阿里山茶
Tweet阿里山茶は台湾で最も飲まれている烏龍茶で、標高1000メートル以上の高地で作られていることから高山茶とも呼ばれています。
ここでは阿里山茶の特徴、おいしさの理由、阿里山という場所などについて紹介します。
目次
- 1. 阿里山茶とは
- 2. 阿里山という場所
- 3. 「阿里山」という名前のいわれ
- 4. 高山のお茶がおいしい理由
- 5. 阿里山のお茶…「高山茶」
- 6. 烏龍茶と茶の発酵
阿里山茶とは
阿里山茶(ありさんちゃ)は、標高1000メートルを超す高山で栽培されているので「高山茶」とも呼ばれます。1980年以降に開発された茶園で生産され、現在では台湾烏龍茶のトップ銘柄となっています。元は阿里山一帯で栽培されていましたが、現在では栽培エリアが広がり、梅山・梨山・杉林渓・奇萊山・福寿山などでも栽培され、銘柄としてはこれらの産地名でも呼ばれます。阿里山烏龍茶はほとんど焙煎されず、発酵度も弱く、金木犀のような香り、芳醇な味で、4~5月の「春茶」、11~12月の「冬茶」が特に美味しいと言われています。
阿里山という場所
阿里山とは台湾の嘉義県にある15の連山の総称のこと。単独の山の名前ではありません。この山々の中で最高峰・標高2663メートルの大塔山、ご来光で有名な祝山などを含む地域32700ヘクタールが「国家風景区」(国定公園)で、そのうちの1400ヘクタールが「阿里山国家森林遊楽区」という自然を楽しむレクリエーションエリアに指定されています。
「阿里山」という名前のいわれ
阿里山に隣接する台湾最高峰の山の名前は「玉山」(ぎょくざん)、いかにも中国的な名前ですが一方「阿里山」はどう見ても中国風でなく、調べるとこの一帯に住む先住民・鄒族の族長・「阿巴里」(アバリ)の名から取った説が有力です。250年ほど昔の人・阿巴里さんが「このあたりには良い狩場があるぞ」と皆に教えたことで、この一帯が「阿巴里の山」、やがて「阿里の山・阿里山」になったと言われます。
台湾の地名を調べてみると、先住民がつけた名前が元になっていることが多く、北海道のアイヌに源流を持つ地名と成り立ちが似ています。
高山のお茶がおいしい理由
台湾ではよく「高山出好茶」(高山からは良い茶が採れる)と言われます。
海抜が400~1000メートルくらいの山間部は昼夜の温度差が大きく、このことが茶の味に関わっていると考えられています。ある研究によると茶葉のポリフェノールやカテキンは海抜が上がると減り、アミノ酸は海抜が上がると増えそうです。アミノ酸は茶のうまみを増します。
また海抜の高いところでは霧がかかりやすいので湿度が高く、こうしたことも香り成分の合成を促し、アミノ酸の含有量を増し渋みの元であるポリフェノールを減らすと言われます。
阿里山のお茶…「高山茶」
台湾のお茶と言えば烏龍茶…そして台湾の烏龍茶と言えば現代では阿里山の茶・高山茶です。
台湾の人はお茶の産地にこだわるそうで、それもあって高山茶は値段が上がる一方ですが、専門家に言わせるとお茶の味は産地だけでは決まらないそうで、結局は好みによるようです。
高山茶の人気が高いことで山の生態破壊も進んでいるとのことで、これが阿里山茶の負の一面となっています。
烏龍茶と茶の発酵
阿里山茶は烏龍茶ですが、では烏龍茶は緑茶や紅茶などとどのような違いがあるのでしょうか。
烏龍茶とは中国茶の一種で、その茶葉の色から青茶(せいちゃ)とも呼ばれます。
緑茶は発酵させないで作るお茶、紅茶は完全発酵させて作るお茶ですが、烏龍茶はその中間の半発酵茶です。紅茶の芳醇な味と香り高さを合わせ持ったお茶と言われています。
茶の発酵とは
ここで言う「茶の発酵」とは何か。
「発酵」とは「微生物の働きで有機物が分解され特定の物質を作り出すこと」で醸造酒やみそ・醤油、納豆、ヨーグルトやチーズはこの発酵作用によって作り出されたものです。
ところが「茶の発酵」とは上記の意味ではなく微生物とは無関係で、「茶葉の中で水や酸素が加わって変化する化学反応」のことです。実は本当の「発酵」ではないのですが、昔から使っているので今も便宜上「発酵」と呼んでいます。