通訳メソッドを応用した中国語短文会話800

中国語短文会話800

通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』は、会話力アップのためのシャドーイング用テキストの決定版。800の対話、つまり1600の会話文が入っています。いずれもよく使う表現で、ここにあるものを押さえておけば会話力アップはまちがいなし。このページでは、『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』のレビューとこの本を使った学習方法について書いていきます。

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』の基本情報

タイトル通訳メソッドを応用した中国語短文会話800
著者長谷川正時
出版社スリーエーネットワーク
ページ数229ページ
価格3,024円(税込)
出版年月日2004年4月1日
音声有り。CD2枚。
白黒
難易度中級者
ジャンル中国語会話

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』の内容紹介

AB対話方式になっており、全部で800対の中国語会話が入っている。つまり合計1600の短文が入っている。短文自体はたとえば、

A:お知り合いになれてとても嬉しいです。B:私もです。

といったよく使われる言い回しに限られる。

それぞれの対話間に関連性はほぼなく、会話としての難易度がだいたい同レベルの短文がランダムに並んでいる。場面も設定されてはいない。たとえば、

14)A:ほしい人にやるよ。 B:ください。

15)A:どっか涼しいとこに行こうよ。 B:ついてきてよ。

といった具合。

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』の対象読者

中級レベル(大学や語学専門学校で2年以上学習した人、2年以上中国に留学した人など)

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』を使った勉強方法

最初のページに学習法が綿密に書かれている。簡単にまとめてしまうと、

(1) 2年くらい勉強して知識は身についても流暢に話せないのは、要するに訓練が足りない。会話の練習はスポーツと同じで知識だけ増やしてもできるようにはならない。体(ここでは口)を使って練習せよ。

(2) そのためには通訳練習のテクニックを使うのがいい。リピート練習、シャドーイング(聞いたことを声に出して繰り返す)、通訳練習など。

(※参考:「中国語の勉強法(短文暗記)」)

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』の学習効果

方法論に従って暗記していけば、半年くらいで自分でも効果がわかる。確実に話せるようになっている。耳の良い人なら発音もきれいになっている。

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』のおすすめポイント

会話力アップの方法として非常にすぐれている

この本のコンセプト(会話はスポーツだ)と方法論(シャドーイングなど通訳練習法を使う)はどちらも卓見であり、効果が高い。この本とこの方法できちんと練習すると確実に会話力がアップする。

CDを使って練習すればリスニング力も上がり、発音も良くなる

音が決め手のテキストで、吹き込みにはかなり力を入れている。単なる添え物ではない。中国語も日本語も入っているが、どちらも感情表現がすぐれていて、吹き込み者には相当ダメ出しがされたことが伺える。付録CDにこれほど力を入れているテキストはめったにない。音が魅力的なので真似ようという気分になる。

ランダムなのが面白い

普通のテキストと違って場面も設定されていなければ、並べ方に何の脈絡もない。ただただ、よく使われる言い回しが並んでいるだけ。そこが面白い。ランダムなのに全部練習し終えると確実に会話力がアップしている。これはおそらくこれらの短文ほとんどすべてが、著者自身がうまく言えなかった、口ごもってしまった中国語の表現を長年にわたって集めたエッセンスだからだろうと推察する。このテキストを使って勉強をして飽きないのも、「これ言いたかった」「これ何と言うのだろうと思っていた」という表現が多いからだ。

『通訳メソッドを応用した中国語短文会話800』の残念なところ

言葉の背景がまったくわからない

長所であるとともに短所でもあるところが、「短文がただ並んでいるだけ」というところ。なぜここでこういう言い回しになるの?と思っても全く説明がない。考えているヒマがあったらひたすら練習しろ!と怒鳴る鬼コーチみたいな本。

パーフェクトな中国語とは限らない

この本の中で疑問に思った言い回しについて中国人に聞くと「こういう言い方は、しないとは言わないけど少し不自然」などと言われる。もっともこれはあらゆる日中対訳本に言えること。Aさんという中国人が書いた中国語をBさんという中国人に聞くと批判される。Bさんが書いた中国語をCさんという中国人に聞くと批判される。一般にこういう傾向がある。語感のない日本人としては、誰を信じれば良いのかわからない。言えることは、日本で発行された中国語テキストの中国語を絶対化しないこと。「とりあえずは通じるだろう」くらいに思っていた方がいい。