パンダは中国語で熊猫? 元々は猫熊!? 【中国のパンダ事情】

中国のパンダ事情・パンダに関する中国語

このページではパンダを意味する中国語が猫熊から熊猫へと変化した経緯や、中国のパンダ事情などについて紹介します。

パンダの中国語のいわれ

近代中国におけるパンダの最初の名前は「猫熊」または「大猫熊」でした。顔が猫のようにまるく、体型は熊のようだったからです。

かつて中国では文字は縦書きで右から左に読みました。その後横書きになり左から右に読むようになりました。

1939年四川省のある博物館でパンダ展をやった時に横書きで「猫熊」と書いたところ、読む人が誤って「熊猫」と呼んでしまい、やがて「熊猫」が定着していきました。本来中国語は右側の文字がカテゴリーを表すことが多く、「猫熊」なら熊の一種ですが、「熊猫」だと猫の一種となり理屈に合わないのですが、皆がそう呼ぶことでこの名前が定着してしまいました。ところが台湾では今も「猫熊」と呼んでいます。

パンダについての基礎知識

パンダ

パンダは正式には「ジャイアントパンダ」と言い、中国語では「大熊猫」と言います。クマ科の哺乳類で、体長は1.2~1.8メートル、体重は80~120キロですが、体重180キロのパンダもいるそうです。

愛らしい風貌に内また歩きで愛されていますが、鋭利で刃物のような爪があり、怒ると他のクマ類と同様の怖さを秘めているとか。

地球上に現れて少なくとも800万年は経っており、「生きている化石」とも呼ばれます。

中国では「国宝」とされ、世界自然基金会のイメージキャラクターです。

第3回全国パンダ野外調査によると、パンダは世界中に1600頭足らず、中国の国家1級保護動物となっています。2011年10月現在、中国国内で飼育されているパンダ数は333頭です。

パンダは最初肉食動物でしたが、進化を経て草食動物となり主食の99%は竹です。

野生のパンダの寿命は18~20歳、飼育されているパンダの寿命は30歳を超えます。

パンダは中国の固有種で、現存の生息地は四川省、陝西省、甘粛省それぞれの山間部です。

パンダの歴史

800万年前にすでに地球上に存在していたパンダの先祖は食肉獣でした。その後中国の南部や中部で進化を続け、300万年前には現在のパンダより小型の雑食獣になっており、華北、西北、華東、西南、華南およびベトナム、ミャンマー北部でその化石が発見されています。

その後パンダは亜熱帯の竹林に適応して体重も増大し、50~70万年前にパンダ最盛期を迎えました。同時期の動物は絶滅してしまいましたが、パンダは今もなお生息し、古代生物の特徴を残しています。

中国大陸に住む人々はかなり古くからパンダの存在を知っており、『書経』や『詩経』にも「貔(ひ)」などの名前で記載されています。

1869年にフランスの博物学者が四川省雅安宝興県にある教会近辺を調査していた時に現地の人が「白熊」「花熊」などと呼んでいた動物に遭遇します。その後この動物の標本をフランスに持ち帰り 、「黒白熊」という新種の動物として「猫熊」と名付けました。

パンダの生息環境

パンダの生息地

パンダは中国の長江上流、高山深谷に生息しています。気候は暑からず寒からず、常時80%の湿度があります。パンダは湿度を好むのです。パンダ生息地の80%以上は四川省内です。

パンダは海抜2600~3500メートルの竹林地帯に暮らし、空気は薄く、常に雲や霧に覆われ、気温は20度以下です。クマ科ですが気温がマイナス4~14度でも冬眠はせず、雪に覆われた竹林にいます。

パンダは内またでのろのろと移動しますが、これは一つに天敵がいないこと、主食の竹が充分にあることによります。また竹は低カロリーなのでエネルギー温存のためにもこうした行動をとるのです。彼らは時々木に登って侵入者を偵察したり、木の上で居眠りをしたりしています。

パンダは木登りがうまく遊び好きです。時に山村に侵入し、鍋や桶など丸い道具を盗んできてそれで遊んだりするそうです。ヤギや豚など家畜と仲が良く、いっしょに暮らすこともあります。

普通はとても穏やかで自分から他の動物や人間を襲うことはありません。ただ子育て期の母パンダは一定の距離を超えて近づくものには激しく怒り、危険な動物に変貌を遂げます。

パンダは食事に一日の半分を費やします。主食は竹で、タケノコがあればタケノコから、次に笹、それらがなければ竹の幹を食べます。美味しい順に食べているのでしょう。そのほか野草やハチミツ、蔦なども食べ、水もよく飲みます。竹を求めて夏は高い山に登り、雪が積もる冬場は低い山に移動します。

中国のパンダ外交

中国はパンダをプレゼントしたりお金を取って貸したりして外交に役立てています。

早くは唐の則天武后の時代に日本の天武天皇に2頭の「白熊」(パンダ)と70枚の毛皮を贈っています。最初にパンダをもらったのは日本だったのですね。

1972年のニクソン米大統領が中国を訪れた際は「玲玲」と「興興」をプレゼントし、アメリカ人が大喜びしました。同年日本にも2頭のパンダがやってきて、大変な人気を集めました。

1957年から82年までの26年間に中国は9つの国家に23頭のパンダを贈っています。その後は有償貸与となっています。今話題のパンダの赤ちゃんシャンシャンの両親も1億円の有償貸与で日本にやってきています。大人気のシャンシャンも数年後には中国に帰国します。希少動物を繁殖させるという名目で日本に貸与されているのです。

成都パンダ繁育研究基地

成都パンダ繁育研究基地

四川省にある「成都パンダ繁育研究基地」では朝7時半から夕方6時までパンダについて学んだり見学したりできます。入場料は58元(約千円)で休館日はありません。希望すればパンダを抱っこもできて、こちらは20秒で1800元(3万円強)です。まさに国宝です!

パンダに関する中国語表現集

以下はパンダに関する中国語表現集です。サウンドマークをクリックすると音声が流れます。

パンダに関する中国語表現集
日本語中国語ピンイン発音
パンダ熊猫xióngmāo
竹子zhúzi
竹叶zhúyè
野生野生yěshēng
飼育圈养juànyǎng
内また内八字nèibāzì