中国の水について

中国の水

ここでは中国の水の安全性や、中国に行った際にどのようにして水を飲めばいいのか、中国の偽物のペットボトルについてなどを紹介していきます。

中国の水の安全性について

日本で暮らしていると、日本の状況=世界の状況だと無意識に思い込んでいるのですが、外国に行くと「そうではないのだなあ」としみじみ感じることが多いです。

日本と中国を比べた場合もやはり多くのことが「イコール」ではありませんが、水もまた同様。日本で喉が渇けば、近くに自動販売機がなくて水道だけがあったら、美味しいかどうかは別としてその水を飲むことができます。中国ではこれはタブーです。

中国で水道の水は飲めない

中国の水道水は飲めない

タブーと教えられる以前にたとえば上海などでしたら、水を口に含んだ瞬間、あれっこれヤバいかも…と思うはずです。金属的な異様な味がするのです。歯を磨くときもホテルの水道の水を使うと違和感があります。レストランで無料のお茶を飲むとやはり同様の味がします。つまりそのままはもちろん、煮沸したとしても同様の味が残ります。

上海は中国のショーウインドーと言われ、中国で最も発展し繁栄した場所の一つとして知られています。ここでどうしてこんなに水の質が悪いのか…。

取水する場所の問題もあります。かつては黄浦江(こうほこう)という上海有数の観光スポット「バンド」が沿岸にある川から取っていました。都会の河口ですから当然水質は悪いのですが、近年「青草砂」というダムから取水するようになりました。水質はかなり良くなったと言われますが、水源だけでなく水道管の老朽化などの問題もあって、上海の水はサビのような味がするのです。

上海に比べると北京の水道水の方がきれいだと言われますが、それでも同様の問題を抱えており、水道水から直接飲むことはできません。北京、上海といった大都会で飲めないのですから、これ以外の地域では言うまでもありません。水道の水は煮沸しない限り飲んではいけない…これが中国の常識です。

水を煮沸すれば飲める

では中国人はどういう水を飲んでいるのか?水は必ず沸かして飲みます。

もともと中国人は飲食には中医学的なこだわりを持っていて、冷たいものを食べたり飲んだりするのは体に悪いとして冷たい水は決して飲もうとしませんが、それに加えて生水は危険という意識もあって、水道から直接水を飲むことはないのです。

中国の水の諸問題

中国は日本に比べると水に関してさまざまな問題を抱えています。

その原因として、まずはここ40年の経済発展により自然環境が犠牲になったこと。多くの水源が工場排水や生活排水、農薬や化学肥料を大量に用いる農業などで汚染され、とても人が飲めるものではなくなってしまいました。近年は中国政府も水質の改善にかなり真剣に取り組み始め、海外の水企業も中国で水ビジネスを展開しようと待ち構えていますので、将来的には改善されていくでしょうが、今のところは資金問題などさまざまな問題を抱え、しばらくは「中国の水道水はそのままでは飲めない」という状況が続きそうです。

もっとも世界の大半の国では水道水をそのまま飲むことはできず、日本のように飲むことができる(ただし近年は日本も川の汚染により水道水の塩素が増え、そのまま飲まない方がいいとされています)国の方が稀です。

中国人はどういう水を飲んでいるのか?

日本でも病院の待合室などでときどきウオーターサーバーを見かけるようになってきましたが、中国ではだいぶ前から家庭用ウオーターサーバーが普及しています。

日本では水道のカルキ臭さを避けて、水道に浄水用ろ過装置をつける家が増えてきましたが、中国では浄水用ろ過装置よりウオーターサーバーを使う家の方が多い印象です。

中国のウオーターサーバーの問題点

中国でウオーターサーバーの機器は100元(約1700円)くらいで安いのですが、配達される水がニセモノでただの水道水だったり、機器をこまめに掃除しないと雑菌が増えたりと問題が多いようです。

業者が運んでくる水がニセモノって!!絶句しちゃいますが、こうした状況は稀ではありません。

ペットボトルの水を買う

そうすると安心できる店からペットボトルを買って届けてもらうことになります。安心できる店っていうと…?一番安心できるのは、親しくしていて信頼できる人がいる店でしょうか。中国で暮らす際もっとも大事なことの一つが「信頼できる人間関係が作れるか」ということで、水一つ取ってもこれが大事になったりするのです。つまり中国では「知らない人」が相手なら、水道水をペットボトルに詰めて売ってもかまわない、ということが発生し得るのです。疲れますね…

観光客がペットボトルを買う場合は一般にコンビニで買うことになるでしょうが、特に問題はないと思います。路地裏の小さなお店などでは買わない方がいいでしょう。捨てられたペットボトルに水道の水を詰めて売っている場合もありますから。

ペットボトルの水の種類

高級ミネラルウォーターのペットボトル(500ml)…5元(85円)以上

例:

エビアン(中国語名:依雲)

ペリエ(中国語名:巴黎水)

ボルヴィック(中国語名:富維克)

崑崙山

西蔵(チベット)5100(海抜5100メートルのところで取水しているとか)

中~上レベルのミネラルウォーターのペットボトル(500ml)…3元(51円)~5元

例:

景田百歳山

恒大氷泉

蒸留水(水道水を沸かしたもの)・ミネラルウォーターのペットボトル(500ml)…1元(17円)~3元

例:

怡宝

农夫山泉

蒸留水(水道水を沸かしたもの)のペットボトル(500ml)…1元以下

例:

康師傅

娃哈哈

日本の水は軟水・中国の水は硬水

水と言えば「硬水」と「軟水」の違いもあります。

硬水にはカルシウムやマグネシウム、鉄分などミネラル分が多く入っており、軟水にはあまり、あるいはほとんど入っていません。

硬水の方が美味しいと言う人もいれば、軟水の方がクセがなくてよいと言う人もいて、どちらの方がいいかは一概に言えません。

同じ国でも地域によって変わるのですが、日本では軟水が多く、中国では硬水が多いです。

硬水でお茶を淹れると、硬水に多いミネラルがお茶の中のタンニンと結びつき渋みが抑えられて淡泊な味わいになると言います。軟水だと渋みや苦味も味わえ、日本ですとこれこそお茶の味だと感じる人が多いかもしれません。