呉志剛先生の中国語発音教室―声調の組合せ徹底練習
『呉志剛先生の中国語発音教室―声調の組合せ徹底練習』は、もと中国のアナウンサーであり、中国語発音の専門家である著者による声調練習テキスト。中国語の発音にとことんこだわる人の著書であれだけに、その方法論や解説は参考になります。
※当サイトの中国語発音学習のページは、「中国語発音講座」です。
目次
『呉志剛先生の中国語発音教室』の基本情報
タイトル | 呉志剛先生の中国語発音教室―声調の組合せ徹底練習 |
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著者 | 呉 志剛 (著) / 上野 恵司 (監修) |
出版社 | 白帝社 |
ページ数 | 116ページ |
価格 | 2,376円(税込) |
出版年月日 | 2017年11月22日 |
音声 | 無し |
色 | 白黒 |
難易度 | 初心者~ |
ジャンル | 中国語発音 |
『呉志剛先生の中国語発音教室』の内容紹介
日本人の中国語学習者がほぼ全員と言っていいくらい悪戦苦闘する四声マスターのための練習帳。発音についてはサラッと触れる程度。あとは徹底して四声・声調をどうしたらマスターできるかという観点からの実践練習テキスト。練習の仕方としては1音節ではなく、2音節の練習に限っています。つまり日本人学習者は1音節ならなんとかなるのです。2音節になるとお手上げになってしまいがち。2音節目の最初の音が正しく取れないのです。そこを懇切丁寧に説明してくれています。
本の内容構成は3つに分かれています。
(1)中国語の音節についての説明。そこでは声調(四声)、母音、子音、音節について説明されています。
(2)声調(四声)について。そこでは声調の基本概念、声調の音声的特徴、声調の聴覚的特徴、聴力と発音、発音の主観意識、音声図とイメージ図について説明されています。
(3)声調を1声+1声など組み合わせて、それぞれの音の特徴について図示しながら具体的に練習していきます。その際イメージ図を使ったり、「発音クリニック」と称して、日本人学習者が間違えやすい音の図示、修正後の音の図示など図を使いながら丁寧に説明しています。その後練習するための漢字の組み合わせを50熟語用意し、徹底した練習ができるようになっています。もちろんそれぞれの説明や練習用熟語には著者本人による音声CDが付録として入っています。
『呉志剛先生の中国語発音教室』の対象読者
この本の対象読者は初心者から上級者まですべてと言っていいでしょう。初心者がこの本で勉強すればきれいな声調を最初から身につけることができますし、上級者であってもすべてが発音や声調のきれいな人とは限りませんから、自分の発音・声調の矯正に使うことができます。
『呉志剛先生の中国語発音教室』を使った勉強方法
この本を最初から読み、大量に準備された発音練習を愚直にこなすことです。声調は説明されれば誰でもすぐ理解できますが、それを実践できるかと言えばそう簡単ではないのです。もちろん音感のいい人はすぐマスターできます。でも音感の悪い人(一般に音楽の授業、特に歌を歌わせられることが大嫌いだった人、カラオケなんて一度も行ったことがないという人および音痴を自認している人)は至難です。外国語のイントネーションとは歌なのです。ただ幸い中国人は音痴でも中国語を話すことができます。つまり何度も聞いていれば誰でも話せるのです。ですからこのテキストに入っている大量の発音練習問題を口と耳(CDなど音源)を使って練習すれば必ずきれいな声調が身につきます。
『呉志剛先生の中国語発音教室』の学習効果
この本は単なる説明・解説本ではなく声調の組み合わせごとの練習問題が大量に入っています。1つの組み合わせごとに50熟語が入っているのです。これだけやれば正しい声調は必ず身につきます。
『呉志剛先生の中国語発音教室』のおすすめポイント
何と言っても大量の練習問題がお勧めです。発音は習慣ですから50回も繰り返せばまず身につきます。できないというのはこの繰り返しが足りないのです。
もう一つのお勧めポイントは、それぞれの声調や発音について著者の研究成果に基づいた知見による説明がなされているということです。この種の本は往々にして誰かの書いたもののコピペ説明が多いのですが、この本は著者の専門分野がこの本と重なるため、類書に見られない面白い説明、なるほどと思う説明があります。
『呉志剛先生の中国語発音教室』の残念なところ
この本の残念なところは発音の説明がほとんどないところです。著者はNHKラジオ講座で発音についての講座を担当していたことがあり、その中の説明がとても役に立つものだった記憶があります。残念ながら本になっていないので、今それを手にするのはなかなか難しくぜひ本の形にしてほしいと願っています。この本では残念ながら発音についてはざっとしか触れられていません。発音教室と銘打つならばぜひ発音について蘊蓄(うんちく)を傾けていただきたい。今後の出版を待ちたいと思います。