良薬は口に苦し
「良薬は口に苦し」の由来
「良薬は口に苦し」は孔子の説話が元となってできた故事成語です。まずはこのお話の年表と地図から見ていきましょう。
「良薬は口に苦し」の故事の時代
「良薬は口に苦し」の故事の場所
「良薬は口に苦し」の故事
『孔子家語』の中には以下のような話があります。
孔子先生はこのようにおっしゃいました。
良薬は口に苦いが病によく効く。忠言は耳に痛いが行いをただすのによく効く。
殷の湯王と周の武王はあれこれ王に忠告する臣下がいたので栄えたが、夏の桀王と殷の紂王は唯々諾々と王に従う臣下のみだったので滅んでしまった。
君主に、これをいさめる臣下なく、父に、これをいさめる子なく、兄に、これをいさめる弟なく、士に、これをいさめる友なければ、過失を犯さずに済む人間などいないのである。
だから私はこう言うのだ。君主が道を踏み外した時は臣下がこれを引き戻し、父が道を踏み外した時は子がこれを引き戻し、兄が道を踏み外した時は弟がこれを引き戻し、自分が道を踏み外した時は友がこれを引き戻すのだ、と。こうすれば国家から危険や滅亡の兆しは消え、家からは道徳の乱れという悪が消え、父子や兄弟が道を踏み外すことなく、こうして交友が絶えることがなくなるのだ。
※「夏」は実在したか不明な王朝です。『史記』の中では「殷」の前の王朝として扱われています。
ところで良薬は本当に苦いのでしょうか?中国の薬、当然漢方薬です。飲み方としては薬草を煎じて飲みます。胃の薬として使われている「センブリ」は猛烈な苦みがありますが、すべてが苦いとは限りません。中には甘いものもあります。「漢方薬は苦い=良薬」と思われているふしがありますが、これはこのことわざが影響しているのかもしれません。
「良薬は口に苦し」の関連語
「良薬は口に苦し」と同じく『孔子家語』が元となってできた故事成語には、「水清ければ魚棲まず」などがあります。
『孔子家語』ではありませんが、孔子の『論語』が元となってできた故事成語には、「不惑」「温故知新」「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」「和して同ぜず」などがあります。
「良薬は口に苦し」の中国語
中国語 | 良药苦口 |
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ピンイン | liáng yào kǔ kǒu |
音声 | |
意味 | 日本語と同じで、忠告は耳に痛い。 |
中国語ではこの故事にある「忠言は耳に痛い」(“忠言逆耳”)と対で用いることが多いです。