日本の餃子と中国の餃子の違い・種類・作り方
Tweet餃子(ギョウザ)はもともとは中国から伝わった中国料理の一つで、中国ではおかずではなく主食の一種、つまり「ご飯」とか「麺類」の類です。
ここでは日本の餃子と中国の餃子の違い・種類・作り方などについて紹介します。
目次
- 1. 日本の餃子の特徴
- 2. 中国の餃子の特徴
- 3. 中国の餃子の種類
- 4. 日本の餃子の作り方
- 5. 中国の餃子の作り方
- 6. 餃子はいつ中国から伝わってきたか
- 7. 中国人が感じる「日本の餃子の変なところ」
日本の餃子の特徴
日本の餃子の一般的な形は「上にひだがある半月形」で、出来合いの薄い皮に「ひき肉+野菜+調味料」を具として詰め、油を薄く敷いて焼き、酢醤油などで食べる「しょっぱい味が基本」のおかずです。冷凍餃子も人気があります。
中国の餃子の特徴
中国の餃子の一般的な形は、上にひだもあるし半月形でもあるのですがもっと丸っこい半月形です。皮は必ず自家製、自分で皮を作ることがこの料理の必須工程で、日本のできあい餃子の皮に比べるともっちり・ポテっとしており別物感があります。まさに主食で、歯ごたえのあるすいとんの中に具が入っている感じです。
「肉を叩いてつぶしたもの+野菜+調味料」を具として詰め、ゆでたものをたれなどで食べる中国北方の主食の一つで「水餃」と言います。具は特に決まったものはありません。好み、あるいはその時手に入ったもので作ります。ただし日本の餃子のように具にニンニクを入れることはありません。
主食ですのでご飯のおかずとしては食べません。
春節などおめでたい時や親族の集まりなどで食べる一種の「行事食」…日本でいうと「ちらし寿司」とか「お赤飯」のようなものです。
中国の餃子の種類
中国で餃子は「水餃」(ゆで餃子)として食べるのが普通ですが、それ以外に日本で一般的な焼き餃子のように油を敷いて片面だけを焼く「鍋貼児」やたっぷりの油で焼く「煎餃」、また揚げ餃子・「油炸餃」もあります。
また南方では主食ではなく点心(おやつ・スナック)として、蒸し餃子が食べられていて、北方の主食としての水餃子に比べるとおしゃれな感じがします。
日本の餃子の作り方
日本の餃子(焼き餃子)のおおよその作り方は以下のとおり。
豚のひき肉・野菜(白菜かキャベツ・ニラ)・調味料(ニンニク・しょうが・塩・醤油・砂糖・ゴマ油・酒)・出来合いの餃子の皮
1)ひき肉に調味料をまぜる。
2)そこに野菜のみじん切りを入れ、全体をよくこねて1時間ほど冷蔵庫に置いて味をなじませる。
3)できあいの皮に餃子を適宜入れ(皮からはみ出さないように)包むと同時にひだを作っていく。
*ひだの作り方
真ん中に餃子の具を置き、皮の周囲を水でぬらし、皮の下を持ち上げて裏側と合わせる時、皮の片側数か所で洋服のギャザーを作るように適宜ひだを作る。
4)フライパンを火にかけて油を敷き、皮に包んだ餃子を並べ、皮の色が変わったら水を餃子にふりかけ(数分蒸し焼きができる程度)、蓋をして4~5分蒸し焼きにする。
5)水分がなくなったら餃子の上から油を適量かけて再度焼き、皮をパリッとさせてできあがり。
中国の餃子の作り方
中国の餃子(水餃子・茹で餃子)のおおよその作り方は以下のとおり。皮を作るので一見大変そうですが、慣れれば簡単です。同じ材料で薄力粉を増やせば、焼き餃子・揚げ餃子・シュウマイ・ニラ饅頭などにも応用が効きます。水餃子以外は強力粉が多いと固くなってしまうのです。
材料
具:豚肉や羊肉の塊を叩いて細かくしたもの(ひき肉でもOK)・野菜(ニラやクレソンなどが美味しいし栄養価も高い)・調味料(しょうが・塩・ゴマ油・酒・チキンスープの素・水)
*ここで紹興酒を入れると美味しい。
皮:薄力粉・強力粉・ぬるま湯…薄力粉と強力粉の割合は3:5くらい。ぬるま湯は、小麦粉400グラム(餃子30個分くらい)に対して約230cc。
1)具の材料をよく混ぜてこね、1時間ほど冷蔵庫に置いて味をなじませておく。
