立冬の意味・食べ物・歴史と仕組みの図説

立冬

立冬りっとうとは二十四節気にじゅうしせっきの1つで冬の始まりを意味する節気です。

昼と夜の長さが同じ日である秋分と、1年で最も昼の短い日である冬至の中間としてできたのが立冬です。

このページでは立冬の意味、成り立ち、実際の季節感とのずれ、2024年の立冬の日にちと期間、立冬の七十二候、立冬の食べ物や季節の花などを紹介していきます。

なお、2024年の立冬は11月7日となっています。

立冬とは

立冬

立冬りっとうとは二十四節気にじゅうしせっきの1つで、「冬の始まり」を意味します。「立」は中国語で「始まる」という意味です。太陽の位置を表す黄経で225度の時を言い、新暦では11月7日~8日ごろで年によって変わります。冬の最初の節気になります。

立冬は二十四節気の1つ

二十四節気とは古代中国で作られた暦で、日本では平安時代から使われています。上の図のように1年を24等分し、それぞれに名前を付けたものです。

二十四節気は太陽の運行に基づいており、1年で最も昼の長い日を夏至げし、1年で最も昼の短い日を冬至とうじ、昼と夜の長さが同じ日を春分しゅんぶん秋分しゅうぶんとし、この4つを春・夏・秋・冬の中心として決めた暦です。この4つの節気は合わせて「二至二分にしにぶん」と呼ばれています。

二十四節気の仕組み

この二至二分が二十四節気を決めるうえでの基準となっています。

立冬はこの秋分と冬至のちょうど中間の日で、暦の上ではこの日から冬が始まります。

冬の節気は立冬りっとう小雪しょうせつ大雪たいせつ冬至とうじ小寒しょうかん大寒だいかんとなっており、立冬は冬の最初の節気です。

また、立春りっしゅん立夏りっか立秋りっしゅう立冬りっとうの4つを「四立しりゅう」と言い、それぞれ春夏秋冬の始まりの日として重要な節気となっています。

二十四節気の成立時期
二十四節気の成立時期。殷の頃に二至二分、西周の頃に八節、春秋戦国の頃に二十四節気がそれぞれ成立しました。

2024年の立冬はいつ?

立冬の日にちと期間

二十四節気のそれぞれの節気には、その日1日を意味する場合と、次の節気までの期間を意味する場合があります。

2024年の立冬であれば、以下のようになります。

・日付としての2024年の立冬は11月7日。

・期間としての2024年の立冬は11月7日~11月21日まで。

二十四節気と実際の季節感がずれる理由

二十四節気は「実際の季節感とずれている」と感じることがあります。特に立春(2月上旬)、立夏(5月上旬)、立秋(8月上旬)、立冬(11月上旬)の4つの節気はそれぞれ春夏秋冬の始まりを意味しますが、「春というにはまだ早い」などと感じます。

ここではその「実際の気候とずれる理由」について解説します。

春夏秋冬の決め方

二十四節気

夏至は昼の時間の最も長い日、冬至は昼の時間の最も短い日です。

けれども夏至に最も暑くなり、冬至に最も寒くなるかというとそうではなく、実際にはそれより1~2か月ほど遅れて最も暑い日、最も寒い日がやってきます。

ただし二十四節気はこの「夏至を夏の中心」「冬至を冬の中心」そして「昼と夜の長さが同じ春分・秋分を春の中心と秋の中心」として1年を4等分し、春夏秋冬を決めました。

そのため「立春と言われてもまだまだ寒く、冬と感じる」ということが起こります。

日本と中国との気候の違い

また、二十四節気が作られたのは紀元前の中国黄河流域のため、現在の東京の気候とはややずれがあります。

下の地図の中央左にある洛陽らくようが東周時代の首都で、中原ちゅうげんとはこの周辺一帯を指す言葉です。二十四節気はこの中原で作られたと考えられています。

二十四節気が作られた地域の地図

気候の違いについては以下のグラフを見ながら解説します。

二十四節気が作られた地域の地図

上のグラフは二十四節気が作られた中原ちゅうげん から代表して洛陽を選び、東京と年間の平均最高気温を比べたものです。

グラフの6月あたりを見ると、中国には梅雨と台風がないため暑さのピークが日本よりも1~2か月程度早くなっています。この部分が二十四節気と日本の実際の季節とが最も異なる箇所になります。立夏は5月上旬ですが、中国のグラフでは夏の始まりと言われて納得がいくものの、日本のグラフでは夏はもう少し先と感じます。

