現代漢語詞典

現代漢語詞典

ある程度以上の中国語学習者・研究者は必ず手元に置いておかなければならないと言われるこの『現代漢語詞典』、 中国で最も定評ある中中辞典の最新版(第7版)をご紹介します。

『現代漢語詞典』の基本情報

タイトル現代漢語詞典
著者中国社会科学院語言研究所詞典編集室(編集)
出版社商务印书馆
ページ数1799ページ
価格5,000円前後
出版年月日2016年9月1日(第7版)
音声無し
白黒
難易度中級者以上
ジャンル辞書・辞典

『現代漢語詞典』の内容紹介

中国の国語辞典、最もポピュラーであると同時に最も権威のある辞書で、日本の『広辞苑』に相当します。中国で出ている辞典ですから、当然中中辞典です。略して『現漢』とも呼ばれます。

1978年に出版され、その後何度も修訂がなされ、今出ているのは2016年に出された第7版です。第7版では2013年国務院公布の「通用規範漢字表」にのっとった編纂がなされ、さらに近年の新語400項目以上を収録、新しい語義の補いや修正がされています。

この辞書は中国の国家事業として編纂されており、多くの研究者や専門家が携わっていることなどから中国で最も権威のある辞書になっています。

辞書の体裁は日本で出ている中日辞典と同じで、親字・語句の並びはピンイン順で、字のピンインがわからない場合、部首によるの検索も可能です。また第5版から全単語に品詞が付けられています。

『現代漢語詞典』の対象読者

中国人向けですが、海外の中国語学習者も中国語が読めるならばまったく不自由なく使うことができます。日本の学習者の場合、一般には大学の中文科の学生以上~専門家レベルでしょう。

『現代漢語詞典』を使った勉強方法

定評ある中中辞典として手元に置いておき、調べたい言葉の意味を知ると同時に中国語の説明のしかたにも注意をはらうという読み方をするといいでしょう。

『現代漢語詞典』の学習効果

上記のような意識でこの辞書を引いていけば、中日辞典に比べて難易度も高くなりますが、中国語の語感も同時にアップしていきます。

『現代漢語詞典』のおすすめポイント

中国語の辞書作りに関わったことがありますが、この作業で一番頭の痛いのが品詞の確定です。中国語の場合、動詞であると同時に名詞であったり、形容詞であると同時に副詞であったりする単語が多く、外国人としてこれをどう解釈すべきかおおいに悩むところです。この点この辞書は一つの親字が持つ意味一つ一つに品詞がつけられ、外国人学習者としては『現代漢語詞典』ではこういう品詞になっていると、悩ましい単語の品詞確定に解答が得られます。

また近年中国経済の発展にともない新語が続々登場していますが、外国人としてはそれがどの程度の認知度を持っているものなのか測りかねるところがあります。その点この辞書では新語もかなり思い切って取り入れているので「現代漢語詞典が取り入れているほどよく使われているのだ」という目安が得られます。

さらには中国語の発音で、辞書にあるものと多くの中国人が発音しているものが異なる場合がよくあるのですが、これもこの辞書にどう載っているかで、「現代漢語詞典にこうあるからこちらにしておく」という判断ができます。辞書と広く社会で使われている音の乖離がひどくなると、やがてこの辞書にも新しい音が採用されていく傾向があります。

『現代漢語詞典』の残念なところ

この辞書は近年大型化し、まさに中国の広辞苑です。広辞苑は持ち歩けません。この辞書も同様です。現在IT化がこれほど進み、中国では現金すら使わなくなっているという時代、辞書のような「工具書」(道具としての本)こそ電子化すべきでしょう。あまりに社会の利便性追求に逆行していると思います。逆行に意味があるなら仕方ないのですが、電子辞書が登場して20年、当初言われた一覧性の欠如という電子辞書の問題も、外国語学習者にとって致命的な問題ではなかったことは明らかです。この辞書も版の古いものは限定的に電子化されていますが、最も良いものを最初からアプリなどの使いやすい形で販売すべきだと思うのです。