中国語文法用例辞典

中国語文法用例辞典

中国語文法用例辞典』は、かの『漢語八百詞』の翻訳。『漢語八百詞』はいわゆる虚詞を集めた定評ある辞書です。外国人にとって一番難しいのは中国語の虚詞(副詞、介詞、接続詞、助詞など)。これについて懇切丁寧に説明されています。このページでは、『中国語文法用例辞典』のレビューとこの本を使った学習方法について書いていきます。

『中国語文法用例辞典』の基本情報

タイトル中国語文法用例辞典
著者呂叔湘(主編) / 牛島徳次(翻訳) / 菱沼透(翻訳)
出版社東方書店
ページ数565ページ
価格5,184円(税込)
出版年月日2003年06月
音声無し
白黒
難易度初心者~上級者
ジャンル辞書・辞典

※旧版の出版年月は1983年1月。旧版は『現代中国語用法辞典』というタイトルで現代出版から出ていた。

『中国語文法用例辞典』の内容紹介

虚詞の辞書

『中国語文法用例辞典』は中国で出版された『現代漢語八百詞』の翻訳です。『現代漢語八百詞』は中国語文法の解説書で、主として虚詞について書かれています。主編者の呂叔湘は前書きで、中国語文法解説のかなめは虚詞の用法であると強調しています。

虚詞とは何か

虚詞とは聞き慣れない言葉ですが、中国語の「語」は語彙的な意味を持つ「実詞」と、文法的な機能語である「虚詞」に分かれます。名詞・動詞・形容詞・数詞・量詞・代詞が「実詞」で、副詞・介詞・接続詞・助詞・擬声詞・感嘆詞が「虚詞」です。

どんな単語が虚詞か

具体例を挙げるなら、“很 hěn”“不 bù”“没 méi”“就 jiù”は副詞。“把 bǎ”“在 zài”“跟 gēn”は介詞、“可是 kěshì”は接続詞、“的 de”“了 le”“着 zhe”“过 guo”は助詞、“哗 huā”は擬声詞、“哎呀 aiya”は感嘆詞。こうしてながめてみると、「中国語は虚詞がかなめ」という主編者の語は実に腑に落ちます。

文法学者による説明

これら虚詞(一部実詞もあり)について、中国を代表する文法学者たちが辞書の形で詳しく説明しています。

『中国語文法用例辞典』の対象読者

虚詞に興味のある人ならまったくの初心者も読んで面白いでしょう。中・上級者はぜひとも持っていてほしいと思います。

『中国語文法用例辞典』を使った勉強方法

中国語を学んでいて、上記虚詞についてわからないところが出てきたらこの辞書に書かれている部分を読みます。たとえば“就 ”がどういう意味で使われているのだろうと思ったら“就”のところを読んでみます。“就”だけで5ページ近く書かれていますが、辛抱強く読んでいれば“就”の全体像が少し見えてきます。書かれていることを覚える必要はありません。またどこかで“就”の意味がわからなかったらまた読みます。そうしているうちに“就”が少しずつわかってきます。

(※参考:「中国語の勉強法」)

『中国語文法用例辞典』の学習効果

虚詞についてわからなくなる都度この辞書を手に取って読んでいれば、中国語ワールドにかなり深く入り込んでいけます。

『中国語文法用例辞典』のおすすめポイント

虚詞について、つまり中国語文法の肝の部分について詳細かつわかりやすく書かれている以外、この翻訳がすばらしい。すべての用例とは言いませんが、用例の日本語訳を読んでいて「なるほど、ここはこう訳せるか!」と思うことが多く、ためになります。

『中国語文法用例辞典』の残念なところ

紙の辞書しかないところ。ぜひアプリ版を作ってパソコン・タブレット・スマホでも気軽に調べられるようにしてほしいと思います。