穀雨

穀雨

穀雨こくうとは二十四節気にじゅうしせっきの1つで、清明せいめいの次、春の5番目にあたる節気です。

このページでは穀雨の意味、成り立ち、実際の季節感とのずれ、2019年の穀雨の日にちと期間、穀雨の七十二候、穀雨の食べ物や季節の花などを紹介していきます。

なお、2019年の穀雨は4月20日となっています。

穀雨とは

穀雨

穀雨こくうとは二十四節気にじゅうしせっきの1つで、「雨が百種の穀物を生じさせる時期」を意味します。太陽の位置を表す黄経で30度の時を言い、新暦では4月20日~21日ごろになりますが年によって変わりますす。

穀雨を迎えると気温は急速に上昇し、寒気が訪れることはなく、雨が降る日も増えていきます。穀物を育てるには絶好の気候で「雨生百穀」(雨が百種の穀物を生じさせる)と言われ、ここから「穀雨」という言葉が生まれました。

穀雨は二十四節気の1つ

二十四節気とは古代中国で作られた暦で、日本では平安時代から使われています。上の図のように1年を24等分し、それぞれに名前を付けたものです。

二十四節気は太陽の運行に基づいており、1年で最も昼の長い日を夏至げし、1年で最も昼の短い日を冬至とうじ、昼と夜の長さが同じ日を春分しゅんぶん秋分しゅうぶんとし、この4つを春・夏・秋・冬の中心として決めた暦です。この4つの節気は合わせて「二至二分にしにぶん」と呼ばれています。

二十四節気の仕組み

この二至二分が二十四節気を決めるうえでの基準となっています。

立春りっしゅんはこの冬至と春分のちょうど中間の日で、暦の上ではこの日から春が始まります。

春の節気は立春りっしゅん雨水うすい啓蟄けいちつ春分しゅんぶん清明せいめい穀雨こくうとなっており、穀雨は春の最後の節気です。

また、立春りっしゅん立夏りっか立秋りっしゅう立冬りっとうの4つを「四立しりゅう」と言い、それぞれ春夏秋冬の始まりの日として重要な節気となっており、二至二分と四立を合わせて「八節はっせつ」と言います。

二十四節気の成立時期
二十四節気の成立時期。殷の頃に二至二分、西周の頃に八節、春秋戦国の頃に二十四節気がそれぞれ成立しました。

2019年の穀雨はいつ?

穀雨の日にちと期間

二十四節気のそれぞれの節気には、その日1日を意味する場合と、次の節気までの期間を意味する場合があります。

2019年の穀雨であれば、以下のようになります。

・日付としての2019年の穀雨は4月20日。

・期間としての2019年の穀雨は4月20日~5月5日まで。

二十四節気と実際の季節感がずれる理由

二十四節気は「実際の季節感とずれている」と感じることがあります。特に立春(2月上旬)、立夏(5月上旬)、立秋(8月上旬)、立冬(11月上旬)の4つの節気はそれぞれ春夏秋冬の始まりを意味しますが、「春というにはまだ早い」などと感じます。

ここではその「実際の気候とずれる理由」について解説します。

春夏秋冬の決め方

二十四節気

夏至は昼の時間の最も長い日、冬至は昼の時間の最も短い日です。

けれども夏至に最も暑くなり、冬至に最も寒くなるかというとそうではなく、実際にはそれより1~2か月ほど遅れて最も暑い日、最も寒い日がやってきます。

ただし二十四節気はこの「夏至を夏の中心」「冬至を冬の中心」そして「昼と夜の長さが同じ春分・秋分を春の中心と秋の中心」として1年を4等分し、春夏秋冬を決めました。

そのため「立春と言われてもまだまだ寒く、冬と感じる」ということが起こります。

日本と中国との気候の違い

また、二十四節気が作られたのは紀元前の中国黄河流域のため、現在の東京の気候とはややずれがあります。

下の地図の中央左にある洛陽らくようが東周時代の首都で、中原ちゅうげんとはこの周辺一帯を指す言葉です。二十四節気はこの中原で作られたと考えられています。

二十四節気が作られた地域の地図

気候の違いについては以下のグラフを見ながら解説します。

二十四節気が作られた地域の地図

上のグラフは二十四節気が作られた中原ちゅうげん から代表して洛陽を選び、東京と年間の平均最高気温を比べたものです。

グラフの6月あたりを見ると、中国には梅雨と台風がないため暑さのピークが日本よりも1~2か月程度早くなっています。この部分が二十四節気と日本の実際の季節とが最も異なる箇所になります。立夏は5月上旬ですが、中国のグラフでは夏の始まりと言われて納得がいくものの、日本のグラフでは夏はもう少し先と感じます。

日本が1月・2月で気温がほぼ変わらず12月はそれより暖かいのに対し、中国では1月が最も寒く2月より12月の方が冷え込んでいます。これも冬の季節感のずれに繋がっています。

節気には日付と期間の2つの意味がある

また、二十四節気の1つ1つには期間としての意味もあるものの、カレンダーやニュースなどではもっぱら日付としての意味で使われています。このことも二十四節気と日本の実際の季節感がずれる要因となっています。

二十四節気と七十二候

七十二候

「二十四節気」は、古代中国で作られた農事を指導するために作られた暦で、春秋戦国時代(BC.770~BC.221)黄河流域で作られたと言われます。中国では暦として月の運行に基づいた「太陰暦」が使われていましたが、これですと実際の季節とズレが生まれてしまうため、太陽の運行の軌跡を24等分した「二十四節気」や、それをさらに約5日ごとに分割した「七十二候しちじゅうにこう」が作られました。このようにして季節の変化をきめ細かくとらえて農事に生かしたのです。

