中国語作文 【その基本と上達法】

中国語作文

中国語作文 【その基本と上達法】』は、版を重ねて数十年という年期の入った中国語作文の参考書。用例は古いしピンインはないし、およそ現代の参考書とはいえないシロモノだが、一読どころか数読、数十読の価値あり。日本人学習者にとって目からうろこの説明が数多く入っています。このページでは、『中国語作文 【その基本と上達法】』のレビューとこの本を使った学習方法について書いていきます。

『中国語作文 【その基本と上達法】』の基本情報

タイトル中国語作文 【その基本と上達法】
著者竹島金吾 / 賈鳳池
出版社金星堂
ページ数265ページ
価格1,620円(税込)
出版年月日1975年10月
音声無し
白黒
難易度中級者
ジャンル中国語作文

※Amazonなど書店では絶版扱いになっているようだが、出版社のサイトでは現時点で購入可能となっている。

『中国語作文 【その基本と上達法】』の内容紹介

日本人学習者が作文を書く場合まちがえやすい表現を、「予定・欲求の表し方」「類似の表し方」など15項目に分け、それぞれに「基本文型」の文、「基本事項」の説明、練習問題、考え方、解答、関連表現などのコーナーがある。

『中国語作文 【その基本と上達法】』の対象読者

中国語の基礎を一通り終えた人。

『中国語作文 【その基本と上達法】』を使った勉強方法

たとえば「予定・欲求の表し方」の項ならば、まず基本文型や基本事項のコーナーで「予定・欲求の表し方」にはどういう表現があるか、複数ある場合それぞれの違いは何かを学ぶ。次に関連練習問題を1題自力で解く。次に「考え方」のコーナーで、この練習問題の作文の書き方について、中国人の発想法、つまり日本人の思考回路による中国語作文ではなく、中国人の思考回路による作文の書き方を学ぶ。さらにこの説明の中などで出てきた関連表現の例文が提示される。

(※参考:「中国語の勉強法」)

『中国語作文 【その基本と上達法】』の学習効果

この1冊をきちんとノートを取って読み、練習問題を自力で解き、正解例や関連表現を暗記すれば、中国語のステージは確実にワンランク上がる。中検の2級以上など、高難易度の中国語検定を目指す場合に役に立ちます。

『中国語作文 【その基本と上達法】』のおすすめポイント

表現別の説明

表現別の説明が良い。言葉を話そう、文章を書こうとする時、おおよそこのテキストに入っているいずれかのパターンで表現する。表現別の例文をしっかり暗記しておくと、話す時に言葉がすんなり出てくる。しゃべれる=書けるということ。外国人の作文力とは文章力のことではない、話す力のことである。その力を養う上で役に立つ。

腑に落ちる説明

なぜこういう表現になるか、中国人はこういう発想でこういう表現になるなどの説明が一つ一つ腑に落ちる。だから面白い。知的好奇心を満たしてくれる。こういうテキストはめったにない。

『中国語作文 【その基本と上達法】』の残念なところ

古い

古い。ひたすら古い。初版が1975年!例文に文革(1966~1976年中国大陸で起きた一種の内乱)の名残がある。ピンインもない。もちろんCDもない。なんというストイックさ、なんという質実剛健、なんというサービス精神のなさ…かつての学習者はこういう参考書に鍛えられたのだ。いまどきのスイーツっぽい、限りなく美味しそうな参考書ではない。でもこれで力がついたのである。今どきこういう参考書は作られないだろうなあ。でもこの本はいまだに売れている(はずだ)。最近の版が2007年、第17版である。ファンが多いのだ。

例文が難しい

難しく長めの例文が多い。例文数全400あまり。付録の常用句を入れて500文あまり。これを全部暗記しようと思うには覚悟がいる。この本を作った時、暗記しようという学習者は想定されていなかったのだろう。けれども語学の参考書は基本暗記してナンボである。読み物として読んでも頭にはほとんど残らない。繰り返し暗記することでいろいろなことが腑に落ちてくる。その点で暗記しづらい例文や作りは惜しい。暗記する価値があるだけになおさらである。