温故知新おんこちしん

意味
温故知新とは、古きを尋ね、新しきを知る。古いことを調べて、新しい知識を得ること。
例文
あの村では土地の古老から村の歴史を聞き、これからの町づくりのヒントを得ました。温故知新を身をもって味わいましたよ。
出典
『論語』為政
……『論語』とは:孔子(B.C.552~B.C.479)とその高弟の言行を、孔子の死後、弟子が記録した書物。儒教の「四書」の一つ。

「温故知新」の由来

まずは「温故知新」の由来となったお話の年表と歴史地図から紹介します。

「温故知新」の故事の時代

「温故知新」の故事の時代(年表)
温故知新」の故事の時代(年表)。論語は中国の春秋時代に書かれました。

「温故知新」の故事の場所

「温故知新」の故事の場所(歴史地図)
温故知新」の故事の場所(歴史地図)。孔子は魯の国で生まれました。

「温故知新」の故事

温故知新

温故知新」…今でもよく使われる言葉ですが、今から2500年も昔、孔子が言った言葉です。この言葉が出てくる部分は短いので、原文・書き下し文・現代語訳で紹介しましょう。

「温故知新」の原文

子曰、温故而知新、可以為師矣。

「温故知新」の書き下し文

子曰く、故きを温めて新しきを知れば、もって師たるべし。

「温故知新」の現代語訳

歴史を探求して現代への認識を深めていく、これこそ師たる者の持つべき態度である。

「故」とは「歴史」のことです。「温」は「肉をとろ火で煮込んでスープを作る」こと。現代中国語では「復習する」ことです。

孔子は歴史に学ぶことを重視していました。またその学び方は「述べて作らず」、つまり祖述(先人の説を受け継いで述べること)はするが創作はしないというものでした。

自分の主張に合わせて都合よく過去の歴史を持ってくる、という態度は取らなかったのです。

「温故知新」と論語

「温故知新」の項の文章は上に挙げたものだけです。

『論語』は全20篇、合わせて500章から成りますが、どれも相互に関連のない短い章が並んでいるだけです。統一的なテーマはなく、「温故知新」は「為政」という篇に入っていますが、この名称は篇自体の内容を要約したものではなく、各篇の最初の章の書き出しの文字をピックアップしたにすぎません。

つまり『論語』というのは体系的な思想書ではなく、どこから読んでもかまわない作りになっています。

『論語』の中の「温故知新」のそばにある章に目をやると「人の書いたものを読むだけで、自分の頭で考えないと知識は身につかない。」(学而不思則罔。)なんて書いてあって「へえ、なるほど」と思います。試験でせっかく丸暗記しても、試験が終わればきれいさっぱり忘れてしまう原因がわかりました。

「温故知新」の関連語

「温故知新」と同じく『論語』がもとになってできた故事成語には、「不惑」「和して同ぜず」「過ぎたるは猶及ばざるが如し」などがあります。

孔子に関連する故事成語として、『孔子家語』から「良薬は口に苦し」「水清ければ魚棲まず」、『詩経』から「有終の美」などがあります。

「温故知新」の中国語

中国語温故知新
ピンインwēn gù zhī xīn
音声
意味過去を学ぶことで、現在を一層深く認識できるということ。

日中同じ言葉ですが、意味としては中国語の方が原文に近いようです。