この「二十四節気」は日本では平安時代に取り入れられました。日本と中国とでは位置も気候も異なり、中国の二十四節気は必ずしもすべてが日本の気候に合うものではありませんでしたが、私たちの生活に根付き、大多数の日本人が農業とは無縁になった現代でもテレビのニュースなどで「今日から立春です」などと使われています。

1年には春夏秋冬4つの季節がありますが、古代中国人はそれをさらに24の「節気」に分けました。1年を24に分けるならそれぞれ約15日、その節気にはまたそれぞれ3つの「候」を設け、3×24で72候、約5日で1つの候としてそれぞれの候にその季節の特徴を表す言葉をつけました。

日本は平安時代からこの二十四節気を暦の中に取り入れましたが、これだけでは日本の気候の説明には足りないので、「雑節」というものを設けました。雑節には、節分・彼岸・八十八夜・入梅・半夏生・土用・二百十日などがあります。

さらに「七十二候」については江戸時代の天文暦学者・渋川春海が日本の気候に合わせて改訂版を出し、その後明治時代に「略本暦」が出てそれまでの「七十二候」を大幅に変えました。現在使われている日本の七十二候はこれが元になっており、上の図に書かれているのもこの七十二候です。

なお2016年に中国の「二十四節気」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

穀雨の七十二候(日本)

葭始めて生ず
葭始めて生ず。

日本の穀雨の七十二候は以下のようになります。

穀雨の七十二候
内容時期
初候あしはじめてしょう4月20日頃

4月24日頃
次候しもんでなえ4月25日頃

4月29日頃
末候牡丹ぼたんはなさく4月30日頃

5月4日頃

川辺の葦が芽吹き、霜が降りることがなくなって苗が元気に育ち始め、牡丹の花が咲き、季節は春真っ盛り、時に夏の気配を感じさせるころです。

霜止んで苗出ず
霜止んで苗出ず。
牡丹華さく
牡丹華さく。

穀雨の七十二候(中国)

浮草
浮草。

中国の穀雨の七十二候は、「萍始生」「鳴鳩拂其羽」「戴勝降于桑」で、「河の浮草が育ち、鳴くハトが羽繕いをし、ヤツガシラ(という鳥)が桑の木にとまる」という意味です。ヤツガシラは頭の上に王冠のようなとさかをつけた派手な鳥です。

ハトの羽繕い
ハトの羽繕い。
ヤツガシラ
ヤツガシラ。

中国で愛される「穀雨花」…牡丹

牡丹

牡丹は日本ではさほど珍重されませんが、中国では「花中之王」(花の王様)とか「国色天香」(国の色、天の香り…美女や牡丹を指す)と呼ばれ、最も愛され敬される花です。穀雨のころ咲き誇るので「穀雨花」とも呼ばれます。清朝時代の怪談集『聊斎志異』(りょうさい しい)には牡丹が美女になって現れる「花妖」の話が出てきます。浜離宮の牡丹園などで美しく咲いた牡丹を見ると、高さは約1メートル、花の大きさは直径約20センチ。まさに小柄な美女で、この牡丹から美しい妖怪が空想されたこともうなづけます。

八十八夜

新茶
新茶。

二十四節気で雑節となっている「八十八夜」はちょうどこの穀雨の終わり、5月初めのころ。立春から数えての八十八夜という意味で、日本だけにある節気です。

八十八は「米」という文字になることもあって農事の吉日ですが、「八十八夜の忘れ霜」という言葉のある通りこの季節は霜害に遭うこともあり、注意喚起のための節気でもあります。またこの時期は茶摘みの季節、新茶がおいしく、八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きすると言われています。

穀雨の「旬の食べ物」

草餅
草餅。

この時期の美味しいものとしては新ごぼうや草餅があります。ごぼうは中国では漢方薬の材料で食料ではありません。ごぼうは一見泥にまみれた木の根っこのようでこれを食料として食べるのは日本人だけのようですが、きんぴらでもけんちん汁にしても美味しく、なぜ日本人以外は食べないのか不思議です。

日本の草餅はヨモギから作りますが、中国でヨモギは漢方薬の材料であると同時に厄除けの植物として用いられます。

ごぼう
ごぼう。

清見(みかん)

清見(みかん)

みかんとオレンジの中間の特徴を持つ清見も穀雨の頃に食べごろを迎えます。

タケノコ

タケノコ

タケノコは種類にもよりますが3~5月ごろに最も多く出回ります。

春から初夏にかけてはタケノコご飯のおいしい季節ですね。

タケノコご飯

穀雨の「季節の花」

藤

藤は4月下旬~5月上旬ごろに咲きます。

ゴールデンウィークのあたりで見ごろを迎えるため、各地の藤の名所は多くの人でにぎわいます。

藤のアーチ
藤のアーチ。

チューリップ

チューリップ

チューリップには様々な種類がありますが、主に4~5月に咲き、穀雨の頃が見ごろとなります。

レンゲソウ

レンゲソウ

レンゲソウは4月上旬~5月上旬に咲きます。春の季語となっています。

ヤマブキ

ヤマブキ

「山吹色」のヤマブキは4月に咲きます。写真はまさに山吹色ですね。

ヒナゲシ(虞美人草)

ヒナゲシ(虞美人草)

ヒナゲシも穀雨の頃に美しく咲く赤い花です。虞美人草とも呼ばれますが、これは「項羽と劉邦」の時代の虞美人と呼ばれた女性から名づけられました。

穀雨の関連ページ

穀雨の項は以上で終了となりますが、このサイトでは穀雨の1つ前の節気「清明せいめい」や、穀雨の次の節気「立夏りっか」、また「二十四節気にじゅうしせっき」や「七十二候しちじゅうにこう」についてもリンク先で詳しく紹介しています。