ハスの実

ハスの実

ハスの実とは、池などに咲く蓮の花から取れる実で、これを乾燥させたものは中国で古来より生薬しょうやくとして利用されてきました。

ここではハスの実の効能・栄養・レシピ・関連する物語などを紹介します。

ハスの実とは

ハスの実

ハスの実とは、ハスの花が咲いた後にできる実のことです。乾燥ハスの実は、精神を安定させる薬効を持ち、動悸や不眠を改善します。胃腸や腎臓の働きを高め、慢性の下痢などを改善します。

ハスの実
ハスの実の乾燥前と乾燥後。

ハスの実の効能

ハスの実

ハスの実はタンパク質が豊富でカルシウムやリンなどミネラル成分も多く、神経への鎮静効果があり、筋肉の伸縮性や動悸の改善などの薬効を持っています。

このほか、抗癌・降血圧などの効能もあり、精神を安定させ、滋養強壮にも効果があるとされています。

薬効の多いハスの実ですが、便秘がちの人やお腹に膨満感のある人は避けた方がいいと言われています。

ハスの実の栄養成分

ハスの実

ハスの実100gあたりの栄養成分は、344カロリー・炭水化物67.2g・タンパク質17.2・鉄・カルシウム・ビタミンE・リンなどです。

ハスの実のお粥のレシピ

中国でハスの実はお粥にして食べることが多いです。

【ハスの実のお粥の作り方】

材料:もち米1杯・ハスの実150g・氷砂糖112g

1) もち米は洗って水8杯の中に20分つけておく

2) 火にかけ、弱火にして米がやわらかくなるまで煮る。

3) ハスの実を洗って粥の中に入れ火にかけ、氷砂糖を入れて味をつける。

4) 氷砂糖がとけたら火を止めてできあがり。

ハスの実にまつわる物語

『北京飯店旧館にて』という本があります。日本人の書いた本ですが、北京好きには忘れられない本です。

著者は青春を戦前の北京で過ごし、その後1980年代の終わりになって40年ぶりに北京を訪れるのです。今の(といっても今からですとすでに30年ほど昔になりますが)北京を歩きながら、その情景の中に40年前、つまり今からですと70年前の北京やそこでの出来事、人々と交わした会話が飛び込んでくる、40年(読者の私からすると70年前)の時を隔てて二つの世界が行きつ戻りつする、なんとも不思議で魅力的な本でした。

私が歩き回ってよく知る北京が、まったく別の顔を持って現れてくる…たとえば北京の中心にある美しい湖・「什刹海」(シーチャーハイ)の「前海」(チエンハイ)は蓮の花に埋め尽くされていたとか…そこの茶店の名物料理は甘い「蓮子粥」だったとか…

著者が見た30年前の北京の什刹海には申し訳程度の蓮しか残っておらず、「蓮子粥」を出す店もなかったのでした。

今の北京の什刹海には再び蓮の花が咲き始め、蓮子粥を食べさせてくれるお店もたくさんあるようです。この本の著者が40年経っても忘れられなかった「蓮子粥」、北京の什刹海に行って蓮の花を眺めながら食べてみたいものです。