蛇足だそく

意味
余計なことをしてすべてを失ってしまうこと。
例文
「ゆっくり養生してください、あなたがいなくても会社は回ります」って書こうと思うんだけど最後は蛇足かなあ?
出典
『戦国策』斉策……『戦国策』とは戦国時代の遊説の士の言葉、国策、献策などを国別にまとめたもの。前漢の劉向の撰。
遊説とは:春秋戦国時代には各国で諸子百家と呼ばれるさまざまな学派が生まれたが、そうした者の中で自分の弁説で政治を動かそうと諸国を巡ることを遊説という。

「蛇足」の由来

蛇足」は中国の戦国時代に陳軫ちんしんが用いた例え話が元となってできた故事成語です。まずはこのお話の年表と地図から見ていきましょう。

「蛇足」の故事の時代

「蛇足」の故事の時代(年表)
蛇足」の故事の時代(年表)。中国の戦国時代の出来事です。

「蛇足」の故事の場所

「蛇足」の故事の場所(歴史地図)
「蛇足」の故事の場所(歴史地図)。楚の国での話です。

「蛇足」の故事

蛇足

昔、楚の国の人が先祖の法事をした後、手伝いに来てくれた人にお礼として法事に使った酒を一壺飲んでもらうことにしました。手伝いに来てくれた人は大勢いて、この酒だけではとうてい足りません。みんなで飲むほどの量はないが一人で飲むなら十分だ、どうしたらいいものだろう?こう相談されてその場にいた人々は皆静まり返ってしまいました。

この時「みんなで地面に蛇の絵を描こう。一番最初に蛇の絵をうまく描き終えた者が飲んでいいことにしたらどうだ」と提案した者がいます。それを聞いてみんなは「それはいい方法だ」と賛成し、そこでみな地べたにしゃがみ込んで蛇の絵を描き始めました。

一人がすばやく描き終え、その一壺の酒に手を伸ばそうとしましたが、周りを見るとみなまだ描き終えていません。彼は自分の腕を自慢したくなり「みんな絵を描くのが遅いなあ。俺は蛇に足を付け足したって勝てるぞ」と言うや左手に酒壺をつかみ、右手に枝を持って蛇の足を描き始めました。

ちょうど彼が蛇の足を描きながらこうしゃべっている時です。もう一人の男が蛇の絵を描き終えました。その男は最初に描き終えた男の手から酒を奪うと「あんた蛇を見たことがあるのかい?蛇には足はないんだ。足のある蛇なんて蛇じゃないぞ。蛇を最初に描いたのは俺だ」そう言ってその酒をごくごくと飲みほしてしまったのでした。

このイソップ童話のような素朴な話がなぜ『戦国策』という智謀、策謀が渦巻く書物に載っているのでしょうか?実はこの話は、侵略されそうになった国に滞在中の遊説の士が、敵将と会見して侵攻をやめさせようとして使ったたとえ話です。

楚の昭陽という将軍が、魏の国を攻める命令を受けて進軍し魏を打ち破るや、軍を斉に向けてきました。この勢いに乗って斉も平らげてやろうという魂胆です。この時、斉にいた陳軫(ちん・しん)という遊説の士が斉王の使いを買って出て昭陽と会見します。

陳軫はまずは昭陽の勝利を祝い、そのあと「あなたはもうずいぶん功を立てました。これ以上勝っても望む出世には限度がありましょう。あまりに調子に乗りすぎると身の破滅を招きます。大勝利を得たこのへんで引き揚げてはいかが」と言って「蛇足」のたとえ話を持ち出すのです。

これを聞いて昭陽はなるほどと思い、兵を引いて去ったということです。

「蛇足」の中国語

中国語画蛇添足
ピンインhuà shé tiān zú
音声
意味よけいなことをして有害無益、かえってひどいことになったりすること。

このイソップ童話のような素朴な話がなぜ『戦国策』という智謀、策謀が渦巻く書物に載っているのでしょうか?実はこの話は、侵略されそうになった国に滞在中の遊説の士が、敵将と会見して侵攻をやめさせようとして使ったたとえ話です。

楚の昭陽という将軍が、魏の国を攻める命令を受けて進軍し魏を打ち破るや、軍を斉に向けてきました。この勢いに乗って斉も平らげてやろうという魂胆です。この時、斉にいた陳軫(ちん・しん)という遊説の士が斉王の使いを買って出て昭陽と会見します。

陳軫はまずは昭陽の勝利を祝い、そのあと「あなたはもうずいぶん功を立てました。これ以上勝っても望む出世には限度がありましょう。あまりに調子に乗りすぎると身の破滅を招きます。大勝利を得たこのへんで引き揚げてはいかが」と言って「蛇足」のたとえ話を持ち出すのです。

これを聞いて昭陽はなるほどと思い、兵を引いて去ったということです。

「蛇足」という故事成語、中国語では「画蛇添足」(蛇を描いて足を添える)と言います。「蛇足」という語もありますが成語ではありません。意味は「余計なこと」で成語と同じですが、「画蛇添足」を使った方が通じやすいでしょう。