子を見て口をアングリ…「こんなチッポケな車に乗って日本人は恥ずかしくないのか…」

日本人は昔からこうだったのでしょうか。

20年ほど前ある親戚の集まりで、息子が軽自動車に乗って現れたのを見てその父親が「なんだ、軽か…」と馬鹿にしたように言ったのを耳にしましたので、日本人にも車をステータスシンボルにした時代があったのでしょう。

今では高級外車に乗る人を見ても、それをステータスシンボルとからめて尊敬のまなざしで見る人はいないでしょうし、軽自動車に乗る人を見ても誰も貧乏だとは思いません。

日本人にとって車はすでに家電のようなもので、便利で役に立つならいいのです。

中国人にとって車とは

中国人が自家用車に乗るようになったのはここ20年、特にこの10年です。日本とは40年ほどの時間差があります。

中国人にとって今車はまさにステータスシンボル、安っぽい車になんか乗ったら人に足元を見られビジネスにも影響が出てしまいます。高級車に乗っていれば尊敬のまなざしで人が集まり、友人は増え美女も群がります。

中国人は日本人の想像以上にメンツというものを重んじる人々です。人生は「自慢できる自分を人に見せるためにある」と言ってもいいでしょう。中国の男性にとって「メンツは命より大事」なのだと女子留学生たちが口をそろえて言っていました。

ちょっと成功した男なら豪華な車、ベンツ・BMWあたりに乗らなくてはメンツが立ちません。さらにはナンバープレートに「888」などの数字をそろえたいところです。これが上海ナンバーですとベンツと同じくらいの値段になりますから、見た人は「ハハーっ」とひれ伏してくれます(心の中で)。

要するに豪華な見た目と高額である車を所有していることが、その人の価値を高めてくれるのです。豪華でナンボ、高くてナンボの世界です。まさに成金さんの世界ですが、今の中国人はその滑稽さにはほとんど気づいていません。「滑稽だよ」と言えば「落ち目の日本人が中国に嫉妬している」となるのがオチでしょう。まあ日本人もバブル真っただ中では似たようなものだったのかもしれません。「落ち目のアメリカやヨーロッパが何を言ってんだか…」みたいな。この世は諸行無常で、成金趣味の中国もいずれ落ち着いていくのでしょう。

自動車に対する価値観の違い

中国の最近のネットを眺めると、「日本の金持ちはなんで豪華な外車に乗らないのか」「日本の若者はなぜ車に興味を持たないのか」などの記事がたくさんあります。

これらの文章には、日本に観光に来て中国人の好きな外車のあまりの少なさ、軽自動車の多さを見て、別な価値観を発見した驚きがあふれています。

「中国と日本は価値観が違う。どちらがいいか何とも言えないが、日本人はもう充分豊かになり、物質ではなく精神的な価値を求めるようになっているのだ」という記事もありました。

日中それぞれの「車」観の違いは、こうして近代化スタートの時間差や価値観、文化的な好みの違いなどを浮き彫りにして見せてくれます。