抹茶

抹茶

抹茶は鎌倉時代に宋から伝わりました。禅僧の栄西えいさいが持ち帰ったと伝えられています。

ここでは抹茶と煎茶などとの違い、抹茶の歴史、作り方、入れ方、飲み方、栄養などについて紹介します。

抹茶とは

抹茶まっちゃ」とは、碾茶てんちゃ(蒸し製緑茶の一種。抹茶の原料。碾茶の「碾」は「挽き臼」の意味)と呼ばれる茶葉をうすでひいた茶のことです。近年和食人気とともに抹茶の人気が高まり、海外でも「matcha」として知られるようになりました。

抹茶は「茶道」に使われるお茶ですが、ケーキやチョコレート、アイスクリームなどにも「抹茶味」として抹茶が使われるようになり、これも海外で人気です。

抹茶のケーキ
抹茶のケーキ。
抹茶のチョコレート
抹茶のチョコレート。
抹茶のアイス
抹茶のアイス。

抹茶と緑茶・煎茶の違い

煎茶は茶葉にお湯を注ぎ、茶葉を除外して汁を飲みます。

一方抹茶は、茶葉を細かな粉末にし、それを茶碗に入れた後、攪拌かくはんして飲みます。

緑茶は総称ですが、一般に煎茶と抹茶の両方をさします。

お茶の種類

抹茶の歴史

抹茶

抹茶は鎌倉時代に宋から伝わりました。禅僧の「栄西(えいさい・ようさい)」が宋から持ち帰ったとされています。

それまでの中国から伝わった茶の飲み方は「粉末にした茶葉のだし汁を煮出して飲むもの・煎茶」でしたが、鎌倉時代に宋から伝わった抹茶は「細かい粉末にした茶に湯を注いで攪拌し、茶そのものを飲むもの・点茶」でした。

煎茶
煎茶。茶葉そのものは飲みません。
抹茶
抹茶。茶葉自体を細かい粉末にして飲みます。

こうした飲み方をする茶は鎌倉前期では「薬用」と考えられていたようです。

宋代の中国では茶は禅宗と結びつき、茶を飲む際の規範が作られていました。鎌倉後期になるとこの規範・茶礼も伝わります。やがて日本では、茶の入れ方を客人に見せる芸能的な「茶の湯」が起こり、禅僧村田珠光じゅこうて、せんの利休りきゅうによって「侘茶わびちゃ」、「茶道」が完成していきます。

この「茶の湯」、「侘茶」、「茶道」で飲まれたお茶が抹茶でした。

中国ではこのように茶そのものを飲む飲み方・「点茶」は清朝の頃には廃れ、茶壺(ちゃこ…いわゆる急須のこと)に入れてから茶碗に注ぐ「泡茶」となって現在に至っています。つまり中国から伝わった「抹茶」は現在中国では存在せず、抹茶は日本の飲み物として世界にも広まっているのです。

抹茶の製造方法

抹茶の栽培方法は「玉露」(ぎょくろ)と同じで、茶葉を摘む20日くらい前から覆いをして直射日光を遮って育てた一番茶が使われます。ただその後の製造方法が玉露とは異なります。

玉露は茶葉を蒸した後に揉みますが、碾茶は茶葉を蒸した後、揉まずに温風を送って数メートル高く舞い上げるという方法で水分を飛ばします。これは葉同士がくっつくのを防ぐためです。この後、茎・葉脈などを取り除いて乾燥させフレーク状態の茶葉を作ります。これを石臼でひくと抹茶になります。

抹茶と臼

抹茶の緑色を保持するには

抹茶は美しい緑色をしていますが、退色しやすいので保存に注意をはらう必要があります。これは抹茶が粉茶であることから表面が空気に触れやすく、他の茶葉より酸化しやすくなるのです。

抹茶の原料である碾茶を銅鍋で加熱すると、葉緑素中のマグネシウムが銅に変化し、銅は酸化されにくいために抹茶の色が変化しにくくなります。近年この特性を生かして抹茶を作ることも行われています。

棗(抹茶の保存容器)
棗(なつめ)。抹茶を保存するための道具で、蓋が付いています。

抹茶の飲み方の特徴

抹茶の飲み方は、まず抹茶に湯を注いで茶筅(ちゃせん)で泡立てて飲みます。急須などで入れる普通のお茶の異なり、茶葉を丸ごと飲むので茶の栄養素をすべて取ることができます。抹茶はアミノ酸の量が煎茶の2倍で、うまみの強いお茶です。

抹茶

抹茶の美味しい入れ方・飲み方

抹茶の飲み方には「薄茶」(うすちゃ)と「濃茶」(こいちゃ)があります。

「薄茶」とは抹茶の量が少なめで、各自それぞれが飲み切るお茶。「濃茶」とは濃い抹茶を数人で回し飲みするお茶です。

抹茶(薄茶)の入れ方

抹茶(薄茶)の入れ方

1:抹茶はふるっておく。

2:沸騰させた湯を茶碗に入れ茶碗をあたためておく。

3:茶筅をお湯につけやわらかくしておく。

4:茶碗をあたためておいた湯を捨て、抹茶を茶碗に入れ静かにお湯(80度)を注ぐ。

5:片手で茶碗の端を押さえ、茶筅を垂直に立てて茶碗の底につけ、1~2回「の」の字型にして抹茶をつぶすように回す。

6:その後抹茶に細かな泡ができるまで、「い」の字を書くようにリズミカルにすばやく茶筅を動かす。

7:きれいな泡がたったら茶筅を止め、また「の」の字を書くようにしてからまっすぐ上に引き上げる。

抹茶の入った茶碗にお湯を入れます
抹茶の入った茶碗にお湯を入れます。
茶筅でかき混ぜます
茶筅でかき混ぜます。

抹茶(薄茶)のいただき方

抹茶(薄茶)のいただき方

1:茶碗を出されたら一礼し「お点前(てまえ)頂戴いたします」とあいさつする。また他にもお客がいれば「お先に」と声をかけ一礼する。

2:左手の平の上に茶碗をのせ、右手の親指を茶碗のふちにかけ茶碗を持ち上げる。

3:茶碗の正面が自分の方に来ないように、時計回りに茶碗を2回まわす。

4:3口半を目安に飲み切り、最後の半口は「ズズ」と音を立ててすする。飲み終えたら右手の親指と人差し指で、口をつけた茶碗のふちを挟むようにしてぬぐい、その指を懐紙でふき取る。

5:反時計回りに茶碗を2回まわし、茶碗の正面が自分の方を向くようにする。

6:茶碗を出された元の場所に置き、「おいしくいただきました」とあいさつする。

抹茶を飲むときの茶碗の持ち方
左手で茶碗の底を持ち、右手を茶碗の側面に添えます。

抹茶の栄養素

抹茶の粉末

抹茶は茶葉を抽出するのではなく全部飲むので、カテキン・アミノ酸・ビタミンA・B・Cがたっぷり入っており、健康や美容に良いとされています。