日本が1月・2月で気温がほぼ変わらず12月はそれより暖かいのに対し、中国では1月が最も寒く2月より12月の方が冷え込んでいます。これも冬の季節感のずれに繋がっています。

節気には日付と期間の2つの意味がある

また、二十四節気の1つ1つには期間としての意味もあるものの、カレンダーやニュースなどではもっぱら日付としての意味で使われています。このことも二十四節気と日本の実際の季節感がずれる要因となっています。

二十四節気と七十二候

七十二候

「二十四節気」は、古代中国で作られた農事を指導するために作られた暦で、春秋戦国時代(BC.770~BC.221)黄河流域で作られたと言われます。中国では暦として月の運行に基づいた「太陰暦」が使われていましたが、これですと実際の季節とズレが生まれてしまうため、太陽の運行の軌跡を24等分した「二十四節気」や、それをさらに約5日ごとに分割した「七十二候しちじゅうにこう」が作られました。このようにして季節の変化をきめ細かくとらえて農事に生かしたのです。

この「二十四節気」は日本では平安時代に取り入れられました。日本と中国とでは位置も気候も異なり、中国の二十四節気は必ずしもすべてが日本の気候に合うものではありませんでしたが、私たちの生活に根付き、大多数の日本人が農業とは無縁になった現代でもテレビのニュースなどで「今日から立春です」などと使われています。

1年には春夏秋冬4つの季節がありますが、古代中国人はそれをさらに24の「節気」に分けました。1年を24に分けるならそれぞれ約15日、その節気にはまたそれぞれ3つの「候」を設け、3×24で72候、約5日で1つの候としてそれぞれの候にその季節の特徴を表す言葉をつけました。

日本は平安時代からこの二十四節気を暦の中に取り入れましたが、これだけでは日本の気候の説明には足りないので、「雑節」というものを設けました。雑節には、節分・彼岸・八十八夜・入梅・半夏生・土用・二百十日などがあります。

さらに「七十二候」については江戸時代の天文暦学者・渋川春海が日本の気候に合わせて改訂版を出し、その後明治時代に「略本暦」が出てそれまでの「七十二候」を大幅に変えました。現在使われている日本の七十二候はこれが元になっており、上の図に書かれているのもこの七十二候です。

なお2016年に中国の「二十四節気」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

立冬の七十二候(日本)

山茶始めて開く
山茶始めて開く。

日本の立冬の七十二候は以下のようになります。

立冬の七十二候
内容時期
初候山茶つばきはじめてひら11月7日頃

11月11日頃
次候朔風さくふうはら11月12日頃

11月17日頃
末候たちばなはじめてなり11月17日頃

11月21日頃

山茶花(さざんか)の花が咲き、地面が凍り始め、水仙の花が咲いて良い香りが漂う季節です。

地始めて凍る
地始めて凍る。
金盞香し
金盞香し。

山茶花と椿

立冬の初候「山茶始めて開く(つばき はじめて ひらく)」ですが、山茶花(さざんか)と書いて、「つばき」と読ませ、意味は「さざんか」とはどういうことなんでしょうか?

サザンカとツバキはとてもよく似ていて、違いは咲く時期・花の落ち方・香りの有無です。

サザンカ
サザンカ。
ツバキ
ツバキ。

サザンカは秋から冬にかけて咲き始め、2月ごろにには花が落ちますが、ツバキのように花ごとではなく花びら1枚1枚落ちていき、またその香りもいいそうです。

ツバキは真冬に咲き始めて4月ごろまで咲き、最後は花ごとポトンと落ちるのでお侍さんには嫌われたとか。そして香りもありません。

一方中国で山茶花と言えばツバキのこと、椿と言えば「チュン」という別の花で、ややこしいことこの上ありません。

とりあえずここ「立冬」で咲き始めるのはツバキではなくサザンカなんですね。

水仙と金盞銀台

「金盞銀台(きんせん ぎんだい・きんさん ぎんだい)」とは水仙のこと、水仙の異称ですが、金盞は金の杯、銀台は銀の台。水仙は花びらのような白い花被片(ガク+花弁)に縁どられて、真ん中に黄色いグラスのような副花冠が咲きますね。白い花被片を白銀の台に見立て、真ん中の黄色い副花冠を金の杯に見立てた言葉です。なんと優雅なネーミングでしょう!中国から伝わった言葉です。

水仙
水仙。言われてみれば黄色い花が杯のように見えますね。

中国茶にも「金盞銀台」と名付けられた工芸茶(1980年代に中国で考案されたお茶+花の組合せ)があって一度飲んでみたいと思っています。

工芸茶
工芸茶。

立冬の七十二候(中国)

