中国の平均年収
Tweetここでは中国全体の平均年収や、中国の都市部のホワイトカラーの層別の平均年収、農村での平均年収などについて紹介していきます。
中国の都市と農村の格差については『中国の都市と農村の格差』のページで詳しく紹介しています。
目次
- 1. 中国の平均年収
- 2. 中国の年収と都市・農村の格差
- 3. 中国の都市のホワイトカラー族の平均月収
- 4. 中国の農民工の平均月収
- 5. 中国の農民の収入
- 6. 日本と中国の平均年収の差
- 7. 中国の年収から見る格差
中国の平均年収
中国の平均年収は約125万円(2018年)です。なお、日本の平均年収は約441万円(2018年)となっています。
上記の平均年収の数字から、日本人のおおよその生活レベルはわかりますが、中国の平均年収の数字からは中国人のおおよその生活レベルはわかりません。
なぜなら中国は身分社会と言っても過言ではない社会だからです。
江戸時代の日本で平均年収を出しておおよその日本人の暮らしぶりがわかるでしょうか?
殿様と小作で暮らす農民の収入を足して割っても、日本人の暮らしは見えてはきません。
殿様は殿様だけ、町人は町人だけ、地主は地主だけ、小作人(地主から土地を借りて耕す農民)は小作人だけの平均収入を出し、それぞれの暮らしぶりを分けて観察するしかありません。
中国の年収と都市・農村の格差
中国を身分社会と言うのは以下のような状況があるからです。
中国の戸籍は大きく分けて都市戸籍と農村戸籍があります。
日本でも都市に暮らせば都市戸籍、農村に暮らせば農村戸籍と呼べるのでは?という疑問が湧くかもしれませんが、日本なら都市に飽きたら農村に暮らせ、農村に飽きたら都市に暮らせます。その際住民票を移せば、子供の学校も選挙権も地元で通ったり投票したりするようになります。
ところが中国でこうしたことはできません。親が都市戸籍なら子供もずっと都市戸籍、親が農村戸籍なら子供もずっと農村戸籍です。農村では食べていけず、都市に出て「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者になった場合、子供を連れていったとしても都市の学校には基本入れませんし、医療保険などに関しても都市の医療保険には基本入れません。基本と書くのは、地域によって多少異なるからです。
この都市と農村の間には目に見えない巨大な壁があり、インフラ・社会保障・給与水準…あらゆる面で格差がありこれが固定化されています。
つまり中国で戸籍とは固定化された身分を表すものであり、それが経済力の大きな違いをも意味するものである以上、中国全体の平均年収というのは意味をなさない、ということがおわかりいただけるでしょう。
中国の都市のホワイトカラー族の平均月収
中国の2016年の統計によると「月収が約6~30万」を中産階級とすると、中国には約2億の中産階級がいるとのことです。総人口の14%です。
また2016年の国家統計局のデータによると、全国民を低所得層・中の下所得層・中の中所得層・中の上所得層・高所得層を5ランクに分けた場合の基準が、
低所得層の「年」可処分所得(手取り収入):5529元(約9万4000円)
中の下所得層:12899元(約21万9300円)
中の中所得層:20924元(約35万6000円)
中の上所得層:31990元(約54万4000円)
高所得層:59259元(約100万7400円)
となっています。
つまり手取り年収が日本円にして21万~54万円くらいの人々が「中流層」と見なされていることがわかります。2018年の日本の給与所得者の平均年収が432万ですので、中国全土を平均した場合は収入は日本よりまだかなり低いと言えそうです。
また別の情報では平均月収が5690元(約9万7千円)~6653元(約11万3千円)をホワイトカラー(白領)と呼ぶとなっています。
上海のホワイトカラー族の平均月収は約8000元(約13万6千円)程度、内陸部の山西省では同3000元(約5万1千円)程度という情報もあります。
上海に限って言うならば、平均すると日本の半分~3分の1くらいということになります。ところが内陸部に行くとそれがぐっと下がるのですね。上海の半分弱になります。
日本で一番平均年収の低い沖縄県は343万、東京448万の約77%ですから、中国の地域格差の大きさがわかります。
中国の農民工の平均月収
農民工とは、農村戸籍の人が農作業はせずに都市部に出て働くいわゆる出稼ぎ労働者のことです。中国農業部が発表した2017年の報告によりますと、農民工の平均月収は3459元(約5万9千円)で、農民工人口は1億7969万人、総人口の約13%です。
中国の農民の収入
それでは中国で農民として働いている人の収入はどのくらいなのか?まずその人口を調べてみたのですが、きちっとした数字はわからないのです。わかるのは農村戸籍の人口のみ。
そこから農民工の人口を引くとざっと4億の人々が農村部で農作業に従事していると見られます。その純農民の年収は2016年のデータで1万1422元(約17万2100円)です。
同じ年の日本の農民の年収は約49万元(約833万円)だそうですから、中国の約43倍です。都市部のホワイトカラー族の日中の差がどんどん縮まっているのに比べると、実に大きな差がついていることがわかります。
ちなみに日本の農業人口は約420万人、中国の1%です。
日本と中国の平均年収の差
GDPでは中国の方がずっと大きいのですが、一人当たりGDP(2019年)になると日本は約4万3千ドル、中国は約1万ドル弱で日本の4分の1になります。
給与水準も中国の一定レベル以上の企業の従業員の平均年収で比べると、中国が6万1578元(約105万円)で、日本の給与平均年収432万円の4分の1になります。ただしここからは中国の農業従事者約4億人の数字が抜け落ちています。
ここで挙げた数字は中国人によるデータなのですが、中国の人がこうしたデータを出す場合、私の印象では農村のデータを出さないことが多い気がします。意図的というより、そこだけ頭からすっぽり抜け落ちているという感じで、「そこは見なくていいよ」と言われている気がするのです…つまり無意識に排除されている…
中国の年収から見る格差
農村に生きる4億以上の人々…都市部エリートの頭からすっぽり抜けているかのような農村の人口はざっと4億、日本の総人口の約3倍強です。この人たちは平均1か月1万円ちょっとで暮らしている…日本よりはるかに物価が安いだろうと思われる中国の農村部ですが、安ければ質もそれ相応でしょうし、暮らしの厳しさは想像がつきます。
ジニ係数という指標があります。これは格差を示す指標で、1に近づくほど格差は大きく、0に近づくほど格差は小さい。2016年主要42か国のジニ係数を示す表があり、これによると中国は上から2番目(つまり格差が大きい)で0.51となっています。ちなみにアメリカが0.39で9位・イギリスが0.35で12位・ドイツが0.29で28位・日本が0.34で17位・フィンランドが0.26で38位となっています。北欧と東欧の一部が格差が小さく、西欧と日本が真ん中より格差大に近く、アメリカは格差が大きく、中国はトップレベルで格差の大きい国となっています。