中国・中国人のプレゼント文化【日中で異なる贈り物に対する考え方】

中国・中国人のプレゼント文化

日本人と中国人ではプレゼント・贈り物に対する考え方や文化が異なります。ここを理解していないとせっかく贈り物をしたのにちっとも喜ばれなかったということが起こり得ます。ここではそうした中国・中国人のプレゼント文化について紹介します。

日本のプレゼント文化の特徴

プレゼントは中国語では「礼物」と言います。

プレゼントに日中異文化もないだろう、万国共通…人に心をこめて贈り、人から心のこもったものをもらえばうれしい…そこに人種や民族の違いはないはずだと思うかもしれませんが、違いはやはりあるのです。

日本のプレゼント文化には特徴がいくつかあります。

1つは「心がこもっているならどんなものでもありがたいもの」という意識。

2つ目は「つまらないものですが」と謙遜して渡すこと。

3つ目はどんなに安いものでも必ずきれいに包装すること

…などです。

このうち中国のプレゼント文化と同じもの、または似たものはあるかというと、2番目は似ていますが1と3は異なります。

中国のプレゼント文化の特徴

中国人は一般にプレゼントというものは「豪華なもの」という意識があります。人にプレゼントする以上それは豪華なものであるべきなのです。豪華なものであってはじめてそこに「心」や「情(じょう)」が生じるのであって、ちっぽけなものを贈って「気は心」などというのはむしろ人への侮辱だったりするのです。

また豪華なものだからこそ豪華な包装をしてよいのであって、中身がチープでちっぽけなものならおしゃれな包装などする必要はない、と中国人は考えます。

日本人と中国人のプレゼントに関する行き違い

あらーまさにちっぽけなものを可愛い包装紙でくるんで「気は心」が通じると思って中国人にあげちゃったわ…と言う方もいるかもしれません。その中国人が日本に長い人なら不快に感じることはないかもしれませんが、中国からの観光客や中国人へのおみやげにそうしたものを持っていったら、相手は喜んではいないはずです。

中国はプレゼント文化の過渡期にある?

ちっぽけなものを可愛くラッピングしても喜ばないのは確かですが、では中国人が日本人に渡すプレゼントは?と考えると…実はたいしたものをもらった記憶は私にはないのです…

ひと昔前は中国人からのプレゼントと言えば、ふるぼけた竹の扇子・安っぽい刺繍入りハンカチ・人に書いてもらったらしい漢詩の書…

当時の中国人はまだまだ貧しかったのでこれはしかたのないことでした。

それに対して日本人がたとえば、中国ではまだ珍しいボールペンなどを持っていくと…陰口を聞かれたりするのでした。つまりあんなに豊かな国から来たのだからこんなちっぽけなものを持ってくるのはおかしいだろう、という感覚です。

では今はどうか。

今の中国はGDPは日本を抜いて堂々たる世界第2の経済大国です。

じゃあ今の中国人が日本に来る時豪華なプレゼントを持ってくるかといえば…私の知る限りノーです。

GDPが中国の下になった日本人からは豪華なプレゼントを期待しないかといえば…これも私の知る限りノーです。

つまり中国は「中国は日本を抜いて(これが大事)アメリカの次のナンバー2だ!」と自慢するのですが、個々の中国人はお金を大切に握りしめ、ちょっとしたつきあいの日本人に高価なおみやげを持ってきたりはしないのです。

近年都市部を中心に急速に豊かになっている中国人ですが、プレゼント文化から眺める限り「お金持ちの鷹揚さ」はまだありません。

もらえるものはもらう、出すものはできるだけ少なくする…貧しさを嫌というほど味わった人たちの心情がまだ残っています。

もっとも今の20代30代はまた違っていることでしょう。

文化の違いも?

日本人と中国人のプレゼント文化

日本人はささやかなプレゼントでもそこに心がこもっているなら喜ぶ傾向があります。これは日本が豊かになってから時間が長く経つからなのか、それとも昔からそうなのか…その両方なのかもしれません。

すると中国人に一般にそうした感覚がないのは、まだ豊かになり始めたばかりだからなのか、それとも中国文化の中にそうした土壌がないからなのか、おそらくこれも両方なのでしょう。

中国人へのプレゼントはどうするのがいいか

ではこうした違いのある日本人と中国人が気持ちよく交流するためにはどうしたらよいか。

日本人が中国人にささやかなものを渡す時には「プレゼント」だということを強調しない方がいいでしょう。「旅の記念によかったらどうぞ」くらいのスタンスですと喜んでくれるかもしれません。

日本人が中国に行く時のおみやげはどうするか。

交流を長く続けたいならば、中国人が喜び、周囲の人に自慢できるような(面子が立つ)ものを持っていってあげたらいいと思います。「この日本人は自分のことを大事に思ってくれている」と感じると恩義に感じてずっと忘れることがない…という中国人が多いです。