中国の立冬の七十二候はそれぞれ「水始凍」「地始凍」「雉入大水為蜃」です。

「水が凍り始め、地も凍り初め、キジが海に入って大きなハマグリになる」季節です。

キジとハマグリは見た目の模様が似ているので、古代中国人はキジが海に入ってハマグリになったと考えていたそうです。

キジ
キジ。
ハマグリ
ハマグリ。言われてみれば似ているようにも見えますね。

小春日和

小春日和

立冬の季節は、晩秋に冬の気配を感じるようになったころ。冬の本番はまだ先です。そして時によると季節が逆回りしたかのように暖かい日があり、これが「小春日和」です。中国語では「小陽春」と言います。

七五三

七五三

立冬の時期、日本ではちょうど七五三が行われます。11月15日、3歳の男の子・女の子、5歳の男の子、7歳の女の子、いずれも満ではなく数えの年齢の幼子を連れて神社に詣で、無事育ったことを神様に感謝する日です。子供たちは晴れ姿をしますが、一般には着物や袴姿で千歳あめを手に提げて写真に納まります。

この行事は江戸時代に始まったとか。子供が無事育つのは難しかった時代ですから、まずは3歳まで、次は5歳まで、7歳までと節目を超えるたびに親はホッと胸をなでおろし、天に感謝したことでしょう。

乳児死亡率が世界最低レベルにある日本で、子供が無事に育つかどうか心配する親はあまりいなくなり、今ではまるで子供のファッションショーのようになっていますが、小さなころから伝統に触れるのは良いことでしょう。私も着物を着せてもらい晴れがましかった記憶があります。

七五三のお参り
七五三は日本特有の習慣で、神社にお参りします。

古代中国の立冬の行事

古代中国で立冬の行事は立春・立夏・立秋と並んで大切な日。皇帝は文官武官を引き連れて、都の北郊外に作った蔡壇まで出かけお祝いしたと言います。この日は文官武官には冬の衣類を、孤児や寡婦には救済金を与えていたそうで、古代であってもそれなりの福祉政策を採っていたのですね。

立冬の「旬の食べ物」

梨

薬膳では喉が痛いときには梨を食べるといいと言われています。梨の採れる時期は9月~11月ごろ。

サンマ

サンマ

秋の味覚のうち、魚料理と言えばサンマが思い浮かびます。サンマが獲れる時期は9月~11月。

柿

柿には様々な種類がありますが、採れる時期は9月~12月ごろになります。

銀杏

銀杏

銀杏はイチョウの木の実の中にある種子の部分で、9月下旬~11月中旬ごろに採れます。

秋になると茶碗蒸しでよく見かけます。

茶碗蒸し

リンゴ

リンゴ

リンゴには様々な品種がありますが、11月~1月ごろは様々な品種で旬の時期を迎えます。

サツマイモ

サツマイモ

寒くなってくるとサツマイモのおいしい季節になります。10月~1月ごろが旬の時期。スーパーなどで見かけるようになります。

ユズ

ユズ

ユズが取れるのは11月~12月。ユズは柑橘類の中でも酸味が強いため、搾って焼き魚に掛けるなど、主に調味料として使われます。

冬至になるとお風呂にユズを浮かべ、柚子湯に入るという習慣があります。

ゆず湯

ごぼう

ごぼう

ごぼうの旬の時期は11月~12月ごろで、冬の煮物料理などによく使われます。

立冬の「季節の花」

モミジ

モミジ

立冬の頃からモミジの紅葉が始まります。見ごろとなるのは11月中旬~12月下旬ごろまで。

菊

日本の秋の花と言えば菊。10月中旬~12月中旬ごろに咲きます。

茶の花(チャノキ)

茶の花(チャノキ)

私たちが普段飲んでいるお茶は、緑茶も紅茶も烏龍茶も、すべてチャノキという植物の葉っぱからできています。

このチャノキはツバキ科で、花をつけるのが10月上旬~11月下旬ごろ。立冬の時期に茶畑ではツバキによく似た花が見られるようになります。

シクラメン

シクラメン

様々な品種のあるシクラメンの開花期は10月~3月ごろ。冬の間は見かけることができます。

サザンカ

サザンカ

サザンカはツバキとよく似た花ですが、サザンカのほうが先に咲きます。開花期は10月上旬~1月下旬ごろ。

立冬の関連ページ

立冬の項は以上で終了となりますが、このサイトでは立冬の1つ前の節気「霜降そうこう」や、立冬の次の節気「小雪しょうせつ」、また「二十四節気にじゅうしせっき」や「七十二候しちじゅうにこう」についてもリンク先で詳しく紹介しています。