画竜点睛
「画竜点睛」の由来
「画竜点睛(画龍点睛)」は中国の南北朝時代の故事が元となっています。
「画竜点睛」の故事の時代
「画竜点睛」の故事の場所
「画竜点睛」の故事
梁(南朝…502~557 江南地方にあった王朝)に張僧繇という名の画家がいました。この画家の絵の技術はすばらしく、当時の梁の武帝は多くの寺院の絵を彼に描かせたと言います。
ある年、武帝は彼に健康(南京の古名)の安楽寺の壁に4匹の金竜を描くよう命じました。承知した画家(張僧繇)はわずか三日間で絵を描き終えました。この絵の中の竜は生き生きとしていてまるで本当に生きている竜のようです。見に来た人々は感嘆の声を挙げ、まるで本物の竜だとほめたたえました。しかし人々が近寄ってよく見ると、これら4匹の竜には目がありません。そこで皆は目を入れてくれるよう画家に頼みました。すると彼は「竜に目玉を入れるのは簡単ですが、しかしそうするとこの竜は壁からとび出して飛んでいってしまいます」と言うのです。
人々は誰もこんな話を信じません。こいつはいい加減なことを言っている、壁に描かれた竜がどうして飛んでなどいくものか。やがて多くの人がこいつはうそつきだと言いふらすようになりました。画家はしかたなく「わかった。それでは竜に目を入れよう。ただし4匹の竜のうち2匹だけだ」と皆に約束しました。その約束の日、寺の壁には大勢の見物人が集まりました。画家はみなの前で筆をとると静かに竜の目を入れます。すると果たして不思議なことが…。
彼が2匹目の竜に目を入れたところ、しばらくして空には黒雲が広がり、激しい風が起き、雷鳴がとどろき、稲妻が走ります。そしてその雷鳴の中、目が描かれた2匹の竜が壁を破って起き上がり、牙をむき出し爪を躍らせるようにして天空に飛び去っていったのです。やがて雲は消え、また空は晴れ渡り、人々は茫然として口もきけません。もう一度壁に目をこらすとそこには目玉のない2匹の竜が残っているばかり。あの目の入った竜はどこにもいませんでした。
その後人々はこの伝説に基づいて「画竜点睛」(竜を描いて瞳を入れる)という故事成語を作り、話や文章で大事なところにすばらしい一言を入れて要旨を明解にすることを、「画竜点睛」とか「点睛の筆」と言うようになりました。
「画竜点睛」の関連語
「画竜点睛」の逆は蛇足です。
「画竜点睛」の中国語
中国語 | 画龙点睛 |
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ピンイン | huà lóng diǎn jīng |
音声 | |
意味 | 文章を書いたりスピーチなどの際、大事なところで、すばらしいポイント的な言葉を付け足して、内容を一層生き生きとしたものにさせること。 |
日本では「画竜点睛」のままではなく「画竜点睛を欠く」という言い方で使うことが多いです。