鉄観音
Tweet鉄観音は烏龍茶の銘柄で、銘茶として知られています。
ここでは鉄観音の特徴、入れ方、中国で作られている安渓鉄観音、台湾で作られている木柵鉄観音などについて紹介します。
目次
- 1. 鉄観音とは
- 2. 安渓鉄観音
- 3. 木柵鉄観音
- 4. 鉄観音の栄養価
- 5. 安渓鉄観音茶の入れ方
鉄観音とは
鉄観音とは、烏龍茶の一種で、福建省泉州市安渓県で作られる「安渓鉄観音」と台湾の台北市文山区で作られる「木柵鉄観音」が代表的な鉄観音の銘柄です。
安渓鉄観音
安渓鉄観音茶とは、中国大陸の福建省安渓県の烏龍茶で、「紅心観音」とか「紅様観音」とも呼ばれています。
茶葉は細く巻いてあり肉厚です。濃い緑色で絹のような光沢があります。甘さを感じる味で金木犀のような香りがします。水色(すいしょく…茶湯の色)は黄金色。
安渓鉄観音の伝説と名前の由来
なぜこの茶に「鉄」とか「観音様」などの名前があるのか、実はこの茶には以下のような伝説が伝わっています。
西暦1720年ごろ、安渓の松岩村(松林頭村とも)に魏蔭(1703~1775)という茶農民がいました。仏教に帰依すること篤い魏蔭は心をこめて茶を栽培し、観音様に朝晩お茶を差し上げ、これを欠かす日はありませんでした。
ある晩のことです。夢の中で彼が鋤をかついで家を出ると、渓流のそばの岩の間から茶の木が一株顔をのぞかせていました。枝葉がよく茂り香り高く、これまで見たこともない茶の木です。
翌日の朝、夢に見たとおりに道を歩いていくと果たして岩の間から茶の木がのぞいています。よく見ると茶葉は楕円で葉肉が厚く、芽は赤っぽい色をしていました。「夢の中の茶木だ!」と魏蔭は喜び、さっそくこの木を家に持ち帰り、鉄の鼎(かなえ 3脚の器)に植えて大切に育てました。
この茶の木こそ今の「鉄観音」で、観音様の夢のお告げで見つかった茶木としてこう名付けられたということです。
木柵鉄観音
木柵鉄観音(もくさく てっかんのん)とは、台湾台北市文山区で作られる台湾を代表する烏龍茶です。質の良いものは春・冬、年に2回摘むことができます。柑橘系の香りがあり、水色は艶のあるオレンジ色。
清代の光緒年間(1875~1909)に福建省安渓からの移民が安渓鉄観音の苗を台湾に移植し、安渓鉄観音の製法を基礎に独自の技法を加えて作られるようになりました。
鉄観音は栽培にも制作にも手がかかり、現在ここで植えられている鉄観音の茶木は減っています。
大陸の安渓鉄観音は台湾の資金等を得て作付け面積が増えているのですが、安渓では販売先の中国北部の好みに合わせて鉄観音の製法や味も変化し、緑茶に近くなっているそうです。一方台湾の木柵鉄観音は昔ながらの製法や味を守っています。
近年台湾では阿里山烏龍茶(高山烏龍茶)が人気で、鉄観音を植える茶農もこの茶を作る職人も減っています。最近梨山(りさん…台中市東部にある山で標高2000メートル)の茶園で鉄観音を作る試みが始まっていて、低地では育てにくい鉄観音が元気よく育っているとのこと。もし芽が少し遅く出る品種を開発できたなら、春の茶摘みの人手不足を解消でき、蘭や金木犀に似た香気を発すると言われる名茶・鉄観音はまだ長く台湾で作り続け、大陸の安渓鉄観音と優劣を争えるかもしれないと期待されています。
鉄観音の栄養価
ポリフェノールの抗酸化作用によってアンチエイジングの効果が望めます。
またフッ素が含まれているため虫歯予防にもなります。
安渓鉄観音茶の入れ方
ここでは安渓鉄観音の淹れ方を紹介しますが、中国茶器の用語と使い方に関しては「中国茶」のページで詳しく紹介しているので、そちらをご覧ください。
1:茶器と沸騰した湯を用意する。
2:湯を茶器に入れて温める。
3:蓋椀(蓋付きの茶碗)の湯を公道盃(ピッチャー)に注ぐ。
4:公道盃の湯を聞香盃(香りをかぐための茶碗)に注ぐ。
5:聞香盃に入れた湯を品茗盃(飲むための小さな茶碗)に注ぐ。
6:品茗盃の湯を茶盤にあける。
7:茶葉を蓋椀に入れる。
8:蓋椀に湯を注いで茶葉を蒸らす。
9:蓋椀の湯を公道盃にうつす。
10:公道盃の湯を茶寵(小さな置物)にかける。
11:蓋椀に高い位置からあふれるまで湯を注ぐ。
12:蓋椀の茶湯を公道盃にうつす。
13:公道盃の茶を聞香盃につぐ。
14:品茗盃を聞香盃に逆さにかぶせる。
15:品茗盃と聞香盃の上下をひっくり返す。
16:聞香盃を両手で取りゆっくりと回して香りを楽しむ。
17:最後に品茗盃を手に取ってお茶をいただく。