2)薄力粉・強力粉・お湯を混ぜてこね耳たぶくらいの感触になったら、サランラップに包んで30分ほど寝かせておく。
3)打ち粉を敷いた板などの上で、寝かせておいたものを棒状にし、30個分に切り分けて1個1個丸型にしておき、それを麺棒などで丸くのばす。中心はやや厚みを残し、周辺を薄く伸ばしていく。中国人はこれを手早く見事な円型にしていくが、作ったことのない日本人にこれは無理。台形・星形・その他名づけようのない奇妙な形になるが気にしない。とにかく中に具を入れて袋状にしてしまえば味は同じ。
4)皮で具を包みひだを作る。この時お人形の眉のような形をめざしてひだを作ると本場感が出てくる。手先の器用な人以外は修練が必要。
5)大きな鍋に湯をわかしてそこに餃子を入れ、「沸騰+さし水」を3回繰り返し火を止めてできあがり。アツアツをいただく。
*餃子をゆでた湯は捨てずにとっておき、餃子を食べたあと蕎麦湯のように飲むと消化に良いと言われる。
*強力粉が入っているとすぐくっつくのでかなりの量の打ち粉が必要。すぐ食べないのであれば1個作るごとに冷凍庫に入れてしまうと扱いが楽。
*2018年暮れから2019年にかけて放映された中国の連続テレビドラマ『お祖母ちゃんの餃子屋』の中で、経営者のお祖母ちゃんが孫の婚約者であるフランス人に餃子の作り方ポイントを教えている場面がありました。昔から言い伝えられているのでしょうか。五言絶句の形を取っています。
个头耳朵大(お耳くらいの大きさで)
肚子如元宝(お腹の形は馬蹄銀)
捏褶似波浪(波のようにひだを作り)
端坐弥勒佛(座る姿は仏様)
餃子はいつ中国から伝わってきたか
餃子は戦後中国の東北部から引き揚げてきた満蒙開拓民や軍人・兵士が伝えたと言われます。栃木県の県庁所在地・宇都宮が発祥の地と言われますが歴史的にははっきりせず、宇都宮が有名なのは、観光資源として「餃子の町」を他に先駆けて打ち出した…ということではないかと思います。
ただ私は昔子供のころ、父に連れられて宇都宮の餃子のお店に入った記憶があります。狭く薄汚い食堂に所せましと男たちが詰めかけ、黙々と箸を動かしていた情景が浮かびます。家族連れは父と私だけ、男たちが腹ごしらえをするだけの安っぽい食堂…少し不気味なところに来てしまったという遠い記憶です。
おそらく餃子は最初こうした場所で食べられ始め、やがてあの丸く薄い皮がスーパーなどで売られるようになって初めて家庭総菜になったのではないでしょうか。
中国人が感じる「日本の餃子の変なところ」
北方中国人が日本に来て日本の餃子に接した時、餃子が中国を代表する食であるだけにいろいろ違和感を持つようです。
たとえば餃子をご飯のおかずにすること。誰もが「あり得ない!」と言います。
これはたとえば日本人ならば、お寿司をおかずにご飯を食べているという感覚なのかもしれません。
餃子の中にニンニクのみじん切りが入っているのも同様「あり得ない!」です。
中国人は羊のしゃぶしゃぶなどを食べる時よく生ニンニクをかじっているのを見ますが、上記の違和感は、お澄ましに生の三つ葉を浮かべるはずが、お澄ましの具として三つ葉をぐつぐつ煮込んでしまったという感覚なのかもしれません。
また日本人にせっかく本場中国の水餃子をごちそうしたのに、「この皮モチモチしていて美味しいねえ」と皮ばかり褒められるのが違和感だそうです。日本人からしたら調味料を混ぜて皮に包んでしまえば、どんな具でも似た味になりそこにコメントする発想が浮かびませんが、中国人はどの組み合わせの具にするかせっかく考えているのにスルーとは、とがっかりするようです。
つまり日本人にとってあの皮は日本ではなかなか食べられない、作るのがとんでもなく大変そうな特別なものなのに、中国人にとっては子供のころからいつもある、パッパと作れるどうってことのないものなのでしょう。
逆に中国人が日本に来て初めて、出来合いのあの薄い餃子の皮に遭遇すると「美味しくて便利」と感じるようです。日本人からするといつでもどこでも売っている安物なのに…という感じなのでほめられると意外な感じがするのですが。